WS000469「誓うわ、ここに。私は以降あなたとだけ恋愛する」(櫻井螢)

『ディエス・イレ アクタ・エスト・ファーブラ』のネタバレ感想/プレイ日記です。Chapter4「ODESSA」突入。


「私たちはね、とても鈍感になっていく。痛みに縁遠くなればなるほど、他人の痛みも分からなくなる」(櫻井螢)

 前章で盛大に香純と魔的にイチャついていたかと思えば、今回は櫻井螢と学校の屋上で身を寄せ合ったり、夜の学校デートを敢行していたりと、ヒロインの攻略に余念がない蓮(語弊以外の何ものでもない要約)

#相手の櫻井自身も、なんか話していることから想像する限り、そうした「学園生活」を本気で楽しんでいるっぽいし、蓮が好みのタイプであるというのはまんざらでもなさそうです。

 櫻井が蓮と同い年であるせいか、肉体そのものは強靱でありつつも、なんか心の底では「人間の弱さ」そのものを拭いきれていない(超人に成りきれていない)という印象を受ける。

 第二章辺りで、ヴァレリア・トリファ神父(聖餐杯猊下)も、自身のことを「俗物」と言い、彼らの願いが究極的には「死者を蘇らせる」ことっぽいことを思えば、それは自然な形なのかも。名前が複数あるというのも、そうしたテーマ(複数のアイデンティティ)に直結するギミックっぽい。

 そんな身体だけ超人になってしまって、心が追いついていない櫻井たちに哀愁を感じつつも、香純から奪い取った凶器、「聖遺物」とはいかなるものかというレクチャーを、真夜中の学校で櫻井から受けます。

 そこでの「聖人」の定義がまた面白かった。聖なる人だから聖人ではなく、常識では考えられない(まっとうな神経では達成できない)偉業を達成したからこそ、聖人という再定義でもって、「聖遺物」もまた意味を変えていきます(逆に言えば、櫻井たちは聖人でもなんでもない)。だから、歴史上ありえないほど多くの血を吸ってきたものも「聖遺物」だと。そして、その「聖遺物」を媒介にして、彼らの願い、狂気を形にしているという設定が、えらくカッコイイです。

 で、その「聖遺物」を扱うにも、ステージがあり、いまの蓮は「活動」位階というレベル1。櫻井やベイ、ルサルカがいるのはレベル3というステージのようなので、ひとまずは「形成」位階というレベル2を目指すことになります。

 で、そんな真夜中デートの中、横槍が。

「私はシュピーネ。聖槍十三騎士団黒円卓第十位、ロート・シュピーネ。残念ながら本名はすでに捨ててしまった身ですので、その称号しか持ち合わせていませんがね」(ロート・シュピーネ)

 今までの流れで言えば、人間であるはずの「本名」を捨てちゃっているので、わかりやすすぎるくらい作中否のキャラっぽいです。イカれていると言われるベイですら、「ヴィルヘルム・エーレンブルグ」という人間だった頃の名前を捨てていないのに、シュピーネはいとも容易く捨ててしまっている。そんな人間をやめてしまったモノの末路がどうなるのか、注目です。

聖と俗―宗教的なるものの本質について (叢書・ウニベルシタス)
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Die Morgendammerung (ディエ モルゲンデンメルング/ 黎明)
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