旧サブカル・カムカム

メインコンテツの更新は別ドメインにて、引き続き行なっています。社会人になっても、アニメやゲーム、マンガをじっくり楽しみたい!管理人が別格で好きなアニメ作品は『Darker Than Black−黒の契約者−』と『機動戦士ガンダム00【ダブルオー】』。
 

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TIME/タイム感想/映画/2012年アメリカ/アンドリュー・ニコル

 遺伝子操作により、二十五歳で成長老化が止まり、余命の一年間という「時間」を通貨としてやり取りする世界の物語。なぜか痛快なB級エンタメを期待して見に行ったので、そういう意味では期待はずれでしたが、鑑賞後にワイワイ語り合う分には楽しい作品でした。細かい設定周りが、ものすごく気になる。

「時間=通貨」という性質上、別にこれお金でも良いんじゃね? という箇所は多いものの、時に描かれる、時間ならではの富の描き方が面白かった。スラムゾーンの人間は残り時間が少ないためあくせくと急いでいるのに対して、富裕ゾーンの人間は基本ゆったり移動しているというのは、お金が富の象徴である現実(時間をお金で買う)とは真逆。あと映像を見るだけでは気づかなかったんですが、パンフレットによれば、服のボタンの数が富のバロメータになっているというのも、しょうもなすぎて面白い(スラム街の住人は、着替えに時間をかけられないため、着やすい服を着ている)。

 物語としては、主人公のウィル・サラスが百年間という膨大な時間を得るきっかけになったハミルトン氏との会話が、続く展開にまったく影響しておらず、笑った。それだけの時間を持っていたら、決して無駄にしないとか言っていたのに、富裕ゾーンに着いた途端無駄遣いし始めるウィルの姿がリアルだ。

 またハミルトン氏との会話は大別すると、二通りの話をしていて、一つは不死を得たとしても人はそれだけ時間を生きられないという話。もう一つは大多数の人の時間を少数の人間が持っているという搾取の話。しかし、この物語は予想に反して、終始前者ではなく、後者の問題を解決するべく、ウィルが奮闘することとなる。具体的には「時間泥棒」し、貧者に配るわけだが、当然ながらそれでは何も解決しない。が、物語はそのまま終わる。放映後に何とも言えない気持ちになるのは、えっこれ何か解決したの? という疑問が湧き上がってくるからだろう。

 この疑問に応えるのが、これまたハミルトン氏との会話でさらりと語られた「時計を見ない」生活だろうと思われる。ウィルは時間が膨大にあったら、自分は時計を見ない(いちいち自分の余命を確認したりしない)という趣旨の言葉を発するのだけれど、真の意味で時計を見ずに生きたのは監視局の人間だけだった。自分の生涯をかけて成し遂げてきた監視局の職務を果たすため、ウィルという星を追った彼は、自身の時間を忘れてしまったのだ。「時間……?」とつぶやき、死んでいく彼が惨めに思えるだろうか? 時間切れで死ぬというのは確かに作中惨めな死として描かれてきたものだけれど、時間が世界を支配する、この物語の中で彼だけがその呪縛から解き放たれて「生きた」のだ。

バタフライ・エフェクト感想/映画/2004年アメリカ/監督:エリック・ブレス/脚本:J・マッキー・グラバー

『シュタインズ・ゲート』からの流れで視聴。傑作。そして、ラストシーンでニヤニヤしてしまう。おそらく僕が視聴したのは通常版なので、別EDとしては、ストーカー編涙のハッピーエンド編のみとなるけれど、どちらも監督(と脚本家?)からダメ出しされていて、笑ってしまった。何も教訓を得てないからダメ、というのは、実にアメリカンな気がするけれど、そんなダメエンディングに真っ向から挑んだのが、『シュタインズ・ゲート』なんでしょう。『サマータイムマシン・ブルース』といい、本作といい、リスペクトしているであろう作品は、ド直球というか、本当にそのままで、そこにクリエイターならではの敬意を感じますよ。

 少年期の記憶が失われている間(未来のエヴァンが干渉している)のみ、タイムリープが可能。それによって変化したのは、バタフライ効果によって目覚めてみるまでわからない、というのは、いま思うと不安定すぎるよな。世界線が収束して、結果が同じになるというよりもタチが悪い。

 そんなわけで、未来を知るという点で圧倒的に優位な立場にいるはずの主人公だけど、本作では徹頭徹尾翻弄され、道化じみている。という意味で、ラストの彼の選択は、いままでの自分を斬り捨てることでもあったので、非常に皮肉めいていて良かったです。タイムトラベルしてしまえる人を悲観的に描いた映画だったな、と。

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映画『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜 The First Strike 〜』/感想/2009年邦画

 人と魔物の大きな戦い「人魔戦争」終結から数年。人々は根源たる力・エアルによって、繁栄を築き上げようとしていた。帝国騎士団ナイレン隊に所属する新人騎士のユーリとフレンは、先輩である双子の姉妹騎士ヒスカ、シャスティルとともに、シゾンタニアの町を守る任務に就いていた。しかし町にほど近い森でエアルが異常噴出し、凶暴な魔物が増殖する事態が発生。これを深刻に受け止めたナイレン隊長は、独自調査を開始する。

 ゲーム本編との齟齬はあるものの、ゲーム内で描写して欲しかったことが次々と描かれて大満足だった。魔物との小隊戦やギルドとの共闘など、中でも積極的に「犠牲」を描いてくれたのが良かったな。

 元々それぞれの「正義」を貫くという王道のテーマを持っていた本作だけど、正義を貫く中で当然「犠牲」は生まれる。ゲームだとその部分がどうも弱いと感じていたので、ユーリがランバートを殺さなければいけなくなったことやナイレンから「助けられるもんだけ助けろ」(=助けられない自分は諦めろ)と諭される辺りは、うんうんと頷きながら視聴した。

 本編との齟齬として、最もあげられるのはフレンが真犯人を法に委ねなかったことかな。本編の「裁きは法に委ねるべきだ」という彼の主張を根底からぶっ飛ばすものだったけれど、無理矢理解釈すれば、そうした邪道を貫いた結果帝国は変えられなかった。騎士団を去ったユーリには転機は訪れなかったけれど、その後も腐敗した騎士団の中にいたフレンは違うだろう。危険な人物を葬っても国は変わらない。ならば、法を変えるしかないという変化を生んだとも考えられなくない。元々違う生き方をしていた彼らが、同じ「原風景」を見て、違う道を選んだという。

 今思うと、ゲーム発売後の映画公開とは難しいものがある。ある程度の人が本編をクリア後に視聴するわけだし、本編で描かれたテーマの延長線上を少なからず見せる必要があるんですよね(今回ならギルドとの共闘の部分とか)。その上で今回なら、過去のエピソードだから、本編の彼らよりも未熟な部分も描かないといけないという。

 この映画の後日談として、本編が見たいな。ゲームとは違った描き方(大幅にエピソードを省略できる)ができるんじゃないかな。

→とりあえず見てみたいという人には、バンダイチャンネルがオススメです
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『亀は意外と速く泳ぐ』/映画感想/2005年邦画/監督:三木聡/主演:上野樹里

 内容は、亀に毎日えさをやり、そこそこラーメンを愛する平凡な主婦が、スパイとなり、スパイ活動に従事するというもの。

 所謂「自分が変われば、世界は変わる」というテーマの亜流を描いた作品。自分の知らなかった世界を知ることで、今まで見えていた風景が違うとかなんとかだろうな。タイトルの「亀は意外と速く泳ぐ」というのも、そんな意味が込められている(亀って動き鈍そうだけど、泳ぐと速い)。

 面白かった。基本ユーモアを描いた作品ながらも、スパイはスパイだと気づかれるようではだめ(=平凡な人間じゃなきゃだめ)とかは妙にリアル。いや、でも真面目なのはその辺りで後はひたすら滑りまくってる。町でピアノ弾いているのは誰だろうと覗いてみたら、ノコギリとか、「シールを貼るセンスが、人生のセンスだったりするのだ」など面白いんだか面白くないんだかよくわからない台詞の連発が良かった。

 基本ストーリーなんてあってないようなもの。それなのに、ラストのスパイ達との別れはじんわりと来た。いや、なんか公園のベンチの下には地下へと続く階段があって、主人公とスパイ達はそこで別れるっていう話なんだけど、本当に何でこれでじんわり来るのかわからんなっ!!

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『シャーロック・ホームズ』/映画感想/2009年洋画/ガイ・リッチー監督

 1891年のロンドン。ホームズとワトソン医師の2人は、怪しい黒魔術の儀式を行い、若い女性を次々と殺害するブラックウッド卿を逮捕する。だが、処刑されたはずのブラックウッドが蘇り、再び殺人事件が発生する……。

 新解釈過ぎるホームズ映画。だけど、根底に流れているのは原作リスペクト。良かった。ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)が相当ムサい親父になっているが、原作でも浮浪者に変装してたりするし、イメージは損なわれないな。存外に原作に忠実だと言える。

 原作から大きく変わっている点と言えば、ワトソン(ジュード・ロウ)の扱いがあげられる。映画開始直後から、ワトソンがあまりに格好良いので、あれホームズどっち?とか思いながら視聴したんだが、「ワトソン役は読者よりも多少鈍い」というお約束をぶっ飛ばし、むしろ主人公クラスの破格の扱いを受けている。

 一番の見所はやはりホームズとワトソンの関係だろう。ワトソンがホームズと対等に渡り合えるようになっているので、その分余計にホームズに引っ張り回されるワトソンが可愛らしく思える。メアリーとの結婚が決まり、部屋から出て行くことになったワトソンとホームズが見つめ合うシーンは、なにやらイケナイ関係を彷彿して笑えた。

 推理ものは推理するシーンが単調になりがちだが、結果だけ見せ、後で過程を解説する時系列シャッフルなどを使い、えっあのシーンはそういうことだったの?と反復させまくっていた。その甲斐あってから、あまり退屈せずに見られるんだが、初見では内容を把握しにくいかなぁ。まあ、話題のアクションシーン以上に、奇妙奇天烈なホームズの行動が、最後にすべて真相へとたどり着いていくのを堪能できるし、ホームズ譚としては文句なし。

 吸血鬼役が似合いそうなブラックウッド卿もさることながら、中盤ホームズ達に襲いかかってくる大柄な男が存在感を発揮していた。Xbox360タイトルの『ロストオデッセイ』に登場したガンガラみたいなやつなんだが、あの人、何ものなんだろうな?

 最後に「あのお方」が登場したりでファンサービスもばっちり。すでに続編も決まっているということなので、今度はスクリーンで見ようと思います。

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