「それでも、私は雪子のそばにいたい」(里中千枝)

『ペルソナ4 THE ANIMATION』#4「Somewhere not here」のネタバレ感想です。原作でも象徴的だった雪子戦ですが、アニメ版でも素晴らしい出来でしたね。BGMも相俟って、素敵すぎる。


「あなたは私だね、ここでしか生きられない」(天城雪子)

 だから、その鳥籠から飛び立っていた小鳥が羨ましかった。自分も鳥籠から出て、自由に外へ羽ばたいていきたいというのが、一見すると、雪子の願望のように思えてしまうのですが……、これ、たぶん違うんだろうな、と。

 恐るべき勢いで、「囚われのお姫様」的なヒロイン属性を獲得していく彼女ですが、結局王子さまにどこか遠くへ、それこそいま、ここにはないどこかへ連れていってほしかったというよりは、王子さまと共に在りたかったというのが本音なんじゃないかと。本当は、王子さまとと共にここにいたかった。

 それは例えば、主要キャラに共通して描かれてきた「一人ぼっち」描写の中で、雪子の羨望として描かれていたのが友達との何気ない会話や恋人同士の語らいだった所からも見えてくるし、雪子の本音であるはずのシャドウが(飛び出していける)翼を持っているにもかかわらず鳥籠に籠もりっぱなしだったことからもわかるところ。

 とくに原作ゲームプレイ中も感じていたけれど、あのシャドウを鳥籠に籠もらせるのが、雪子の願いを反映していて上手い。飛び出していきたいはずなのに閉じこもってしまっている(自分で外に出ようとしない)という皮肉なのではなく、閉じこもる(鳥籠に留まる)こと自体は彼女の願いなのだ。老舗旅館の件についても、重荷に感じるところはあるだろうけれど、拒否しているという旨の描写は特にないわけで。

 だから、最終的に、雪子の救いになる言葉は、外に連れ出すものではなく、雪子と共に在りたいという千枝の言葉になるんですね。

「それでも、私は雪子のそばにいたい」(里中千枝)

 これがすごく良かった。だって、人間どうやっても、いま、ここにある現在からは逃れられようもない。そんな、それぞれが「いま、ここに生きる!」ということを確認した上で、次回は早速日常回が挟まれるというのが素晴らしい。高校生の「いま、ここ」っていえば、やっぱり学園生活! 羨ましくて死にたくなるほど楽しい学園生活っていうのが、一つ『ペルソナ4』の売りだと思うのですげえ期待。

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