「愛してる」(シェリル・ノーム)
『劇場版マクロスF サヨナラノツバサ【恋離飛翼】』のネタバレ感想です。Blu-rayが届いたので早速再視聴。超時空スペシャルエディションのパッケージだと、前作イツワリノウタヒメのBD初回限定版も収められるので、ファンとしては満足度高めです(こんな感じになる)。
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劇場版公開当初に、思いの丈を書き綴った感想があれやこれやとありますが、Blu-ray発売を機に改めて見返してみると、だいぶ印象が変わりました。以前、yama-dさんに指摘されていた箇所なども含めて考えると、確かに解釈が一八〇度ひっくり返るぐらいの衝撃。河森監督含めスタッフの方々、すごすぎ。
というか、劇場版マクロスF、「分かり合えない」(=想いが届かない)エンドだったのか!
ランカのアルトへの想いも、アルトのシェリルへの想いも届かず、人類とバジュラがついぞ分かり合えることはなかった。最後の方の映像をよく見ると、SMSと新統合軍の砲撃から、クイーンバジュラは逃げているし(攻撃が当たるときには、そこにクイーンバジュラの姿はない。どうやらワープしてるっぽい)、後のランカの語りからも、バジュラとの和解が達成できていないことがわかる。
そして、そんな中ただ一人シェリルだけが、自分の想いを届けているんですね(それに対する、アルトのシェリルへの想いも最後まで言い切れないながらも、ちゃんと返ってきてる)。「自分の歌で銀河を震わせる」という宣言通りに、「サヨナラノツバサ 〜the end of triangle」の「愛してる」という歌詞が銀河中に響き渡るように描かれている。これは、つまりクイーンバジュラと共に銀河のどこかにワープしていったと思われるアルトくんにも届いているはず。
そんな自分の想いをすべて伝えきったシェリルは眠りにつく。そんな、せっかく届かせたのにあんまりだろ、という感じなんですが、ところがどっこい、どうやらあのラストシーン、アルトを模していると思われる紙飛行機が飛んでいくところから冒頭の紙飛行機が教会に辿り着くシーンに繋がるようです(正確には、そういう解釈もあるらしい、ということ)。
ラストで改めて語られるランカからアルトへの想い(シェリルを目覚めさせてくれる)、アルトからシェリルへの想い、あるいはバジュラとの人類の和解、すべて分かり合えなかった、届かなかったからこそ、今度こそその想いを届けるために空を飛ぶ。
アルトは、シェリルとランカの想いをバジュラに届けるため飛び出した。そして、そこから帰ってくるということは、その想いはちゃんとバジュラに届いたと言うことだろうと。それなら、今度の飛翔ぐらいは、個人的で些細なものに過ぎないかもしれないけれど、大切な想いを届けるために、飛んでも良いのではないかと。
ただしすべてこれらは空想。妄言の類。
映画で描かれていたのは、届かなかった、分かり合えなかったということ。だからこそ、届かないから、もう一度(届けるために空を飛んでほしい)という願いは、やっぱりファンの勝手な期待に過ぎないんだろうなぁ(スタッフの言葉もあるらしいですが、個人的にはこれぐらいの緩い解釈がしたいな)。でも、それを素直に願いたくもなるほど、素晴らしい映画だったよ。ああ、もう最高!
劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of”triangle”
劇場版マクロスF ~サヨナラノツバサ~ Blu-ray Disc Hybrid Pack 超時空スペシャルエディション (PS3専用ソフト収録)
劇場版マクロスF ~サヨナラノツバサ~ Blu-ray Disk Hybrid Pack (通常版) (PS3専用ソフト収録)
劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~ Blu-ray Disc (PS3専用ソフト収録) ハイブリッドパック
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コメント
シェリルは最期に幸せだったかも
アルトの本音が聞けてね
シェリルの願いはアルトの本音が聞けてね
でもあの一瞬ですべてが消え去るて
ショックですよね
そりゃ生きる気力も無くしますよ
>BOOSUKAKINNGUさん
コメントありがとうございます。返信が遅くなって申し訳ないです。
>シェリルは最期に幸せだったかも
>アルトの本音が聞けてね
>シェリルの願いはアルトの本音が聞けてね
>でもあの一瞬ですべてが消え去るて
>ショックですよね
>そりゃ生きる気力も無くしますよ
えーっと、その、BOOSUKAKINNGUさんが仰る感想とは、実は真逆だったのではないかというのが、この記事の意味だったりします。せっかくなにかの縁でこちらのブログに辿り着いたのでしたら、読んでいただけれたら、幸いです。
こんにちは。ワタクシも久々にBDで鑑賞しました。やはり面白かったですね!
個人的にはバルキリーの戦闘シーンの見せ方がナイスな展開じゃないか!でした。
アニメでは大気圏内でのドッグファイトはほとんどありませんでしたが、劇場版での「大気」がある空間を飛んでいるという演出がもう。
アルトの元女形設定も小説版までは及ばずとも、映画の尺の中では十分に活かされてましたし。
それこそ小説版でもう一度飛びませんかね?(笑)
・・・ここまで言っといてなんですが、かもめさんは小説版は読まれてますか?アニメ版のほうも劇場版の方も心理描写・状況描写が素敵で大好きです。あと歴代マクロスファンとしても実に心憎いシーンが多数あって最高です(劇場版ではちょい台詞だけの某不良中年の元主人公が相変わらずのクレイジーな活躍を見せるとかw)
もし読まれていなかったら是非どうぞですよ。短編の方も良い感じです。
>タキさん
こんばんは。返信が遅くなって申し訳ないです。
>こんにちは。ワタクシも久々にBDで鑑賞しました。やはり面白かったですね!
面白かったですねー。劇場で見るべき映画だと思いますが、こうやって何度も見られるのは嬉しい限りです。
>個人的にはバルキリーの戦闘シーンの見せ方がナイスな展開じゃないか!でした。
>アニメでは大気圏内でのドッグファイトはほとんどありませんでしたが、劇場版での「大気」がある空間を飛んでいるという演出がもう。
バルキリーの戦闘シーンは本当によかったですね。とくにラスト、アルトの舞が素晴らしかった。宇宙時の重力を感じさせない自由な動きも良いですが、重力下での戦闘シーンも良い。そして、相変わらず(笑)、コクピットのガラスとヘルメットが吹っ飛ぶラストシーンが良い。あそこは演出的に意味のあるシーンだと思いますね。
続きます
続きです。
>アルトの元女形設定も小説版までは及ばずとも、映画の尺の中では十分に活かされてましたし。
>それこそ小説版でもう一度飛びませんかね?(笑)
してほしいですけどねー。ただそれをやってしまうと、あえて本編でぼかして描いた意味がなくなってしまうので、現実には難しいんでしょうかね。アルトの女形設定は小説版(アニメの方ですかね?)だとちゃんと活かされた展開になっているんですね。アニメ本編では会ってないようなものだったので、映画ではその辺りも活かされていて、嬉しかったなぁ。
>・・・ここまで言っといてなんですが、かもめさんは小説版は読まれてますか?アニメ版のほうも劇場版の方も心理描写・状況描写が素敵で大好きです。あと歴代マクロスファンとしても実に心憎いシーンが多数あって最高です(劇場版ではちょい台詞だけの某不良中年の元主人公が相変わらずのクレイジーな活躍を見せるとかw)
>もし読まれていなかったら是非どうぞですよ。短編の方も良い感じです。
実は未読なんですよ。いま慌てて、ひとまず劇場版の方を二冊買わせていただきました。ちょっと色々と本を積んでいるんで、いつ頃になるかはわかりませんが、読み次第感想も書かせていただこうかと。
確かに小説版は細かい描写ができるだけに、色々とファンサービスができそうですね。とはいえ、実はマクロスF以外はマクロスプラスぐらいしか見ていない、にわかマクロスファンなので、まずはそちらを押さえるのが肝要かな、と思ったりもします(笑)。