STAR DRIVER<スタードライバー> 輝きのタクト2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「バカみたいよね」(ニチ・ケイト)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十八話「ケイトの朝と夜」のネタバレ感想です。本日は朝からあみっけふぃーばー。


「“旅立ちの日”が来て、こいつらがサイバディでゼロ時間の外に出て、好きに暴れたら、世界は本当にやばいんじゃないのか。……わたしも、つまんないくんになっちゃったかな」(プロフェッサー・グリーン)

 いえいえ、先生は昔っからそんなお人です。

 バンカーはまだ若干判断を迷うところではあるんですが、プロフェッサー・グリーンことオカモト・ミドリはベニオやカナコ様に先んじて、「一抜け」していたんだなぁ、と再確認。彼女の場合は、あまりタクトに関係がなく、単純に美少年と付き合う形になって、青春を謳歌し始めたわけですが、ポイントは青春を謳歌するのに「年は関係ない」っていうことだろうか。

 十年前の卒業生。
 なら、今は三十路一歩手前。

 そんな彼女だって人生を縦横無尽に謳歌しているわけなんだから、遅すぎるということはないし、超古代文明の力など借りずとも大好きな美少年はゲットできる。死者のように踊らずとも、青春を謳歌することはできるのだと。

#第一フェーズの能力に惹かれなかった少年と付き合うことになったというのも、一つその証左でもありますね。

 第五話の感想を読み返してみると、その辺りのことに触れられていて、本当にここまで一貫している物語作りをしているんだなぁ、と震えがきます。オープンにすべきところはオープンにして、秘め事はちゃんと隠す、そんな人だからこそ、ケイ・マドカやアタリ・コウの存在を危険視するのは、納得の展開。

 レオン・ワタナベを含めバニシングエージの面々を中心に、ゼロ時間やサイバディの存在をオープンにしていくという流れが主流になっているわけですが、そこに前半からちょこちょこと描かれていた、何もかもをオープンにする必要はない、秘するものは秘するというカウンターが効いてくる感じ。その陣営も徐々に組まれつつありますね。

#とはいえ、物語としては表巫女の封印は解かれ、旅立ちの日を迎えてしまうことは間違いないので、その上でヘッドがどんな選択をするのかがやっぱり今後の見所でしょうか。



「自分が識別できれば、それで十分だ」(シンドウ・スガタ)

 とは言いつつも、いまの自分を支えてくれているのは、ニチ・ケイトという展開は強烈に皮肉めいていますね。これはルイさんの指摘で気づいたことですが、タクトがサイバディを破壊し、それを再生しようとしたら、スタードライバーは死のリスクを負うことになる。どれだけ相手を傷つけずに戦おうとしても、彼の与り知らぬところではそうした出来事が起こっていて、間接的に傷つけるきっかけを作ってしまっている。それはスガタも同じ。

「王の柱」を使い、自分の才能をやるべきことやりたいことに使っているけれど、その裏ではケイトに負担をかけているかもしれないという。自身が輝くことで誰かが影になっているのかもしれないのだ。

 想像(というか妄想)ばかりですが、楽しい日々の随所随所にそうした死の薫りが漂っているのが、いかにも「ボンズらしい」なぁ、と。いま輝いているタクトにしても、ナツオの死という「翳り」があるわけで。それが時としていろんな形で現れてくる。

#たとえば、スガタの寝室にあった落書きがワコのものだと知ったときの表情が寂しそうですが、それはストレートにワコと過去を共有していないことから来ているのか、自分の既に存在しない三人組の姿を思い起こしているのかとか。まあ、前者だとは思いますが(笑)。

 あいばさんの感想にずばりと書かれていますが、多分いま「輝いている人」にはどこか死を漂わせるように描いているんですよね。僕の言葉で言えば、死者の踊りから抜け出して、青春を謳歌しているヤツとでも言いましょうか。輝いているヤツ、それに憧れる子、そして、役割が今はまだわかっていない「女の子」の三人組が繰り返し繰り返し、おそらくは時代を越えて描かれている。

 タクト・スガタ・ワコ
 スガタ・ケイト・ワコ
 ベッドの人・ヘッド・サカナちゃん

 そして、

 ナツオ・タクト・ハナ

 がそれぞれに該当しているんですね。輝いているヤツ、その人に憧れて結果的に傷ついてしまっている子。ナツオにおけるタクトは胸に傷を、タクトにおけるスガタは目覚めぬ眠りへ、スガタにおけるケイトには禊ぎ、そして、ヘッドは傷心と(笑)。傷ついても憧れているヤツに向かって、何だかんだ言って走っているのが特徴です。

#停滞感全快のヘッドも、前に進んではいる。

 ここで何が巧妙かというと、ここまでずっと三人目の役回りが隠されていることですね。ナツオに憧れて、タクトがこの島に渡ったのはわかったけれど、それじゃあ彼の死を受けてハナがどうなったかは描かれていないし、ワコもマキにずっと「(タクトくんとスガタくん)どっちにしたの?」と問われ続けている(答えは保留)。

 唯一明確なアクションを取ったのは、サカナちゃんで、彼女はヘッドのやろうとしていることに「ノー」と言ったんですよね。あなたのやろうとしたことは間違っていると。思えば、物語の冒頭でワコもスガタなら外に出せるという言葉に否を突きつけている。

 でも、それは相手をこれ以上傷つけないための「ノー」でしかなくて。最後に彼女たちが語るのは、彼らが輝くための言葉なのだろうとそんな風に思います。スガタやケイト、そしてヘッドが輝く瞬間が、今から待ち遠しい。

→気になる。

STAR DRIVER 輝きのタクト 銀河美少年伝説 特典 南十字学園スペシャルディスク付き
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