WS000562 永遠の迷い児。
 そんな、少女の夢を見た。


『ディエス・イレ アクタ・エスト・ファーブラ』のネタバレ感想/プレイ日記です。Chapter5「Holiday」終了。


「わたしは、ずっとここにいるのね」(マルグリット)

「悲劇」というものについては、(あまり詳しくないですが)例えば古来からアリストテレスが論じていたり、近年ではニーチェで有名だったりします。

 本作でもそうした悲劇について考察が試みられているのですが、それが非常に興味深かったです。大切なもの、大切な人などの「喪失」を起点に悲劇というものを定義してしまいがちですが、本作ではそうではないんだと。それらは確かに悲しいが、究極、なにかで埋めることができてしまう。

 だから、ほんとうに悲劇なのは、最初から何も持つことが許されなかった存在。

 触れれば首が飛ぶ。言葉になるのは呪いの言葉のみ。ゆえに、両親からも愛されない。しかも勝手に死ぬ。娘を一人置いていく。

 ポール・フェバールの『罰あたりっ子』を出自とするマリィこそが、そんな対象なのだと。何も得るものがないから失うこともできず、最初から欠けているからそれを補うことすらできないマリィの存在を指して、悲劇だという。

 そんな彼女に、もう一度人生をやり直させることができるなら、とそんな悲痛な想いを胸に、いつもの夢から醒める蓮。目の前には、仲良く添い寝する、すっぱだかのマリィ。あったかい。隣には香純。さあ、修羅場突入です。マジで、この作品の非日常から日常への変遷がひどすぎて、笑った。まったく予想外のところから、修羅場が始まっちゃったよ。どう転んでも、蓮は非日常から逃げられない(笑)。



 以降、なんとか誤解を解いて、マリィ、香純両名を連れてデート。香純はマリィのあまりの可愛さに彼女に飛びついてましたが、危なかった。どうやら今は蓮がちゃんと制御しているため、マリィに触っても首が飛ばない様子。香純は、知らず知らずのうちに、危ない橋ばかりを渡っている。すでに、軽く三回ぐらい死にかけてますからね。それなのに、無傷で本人は気づいてすらいないという、幸運な娘です。彼女は、何があってもこの作品を生き残りそうな気がする。

 高所恐怖症の香純をいじめたり、特大パフェの早食い勝負をしたりと、のほほんとラブコメをやって過ごす蓮たち。だけど、そんな日常の一風景も、マリィの心には届かず、蓮が命じられさえすれば「香純も殺す」発言。改めて、彼女を変える難しさを痛感した後(メルクリウスですらできないことらしい)、それでもいつかきっと……と、そんな誓いを立てられる蓮がカッコイイです。

 そこに、司狼の連れ、エリーが登場し、引き。彼女たちには、蓮が殺人犯(首狩り事件の犯人?)だとバレちゃってるっぽいので、気になる。

→発送まで若干時間がかかりそうですが、在庫復活してるっぽいです。

Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版
Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版
フランス怪奇小説集 (偕成社文庫)

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