STAR DRIVER<スタードライバー> 輝きのタクト2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「やはりおまえは、心がゼロ時間に囚われている」(カタシロ・リョウスケ)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二十話「描かれたあの日の虹」のネタバレ感想です。ワコの役割がなんとなく見えてきたような……。キャメルスターに襲われそうになっても、正直「殺る」気でしたからね(笑)。ワコは恐ろしい子。


「最近よく思うんだ。俺たちはどうしてもっと仲良くできなったんだろうな。どうして、こんな関係になってしまったんだろうな」(カタシロ・リョウスケ)

 今回、かなり好きかもしれない。

 脇役(タクトたち三人以外)を描くことで、肝心要のタクトたち三人の関係にどんどんフォーカスして行ってるわけですよね。今回ならば、過去のヘッド(ツナシ・トキオ)、リョウスケ、ソラの三人を描くことで、現代のタクト、スガタ、ワコの三人の関係がどう変わっていくのか、あるいはどう変わってはいけないかを描いた回だったのかなぁ、と。

 やっぱりスタドラでは、「三人」の関係というのが、非常に意味のある形で描かれていますよね。一人でもダメ、二人でもすぐに行き詰まってしまう。どうしても「三人」が必要なようです。それが例えば、「一人と二人」の関係になっても、七話八話のタクトたちのように上手くいくことがない。

#そーゆー意味では、ミドリ先生が二人っきりでらぶらぶしているのが、非常にイイですね。この人は本当に規格外の人物なんだろうなぁ、と(笑)。

 そう、言ってみれば、今のタクトたちのような、ある種均衡の取れた三人の関係がいちばん望ましいわけです。でも、過去にカタシロがヘッドとソラとの関係を覗き見てしまったように、今回タクトはスガタがワコにキスをする(ように見える)ところを覗き見てしまう。三人のまま、いつまでも三人で楽しい日々を、青春を謳歌し続けることが出来ないことに気づいてしまう。

「この力のおかげで、おれには最初からお前とソラのこともすべて見えていた」(カタシロ・リョウスケ)

 ミドリ先生のように、いつだって青春を謳歌し始めることは出来るかもしれない。だけど、いつでも始められるということは、いつ終わってもおかしくないということで。永遠に青春を謳歌し続けることは、やっぱり出来ない――ですよね。

 それを永遠に閉じ込めてしまおうと思ったのが、ヘッド。ツナシ・トキオという過去をかなぐり捨ててて、ミヤビ・レイジ(零時)として「ゼロ時間」に積極的に囚われている男。

「ソラはいつこの島からいなくなったんだ?」(ミヤビ・レイジ)

 今思えば、そんなヘッドに対して「物語」を、終わらせようとした――「永遠がほしいなんて嘘でしょ」とぶった切った――のがサカナちゃんだったわけですね。これは、惚れ直す。

 イカ刺しサムと少女の物語は、ツナシ・トキオが地下遺跡に魅せられる余りに、本当に大切だった(愛していた)ソラを失ってしまったことを伝えるためのものだったんだろうな。

 イカ刺しサムが夢を叶えて、初めて大切だったのは少女だと気づいたように、あなた(=ヘッド)にとって本当に大切だったのは地下遺跡(ソラさんの美しさを永遠の残すこと)ではなく、他ならぬソラさん自身だったんでしょう?と。

 どんなにソラさんを描くことで、美しいソラさんを閉じ込めたとしても、ミもフタもない言い方をすれば、それはソラさんの複製であって、ソラさん自身ではない。銀河の向こう側を目指して旅立ったサムが、結局それは自分たちの星と変わらないと気づいてしまったような、切なさ。

 そんな彼の絵を美しいと思ってしまったのが、カタシロ・リョウスケで。

 でも、実際のところ、トキオはおそらくリョウスケになりたかったと思うんですよね。Rは雅号だと彼は言ってましたが(いわば、ミヤビ・レイジの「レイジ」だと)、ストレートにリョウスケのRなのではないかと。あの虹の日を描いたソラさんの絵にはソラさんしかいませんでしたが、あの時ソラさんの隣にいたのは紛れもなくリョウスケだった。あの美しいソラさんの隣にいたのは、トキオではなく、リョウスケだったんです。

 そして、結局のところソラさんも、リョウスケに振り向いてほしかった

「それでもあなたよりは。あなたは私のことを何とも思っていなかったでしょう!?」(ソラ)

 確かに、第一フェーズの力でトキオとソラさんの密談を覗き見ることが出来たかもしれない。だけど、その心の内まではきっと見られなかったんだろうな、と。そーゆー意味では、カタシロ・リョウスケもまた過去に囚われ続けた人なわけですね。

 あの虹の日に、ソラさんが手を掴めていれば変わっていたかもしれない。リョウスケがもっと早くにあの懐中時計の秘密を話していれば、三人の関係もまた違ったものになっていたかもしれない。

「嘘じゃない」(カタシロ・リョウスケ)

 そんな「if」を、「もしも」を体現するのが、現代のタクトたち。確かにタクトは、スガタがワコにキスをするところを見たかもしれない。だけど、その心の内までを見たわけではない。彼らがどういう思いで、いまを過ごしているのか、そのときになるまでやっぱりわからないんですよね。ケイトもタクトも、そう「見えている」だけだから。

→発売間近!

STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 2 【完全生産限定版】 [DVD]

前回第19話「三人の日曜日」の感想へ
次回第21話「リビドーなお年頃」の感想へ
『STAR DRIVER 輝きのタクト』の感想インデックスへ