アニメ『偽物語』第壹話「かれんビー 其ノ壹」のネタバレ感想です。ガハラさんが大変ガハラさんで、堪能いたしました。なんか最近斉藤千和さんが声を当てられてたキャラでこの子いいなー可愛いなぁ、とか思っていたはずなんですが、すでにその子の存在も忘れて、ひたぎさんに首ったけです。やはり、斉藤千和さんといえば、ガハラさんか!
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「愛が重い!」(阿良々木暦)
原作小説だと、拉致監禁シーンに入る前に、火憐と月火ちゃんの紹介が入るんだけど、アニメの方では真っ先に戦場ヶ原さんが登場して、これだよこれ、これが見たかったんだよ! とか思いながら、見ておりました。
そもそも文章ベースのシーンなので、アニメには入れようがないと思うんですが、そうはいっても、やはり一番はじめに出てくるのが「戦場ヶ原ひたぎ」というところに喜びを感じたい。
八九寺が「阿良々木ハーレム」という言葉は使っていますが、そうはいってもそのハーレムには間違いなく序列があって(小説には、「すべての他人に対して平等にはいられない」というくだりもある)、圧倒的に一番なのが戦場ヶ原ひたぎなんですよね。
『化物語』でも、羽川さんも特別だけど、戦場ヶ原さんはもっと特別な存在というような趣旨の台詞があったと思うんですが、阿良々木さんにとって本当に大切な人は決まっている。それが決まっているからこそ、月火ちゃんとの会話の中にあった、「男女間の友情は成立するか?」という問いにも即答できてしまう。これは、自分にとっての一番が誰なのか明白だからこそ、答えられる問いですよね。誰が恋人で、誰が友達なのか、それがきっちり分かれている。
#えっ、そんなの当然じゃん、と思われるかもしれませんが、いわゆるビジュアルノベルなどの文脈だと、主人公と各ヒロイン誰もが「運命の相手」という話をずっとやっていたようなんですね。最近は『シュタインズゲート』などそうでもない作品も増えてきた(むしろ主流になってきたという話を、『ビジュアルノベルの星霜圏』という同人誌で読んでました)んですが、『化物語』が出たときは結構「新しかった」と思います。
だからこそ、そこまではっきりとしているからこそ、戦場ヶ原さんとそれ以外のヒロインとの会話には明確な差があって(いや、まあ具体的にこれこれという違いがあるとは言えないけれど)。基本的には阿良々木さんと各ヒロインとの「会話劇」で進行するのがこのシリーズですが、そういう「違い」を追っかけてみるのも面白いと思います。
第一話早々、これは顕著に表れている。冒頭の戦場ヶ原さんとの会話などは、本当になんというか、「戦場ヶ原さんらしさ」をまったく隠すことなく、素晴らしいドSっぷりなわけですよね。いや、いくら何でもこれは退くだろ、といっても過言ではないと思うんですが、決して二人の関係は壊れないし、この二人だけはずっと向かい合ったままなんですよね。ずっと対等のままでいる。
羽川さんは電話という形で距離があったし、月火ちゃんとの会話もほぼ向かい合わずに距離を保ったままだった。だけでなく、月火ちゃんからすれば、兄とは明確に距離が出来てしまっていることにも気づいてしまっている。
「勝手に一人で大人になんないでよね」(阿良々木月火)
そして、一番如才なく阿良々木さんが暴走していた八九寺に至っては、ラストにすれ違うという。「勝手にいなくなるなよ」という阿良々木さんの言葉に、ちゃんと挨拶してから去ると答えた真宵でしたが、その姿に忍野を思い出す辺り、やっぱりどこかよそよそしい。
#というより、阿良々木さん以上に、八九寺が「お姉さん」だからこそ、いずれ来る離別の時がわかってしまっているということなんでしょうね。
阿良々木さんと戦場ヶ原さんが明確にカップルだからこそ、それ以外の関係は、ほんものでもなく、にせものでもなく、この二人とはべつものなんだ、ということを、強く感じた第一話でした。
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