セイクリッドセブン [Sacred Seven] <豪華版> Vol.01 (初回限定生産) [Blu-ray]「あれは相当なものだ」(鏡誠)

『セイクリッドセブン』#6「ワンモアナイト」のネタバレ感想です。前回あれほどまでに格好良かった鏡さんが、あっという間に、落ちぶれる。それがセイクリッドセブン。



「近いって! 君いつも近いよね、距離が、あっ、話すときの。おれと話すときは、1メートルは離れてくれないか」(丹童子アルマ)

 彼の背の高さ(バイクに乗っているときの違和感など)が、彼自身の役割に対する「背伸び」っぷりを表現しているのであれば、ルリの近すぎる距離も、同じようなものなのかもしれないなぁ。それはそれで可愛いというか、等身大の良さがありますね。

 で、同じようなシーンとして思い浮かぶのは、第一話の若菜とのシーン(同じくアルマへ詰め寄っていく)ですが、いま見返してみたら、ほんとうに1メートルぐらい離れた距離で、喋っていて笑った(詰め寄りそうなところで、揚羽や七海に引きずられて後退していく=1メートルルールを守りきって、会話終了)。

#今更ながら、公式HPの若菜の紹介にある「アルマの良き理解者である」という下りが、嘘でも勘違いでもなく、偶然なのかもしれないけれど、「ほんとう」というのが格好良い。

 イシ部の部室での、干渉しすぎもよくないという言葉もそうですが、この子は人との距離感が絶妙すぎ。そして、そんだけ絶妙な距離、言ってみれば、最初から適正な距離を取れるのであれば、物語になりようがないんですよね(ほぼありとあらゆる物語――とくに神話――は、作中に潜む「不均衡」が是正されるのが目的だから)。ゆえに、OPのような、ルリがアルマに抱きしめてもらう(若菜のような、絶妙な距離感ではなく、距離がゼロになる)瞬間がクライマックスになるのだろうな、と。



 研美とナイトが登場したということもあって、引き続き彼らの「居場所」問題についても気になるところではあるけれど、それはおそらく次回で扱われると思われるので、今回は置いときます。

 そして、今回改めて提出された対比として、「血と石」というものが、あると思います。最近、より深い物語読解のために、神話の研究などにちまちまと勤しんでいたりもしますが、おそらくこの「血と石」の対比(対立)も神話的なものなのだろうな、と。いや、まあ具体的に、神話における「血の意味」まで進んでいませんが、「死と生」というか、「死と不死性」辺りから読み解けそうな気がする。

「石」というのは当然これまで何度となく描かれているように、「確かなもの」として存在しているので、より「生」に近く。「血」というのは「移ろうもの」として存在している(ナイトにとって血清がないと生きられない)ので、より「死」に近い。

 だからこそ、今回研美はアルトに血の必要性を説き(アルマのことをより「移ろいやすい存在」だと説き)、若菜は彼のことを大仏みたいと言う(彼の存在をより確かなものとして捉えてる)。この神話的対立が絶妙。

「丹童子くんって、身体が大きいから、いないと大仏のいなくなった鎌倉みたいな気がするよね」(伊藤若菜)

 それで、なんでそういう話になるかというと、結局「距離感」の問題に帰っていくんですが、ようはどう距離を取るのかという物語でもあるんだろうな、と。大仏を近くで見すぎたら当然のように何が何だかわからないし、遠すぎたら全体像は見えても、結局それが何かはわからない。そんな石(アルマ)との距離が上手く取れない、難しいというのが、いろんな形で描かれていたのが、今回のエピソードだったのかな、と。

 石との距離感が上手く掴めない鏡さんは、ルリの手紙をアルマに誤解されてしまう。というのは、わかりやすいぐらいにわかりやすく、鏡さんがアルマとの距離を上手く取れていないことが表現されていて、よかったです。

#逆に、「血」というのは、そうした距離感を別の意味で容易に無効化してしまうものなんだよなー。

→ちなみに、なんで神話の話になるかというと、こちらの記事を参照で。

【セイクリッドセブン】 ストーリーはまんまギリシャ神話みたいね - 冒険者の宴 - 博客大巴

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セイクリッドセブン [Sacred Seven] <豪華版> Vol.02 (初回限定生産) [Blu-ray]
TVアニメーション「セイクリッドセブン」オープニングテーマ「stone cold」
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