STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「俺たちは、似てるからさ」(ヘッド)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十二話「ガラス越しのキス」のネタバレ感想です。なんとなく手応えがダーカーっぽくなってきたなぁ。似たもの同士の物語。


「シモーヌちゃんは、ホント彼女のことが大好きなんだね」(ツナシ・タクト)

 シモーヌ、本当に表情が豊かになったなぁ。タクトに図星を差された後の、ちょっと涙ぐんだ表情がほんっとうに可愛らしい。あとカナコVSホンダ・ジョージのスパークリング後に、文字通り目を「点」にしているところとか。

 これまでずっと自分の本名も気持ちも隠していただけに、それらをオープンにした姿は本当に魅力的ですねぇ。必ずしもオープンにすることが是ではない(秘密にもちゃんと意味がある)という作風なので、そんな中あえて表に出した感情っていうのは、すっごく納得。大嫌いと言いつつも、ホントは好きなんでしょ? と思っていたので、それを他ならぬタクトが指摘するのが、もうたまらん。前回ミズノが

「ずっと見てるのは、好きだから、でしょ?」

 と言ってましたが、まさにそれですよ。本当に大嫌いだったら、自分の顔よりも相手の顔ばかり見ているなんてできない。「日死の巫女」編はこの「視線」というか、誰かを「見る」という行為がすごく印象的に描かれているので、今後もその辺りは注目かな(次回はずっとスガタを見ていた寮長のお話だし)。

 タクトがマリノさんの目を褒めたり、今回シモーヌの青い眼に焦点を当てたりするのは、その一連の描写っぽいですよね。

「休みの日に、青い眼の女の子が訪ねてきてくれるなんて、ちょっと感動だよ」(ツナシ・タクト)

 前回の描写繋がりなら、ガラスのドアの向こうで目を閉じるシモーヌというシーンは意味深。鏡の前で綺羅星の仮面をつけた前回のシーンとの対比で描かれているシーンだと思うんですが、ここ今回では一番好きかもしれない。二重三重で、縛られていたものからシモーヌが解放されるところが描かれてるんですよ。今回のカナコとシモーヌは、そういう意味ではすごく「似たもの」同士なんですよね。

「シモーヌちゃん……か」(シモーヌ・アラゴン)

 仮面で隠した自分の表情を見ていた前回とは違って、今回はドアの前で目を閉じて想っているのはタクトと、そして青い眼をした自分のこと(仮面だと瞳の色も当然見えない=仮面を砕かれた今のシモーヌにはちゃんと見えてる)。ガラスのドアはもちろん「ガラス越しのキス」や「仮面」と同じ意味で描かれているんだと思うんですが、それを彼女は抜けていくんですよね。そして、想うのは、

「どれぐらいの競争率なのかな?」(シモーヌ・アラゴン)

 と。それまで復讐心ばかりだった彼女の心に初めて生まれた、ちょっとした隙間。青春の謳歌。



「ガラス越しでも、相手の顔は見えてるわけで。本当にキスするのと変わらないんじゃないかな」(ツナシ・タクト)
「じゃあ、目を閉じれば、どーお?」(ワタナベ・カナコ)


 目を閉じれば「ガラス越しのキス」でもいいの? っていう疑問に、やっぱり「待った」を挟んでしまうんですよね。ずっと見てるのは好きだからというなら、相手を見ずにするキスはやっぱり「ガラス越しのキス」と同じなんじゃないかと。

 だからこそ、最後のキスは直接相手に届けてしまう。タクトが目を閉じて唇を近づけるシーンは、これカナコ「視点」での表現ですよね。文字通り、彼女の「視線」でタクトのことがどう見えているのか? どう捉えているのか?と、カナコさんの心境ダダ漏れです(笑)。何だかんだ言って、彼女はずっとタクトを見ていたわけで。

「考えてみれば、わたくしって毎日毎日退屈な授業の間、ずっと貴方の背中を見て過ごしているのよね」(ワタナベ・カナコ)

 ずっと見ていたからこそ、最後には視線を預けられるんですよね、きっと。

「青春の謳歌ってやつかしらね」(ワタナベ・カナコ)



「君はどこか、俺に似ている」(ヘッド)

 スガタ、ワコ、タクトの物語とヘッドとサカナちゃんの物語が対応しているというのは、これまでの感想でも書いていますが、今回ヘッド側からそれを裏付ける一言が。

 スガタとヘッドは似ている。

 引き続き、この二人の物語にタクト役として登場するのは誰なのか? というのが気になるところなんですが、これはもしかするとスガタだったりするのかなぁ。前回「出たがっているなら、出してあげればいい」みたいなことも言ってることだし。

 スガタとヘッドは似ているけれど、やっぱり別の人ではあるんですよね。それはシモーヌとカナコがすごく似ているけれど、タクトに向けたアクションが真逆であるように(タクトにキスを迫ったカナコに対して、シモーヌはタクトを想ったままフェードアウトしていく)、そこはやっぱり相容れないんじゃないかな。

R-style STARDRIVER 輝きのタクト (BOX)
R-style STARDRIVER 輝きのタクト (BOX)


前回第11話「サイバディの指摘活用術」の感想へ
次回第13話「恋する紅い剣」の感想へ
『STAR DRIVER 輝きのタクト』の感想インデックスへ