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『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二十話「描かれたあの日の虹」のネタバレ感想です。ワコの役割がなんとなく見えてきたような……。キャメルスターに襲われそうになっても、正直「殺る」気でしたからね(笑)。ワコは恐ろしい子。
◇
「最近よく思うんだ。俺たちはどうしてもっと仲良くできなったんだろうな。どうして、こんな関係になってしまったんだろうな」(カタシロ・リョウスケ)
今回、かなり好きかもしれない。
脇役(タクトたち三人以外)を描くことで、肝心要のタクトたち三人の関係にどんどんフォーカスして行ってるわけですよね。今回ならば、過去のヘッド(ツナシ・トキオ)、リョウスケ、ソラの三人を描くことで、現代のタクト、スガタ、ワコの三人の関係がどう変わっていくのか、あるいはどう変わってはいけないかを描いた回だったのかなぁ、と。
やっぱりスタドラでは、「三人」の関係というのが、非常に意味のある形で描かれていますよね。一人でもダメ、二人でもすぐに行き詰まってしまう。どうしても「三人」が必要なようです。それが例えば、「一人と二人」の関係になっても、七話八話のタクトたちのように上手くいくことがない。
#そーゆー意味では、ミドリ先生が二人っきりでらぶらぶしているのが、非常にイイですね。この人は本当に規格外の人物なんだろうなぁ、と(笑)。
そう、言ってみれば、今のタクトたちのような、ある種均衡の取れた三人の関係がいちばん望ましいわけです。でも、過去にカタシロがヘッドとソラとの関係を覗き見てしまったように、今回タクトはスガタがワコにキスをする(ように見える)ところを覗き見てしまう。三人のまま、いつまでも三人で楽しい日々を、青春を謳歌し続けることが出来ないことに気づいてしまう。
「この力のおかげで、おれには最初からお前とソラのこともすべて見えていた」(カタシロ・リョウスケ)
ミドリ先生のように、いつだって青春を謳歌し始めることは出来るかもしれない。だけど、いつでも始められるということは、いつ終わってもおかしくないということで。永遠に青春を謳歌し続けることは、やっぱり出来ない――ですよね。
それを永遠に閉じ込めてしまおうと思ったのが、ヘッド。ツナシ・トキオという過去をかなぐり捨ててて、ミヤビ・レイジ(零時)として「ゼロ時間」に積極的に囚われている男。
「ソラはいつこの島からいなくなったんだ?」(ミヤビ・レイジ)
今思えば、そんなヘッドに対して「物語」を、終わらせようとした――「永遠がほしいなんて嘘でしょ」とぶった切った――のがサカナちゃんだったわけですね。これは、惚れ直す。
イカ刺しサムと少女の物語は、ツナシ・トキオが地下遺跡に魅せられる余りに、本当に大切だった(愛していた)ソラを失ってしまったことを伝えるためのものだったんだろうな。
イカ刺しサムが夢を叶えて、初めて大切だったのは少女だと気づいたように、あなた(=ヘッド)にとって本当に大切だったのは地下遺跡(ソラさんの美しさを永遠の残すこと)ではなく、他ならぬソラさん自身だったんでしょう?と。
どんなにソラさんを描くことで、美しいソラさんを閉じ込めたとしても、ミもフタもない言い方をすれば、それはソラさんの複製であって、ソラさん自身ではない。銀河の向こう側を目指して旅立ったサムが、結局それは自分たちの星と変わらないと気づいてしまったような、切なさ。
そんな彼の絵を美しいと思ってしまったのが、カタシロ・リョウスケで。
でも、実際のところ、トキオはおそらくリョウスケになりたかったと思うんですよね。Rは雅号だと彼は言ってましたが(いわば、ミヤビ・レイジの「レイジ」だと)、ストレートにリョウスケのRなのではないかと。あの虹の日を描いたソラさんの絵にはソラさんしかいませんでしたが、あの時ソラさんの隣にいたのは紛れもなくリョウスケだった。あの美しいソラさんの隣にいたのは、トキオではなく、リョウスケだったんです。
そして、結局のところソラさんも、リョウスケに振り向いてほしかった。
「それでもあなたよりは。あなたは私のことを何とも思っていなかったでしょう!?」(ソラ)
確かに、第一フェーズの力でトキオとソラさんの密談を覗き見ることが出来たかもしれない。だけど、その心の内まではきっと見られなかったんだろうな、と。そーゆー意味では、カタシロ・リョウスケもまた過去に囚われ続けた人なわけですね。
あの虹の日に、ソラさんが手を掴めていれば変わっていたかもしれない。リョウスケがもっと早くにあの懐中時計の秘密を話していれば、三人の関係もまた違ったものになっていたかもしれない。
「嘘じゃない」(カタシロ・リョウスケ)
そんな「if」を、「もしも」を体現するのが、現代のタクトたち。確かにタクトは、スガタがワコにキスをするところを見たかもしれない。だけど、その心の内までを見たわけではない。彼らがどういう思いで、いまを過ごしているのか、そのときになるまでやっぱりわからないんですよね。ケイトもタクトも、そう「見えている」だけだから。
→発売間近!
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→次回第21話「リビドーなお年頃」の感想へ
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コメント
かもめさん、こんばんは。
想定内ではありましたが、どうやらヘッドは身も心もゼロ時間に囚われているようですね。
一人置き去りにされた寂しさが姉を生み出し、知りたくない真実を見せる厭わしい目は
塞がれ、若く美しい恋人の記憶と共に自分の時間まで止めてしまうのがサイバディの
影響なら、現実否定の精神状態に、第一フェーズというものは殊更に反応してしまう
のでしょうか。
自分を守るために記憶まで作り替えたミズノのように、ミヤビ・レイジという「仮面」を
被り続けた青年は、父親に認められなかったツナシ・トキオであった記憶を失ってしまって
いるのかもしれませんね。
ところで前回のかもめさんのコメントで気がついたのですが、サカナちゃんにはヘッド、
ミズノにはマリノ、ワコにはスガタと、3人の巫女にはパートナーに相応する相手が存在
しますが、ケイトには誰もいなかったのではないでしょうか。
3人組の中でどこか疎外感を感じるタクトは、ケイトにシンパシーを感じているようですが、
この二人がカップル化するイメージは不思議とないんですよね。
ただ、皆水の巫女とひが日死の巫女それぞれに命を救われたという縁で、こちらも
ある種の三角関係が成立したような気もしますが。
ケイトがどういう思惑で綺羅星十字団に組しているのかは今もって不明ですが、もしか
したらこの組織を内側から崩壊させる一助となるかも知れませんし、シルシ持ち以外は
島民もろとも見捨てるというバニシングエージの
目論みを知ったなら、きっと人妻さんや
フィラメント組も黙っていないでしょうね。
敵対関係でなかったなら、きっとタクト達のいい先輩であっただろうフィラメント組は
結構お気に入りなんです(笑)。
>れおぽんさん
どうも、かもめです。こんばんはー。
>想定内ではありましたが、どうやらヘッドは身も心もゼロ時間に囚われているようですね。
ヘッドがタクトの父(血が繋がっているという意味で)であるとか、その点とか、あまり考えていなかったので、割とサプライズを感じてました(笑)
>一人置き去りにされた寂しさが姉を生み出し、知りたくない真実を見せる厭わしい目は
>塞がれ、若く美しい恋人の記憶と共に自分の時間まで止めてしまうのがサイバディの
>影響なら、現実否定の精神状態に、第一フェーズというものは殊更に反応してしまうのでしょうか。
ミズノとカタシロさんは、まさに現実を直視できなかったためですが、ヘッドの場合はどうなんでしょうね。今日何とはなしに、第一話を眺めていたら、ヘッドの第一フェーズの力はスターソードを現実世界に呼び出す(空想を現実化する)ようなもののはずなんですが……。
続きます。
続きです。
>自分を守るために記憶まで作り替えたミズノのように、ミヤビ・レイジという「仮面」を
>被り続けた青年は、父親に認められなかったツナシ・トキオであった記憶を失ってしまって
>いるのかもしれませんね。
やるべきこととやりたいことが一致していないということでしょうか。ヘッドが本当に「やるべきこと」に向かい合うことが出来たら、その時初めてこの物語は終わるし、彼が輝き始めるんだろうな、と思ってます。年老いた、それでも昔の美しさを残したソラさんが登場したりしないかな、と。
>ところで前回のかもめさんのコメントで気がついたのですが、サカナちゃんにはヘッド、
>ミズノにはマリノ、ワコにはスガタと、3人の巫女にはパートナーに相応する相手が存在
>しますが、ケイトには誰もいなかったのではないでしょうか。
ケイトに対応するパートナーはスガタかタクトのどちらかなのかな、と思っていたりはします。ソラさんの名字が明かされていないことから、シンドウ・ソラでスガタとタクトは双子という予測があったりで、この辺りかなり楽しみにしています。
>3人組の中でどこか疎外感を感じるタクトは、ケイトにシンパシーを感じているようですが、
>この二人がカップル化するイメージは不思議とないんですよね。
確かにないですね。ただ秘密を文字通り「秘匿」しているケイトとスガタに比べて、ケイトとタクトの関係の方が今の所進んでいるかなぁ、とはおもったり。
さらに続きます。
ラストです。
>ただ、皆水の巫女とひが日死の巫女それぞれに命を救われたという縁で、こちらもある種の三角関係が成立したような気もしますが。
あっ、なるほど。ゼロ時間でタクトやワコを守れないスガタに対して、ゼロ時間外でもタクトを助けることが出来るワコやケイトですか。ザメクに乗ることばかり考えていますが、そーゆー可能性もありますね。これは面白い。
>ケイトがどういう思惑で綺羅星十字団に組しているのかは今もって不明ですが、
>もしかしたらこの組織を内側から崩壊させる一助となるかも知れませんし、シルシ持ち以外は
>島民もろとも見捨てるというバニシングエージの目論みを知ったなら、きっと人妻さんやフィラメント組も黙っていないでしょうね。
>敵対関係でなかったなら、きっとタクト達のいい先輩であっただろうフィラメント組は結構お気に入りなんです(笑)。
ケイトの思惑はこれまでにヒントが潜んでいるようで、はっきりとはわからないですよね。言われて初めて、納得し、見返してみるとなるほど!と思えるような展開が来そうです。今回のエピソードで、イカ刺しサムの物語が意味するところを垣間見せたように、ものすごく構成美に溢れる作品なので。
今回であの空間にはサイバディが二体以上入ることがわかったので、そうした共闘も現実味を帯びてきましたね。ジョージの名誉挽回はまだかな(笑)。久々に第一話を見ると、彼のあまりの格好良さに驚いてしまいましたが。
こんばんは、かもめさん。先日の補足です。
タクトの体に命を「吹き込んだ」ワコに対し、体から毒を「吸い出した」ケイトという
対比も計算上の演出だとしたら、構成美を越えた偏執的なものを感じます(汗)。
ただ、人を寄せつけない印象のケイトがタクトに心を開いて来ているのは好印象ですね。
髪の色繋がりと誕生日の設定があからさま過ぎる気がしたので、タクトとスガタの双子説は
封印していましたが、ソラがシンドウ姓の可能性は考えていました。
やっとタクトの両親らしき人物が判明しましたが、ワコとスガタの両親のことは未だ
語られず、彼らのシルシの継承過程によっては双子設定は不可能になるような。
この辺り、全然詳しく説明されていませんよね?
ヘッドは、カタシロの真実を見る目?も継いでいるように感じます。彼にはむしろフェーズと
いうよりも、スタードライバーである弊害が出てきてしまっているように感じますね。
もしかしたらアインゴットは、己の妄執に囚われ過ぎたドライバー達を呑み込んだ機体で
あるのかも知れません。
今回のカタシロ達の過去エピソードは、なるほどかもめさん仰る通り三角関係は、
誰かがきちんと振られなければならないという暗揄に思えて来ました。
そしてそれはやはりタクトであるような気がしています。
>れおぽんさん
>こんばんは、かもめさん。先日の補足です。
どうもかもめです。返信遅くなって申し訳ないです。
>タクトの体に命を「吹き込んだ」ワコに対し、体から毒を「吸い出した」ケイトという
>対比も計算上の演出だとしたら、構成美を越えた偏執的なものを感じます(汗)。
>ただ、人を寄せつけない印象のケイトがタクトに心を開いて来ているのは好印象ですね。
れおぽんさんのおっしゃる、(タクトを軸とした)ワコとケイトの対比は気づいていませんでした。れおぽんさんすげー。
日曜五時という時間帯って、ぱっと見て、面白がれる画面が、全面に出やすいんですが、そこに今回僕が感想で書いた「イカ刺しサム」の物語やれおぽんさんの発見した「ケイトとワコの対比」など、かなり通好みな構成を持ってきてますよね。す、スタッフさんたち、本当に何者なんだというぐらいに、毎回毎回痺れてきます。これぞまさにボンズクオリティ。
そして、どことなく態度が柔らかくなっているケイトさんも、良いですねぇ。スガタとの秘め事をあかすとしたら、タクトだったりするのかなぁ、と。
>髪の色繋がりと誕生日の設定があからさま過ぎる気がしたので、タクトとスガタの双子説は
>封印していましたが、ソラがシンドウ姓の可能性は考えていました。
ここまで来ると、そうなのかな、と思いますが、ここで外してくるのもスタドラっぽい気がするんで、難しい(笑)
続きます。
続きです。
>やっとタクトの両親らしき人物が判明しましたが、ワコとスガタの両親のことは未だ
>語られず、彼らのシルシの継承過程によっては双子設定は不可能になるような。
>この辺り、全然詳しく説明されていませんよね?
明かされていないと思います。もしかしたら、何か別の比喩で描かれていたりもするのかもしれませんが(これまでの構成美を見るに)、少なくとも僕は気づけてないっす。
>ヘッドは、カタシロの真実を見る目?も継いでいるように感じます。彼にはむしろフェーズと
>いうよりも、スタードライバーである弊害が出てきてしまっているように感じますね。
まさにゼロ時間、もとい古代文明の力に囚われていると。フェーズにしろ、スタードライバーにせよ、サイバディにせよ、それこそソラさんにせよ、絶対視したところから崩れ去っていく。
となると、もうここはそんな所から、ずいぶんと落ちぶれてしまったホンダ・ジョージの活躍なんかが期待したいところですね。一番最初に資格を剥奪された彼こそが、まさに「銀河美少年」という様を見せてくれたら、たぶん一番感動してしまう(笑)。
もう一回続きます。
ラストです。
>もしかしたらアインゴットは、己の妄執に囚われ過ぎたドライバー達を呑み込んだ機体で
>あるのかも知れません。
それをいうと、本来なら妄執の存在であったマリノさんが、現実の存在として「生きている」ことに、感慨深くなってきますね。今思うと、真実が必ずしも是とされるわけではなく、ときには秘密も必要という一連の流れに合ったエピソードだったのかも。
>今回のカタシロ達の過去エピソードは、なるほどかもめさん仰る通り三角関係は、
>誰かがきちんと振られなければならないという暗揄に思えて来ました。
>そしてそれはやはりタクトであるような気がしています。
ここはちょっと今回のエピソードを見て、わからなくなってきた部分だったりします。スガタとワコがくっつくというのが僕の予測だったのですが、今回のエピソードを彼らの関係に当てはめると、また違ってきます。
いってしまえば、今回真実の目を持っていたカタシロには真実は見えていなかったというエピソードだったので、スガタがワコにキスしたように見えたのもタクトの勘違いで。そーゆー意味で彼らはお互いを捉えているわけではないはずなんですよね。素直に見ると、スガタがワコを好いているというミスリードのはずで、となるとワコとくっつくのはタクト……なのかな? という気になってきます。