
『ディエス・イレ アクタ・エスト・ファーブラ』のネタバレ感想/プレイ日記です。Chapter4「ODESSA」終了。
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「俺、櫻井と付き合ってるんだ」(藤井蓮)
これまでと変わらず、香純を自分から遠ざけておくために、蓮がついた嘘がこれ。退屈でありきたりな「日常」をこよなく愛する男がついた嘘がこれ。……これは非日常(修羅場)を生むほかないだろ、という突っ込みをしてはいけない。
そんなバレバレの嘘を信じて、あまつさえ櫻井さんと喧嘩したという蓮にいちいち恋愛相談に乗ってくれる香純が、良い子すぎる。おそらくは、製作者の意図とはまったく違う形で、綾瀬香純という少女の可愛さ、重要性がわかるので、蓮に問題なく感情移入して、読めてます。
そんな香純と仲良くじゃれ合っている中、シュピーネとすれ違い、彼を探索するために、香純を遠ざけるわけですが……。
探索中出会う人出会う人(先輩、リザ、神父)、みんな黒円卓の関係者(あちら側の人間)で笑ってしまった。蓮の関係者は、ほぼほぼあちら側の人間しかいない(笑)。ここで、神父からなにやら常人ならざる気配を感じ、怖じ気づいてしまう蓮(ちなみに、第四章冒頭で、ルサルカやベイたちも、神父に対して畏怖を感じているようだったので、単純に「あちら側の人間」という以上に何かがあるっぽい)。
で、ここで、交わされるのは、例の「選択しているようでいて、選ばされている」という問題。選択肢で分岐するタイプのテキストゲームを中の人から見た場合の「選択肢があるように見せかけた一本道」。基本的にはそこ(法則=ゲットー)から抜け出すというのが、本作の本筋ということになるか。
神父との会話から、そもそもびっくりするぐらいいろんな人と出会いが続いたのは、シュピーネに出会ったことに始まっていると気づいた蓮。ヤツがなんの意味もなく現れたというのか……。直後に鳴り響く携帯の着信音。香純からの着信。愛のビーナス。
携帯電話の登場によって物語が書きにくくなったと言われることも多いですが、本作ではその筋では有名な『Missing Parts』張りに、着信音による衝撃が大きいです。日常を蹴破る音という意味ではわかるのですが、心情的に、頼むから、あまり鳴らさないでほしい(笑)。
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で、まあ案の定攫われて、切り刻まれているということで、シュピーネ戦突入。シュピーネは蓮を仲間に引き入れるために、あれこれとぼかされていた黒円卓の秘密を語ってくれます。
彼らがここにやってきたのは、八つのスワスチカを完成させ(これは特定の土地に魂を喰わせるということらしい)、ラインハルト、メルクリウス、ザミエル、シュライバー、マキナといった、プロローグで非日常のさらに向こう側まで行ってしまった者たちを呼び戻すため。その際に、自分が持っていた魂の量に応じた願いを叶えてくれるということらしい。
だが、シュピーネは彼らを呼び戻したくない。怖ろしいから。
ということで、前回人間であったときの名前を捨ててしまっているという風なことを書きましたが、なんのことはない、そんな平凡で力がない自分のことを忘れるための行為であって、シュピーネの本質は凡人以外の何ものでもない。
そして、切り刻まれた女性の胸にホクロがないことから(あまりにどうでもよかったのでスルーしてましたが、前章で香純の胸にはホクロがあって云々というエピソードがありました。伏線だったとは!)、彼女は香純ではないことがわかり、反撃の狼煙が上がります。
それまでずっとマリィに人殺しをさせることを拒んでいた蓮だったんですが、ここで彼女に助けを求めます。ここ、たぶん「ツァラトゥストラ/藤井蓮」と符合する形で、「ギロチンとしてのマリィ/人を傷つける意志すら持たないマリィ」が描かれていて、ずっと蓮は後者の「日常」側に執着していたんですね(マリィに、ツァラトゥストラではなく蓮と呼ぶように言ったりする)。それが、ここでようやく「ツァラトゥストラ」「ギロチンとしてのマリィ」(どちらも「非日常」の産物)を受け入れたということ。
そこで、
「時よ止まれ――おまえは美しい」
という祝詞が、マリィと蓮で重なるのが格好良い。ただ単純にカッコイイから詠唱を入れるのではなく、「いま、ここ」にある日常を止めたいぐらいに愛していた藤井蓮という存在を、より確かにするための祈りの言葉。めちゃくちゃカッコイイ。
どうやら、シュピーネは櫻井たちとは違ってレベル3じゃなかったっぽいんで、同じ形成位階に達した時点で、勝負あり。格の違いを見せつけます。
香純と入れ替わっていたのは、どうやら神父の計らいっぽく、帰宅した蓮は、いつもと変わらず香純がそこにいる、と抱きついちゃいます。やばい、これは修羅場の予感。
→発送まで若干時間がかかりそうですが、在庫復活してるっぽいです。

Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版

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