アニメ『バクマン。』第二話「馬鹿と利口」のネタバレ感想です。原作のネタバレもちょこちょこ含まれますので、ご注意を。


「可愛いのに変に目立とうとせず、素直におしとやかにふるまってるだろ。それを計算でなくやってるんだから、勉強できる岩瀬よりずっと賢いと思う」(高木秋人)

 シュージンとサイコーの長ったらしい描写をうまく圧縮して、ポイントを押さえているのがいい感じです。競争原理に則って、ランキングのトップを目指している岩瀬と、その戦いには参加せず可愛い女の子をやっている亜豆との対比ですね。亜豆の方は、原作でも嫌みにならない程度の点数を計算抜きで取っていると表現されているし、早々と「声優になる」という夢を追っかけているので、夢追いサイド。岩瀬は競争サイドと「今」は便宜的に分けられます。

 夢と競争(=作中の言葉を使うなら、「現実」)。

 あとタイトルが毎回二つの対義語からできているっていうのも関係しているんですが、今という時代を生きて行くには、人はアンビバレント(二律背反)なものを抱えずにはいられない。漫画家になるという夢を追って学歴社会という競争から逃れても、ジャンプの連載枠を勝ち取るべく椅子取りゲームという形で競争しなくちゃいけない。競争を捨て夢だけ追っていれば、夢を捨て競争だけをしていれば、どんなに楽か!という話なんですが、それができないから、そんな矛盾を抱えながらも生きちゃうから人間って「おもしろっ」なんですよね。

「生まれた時から色々違うけどさ、結局その先は、夢みた馬鹿なやつが、でも、夢におぼれなかった利口なやつだけが、上に行ける、そう思うんだ」(高木秋人)

 週刊少年ジャンプで現在連載されている展開を思うと、この台詞はもう確信的だと思うんですが、どちらかを欠いてしまっては、どちらかを大切にしすぎてしまっては、本当に大切なものを失ってしまう。そんな矛盾したせめぎ合いあの中から、すげー面白い漫画が生まれてくるのです。

 亜豆さんのこと大好きで一緒にいたいけど、同じ教室にいるとドキドキして、たまらなく息苦しくてそばにいられない真城最高(サイコー)と、漫画家という無謀な夢を追いながらも「保険」として学年一位を取る高木秋人(シュージン)。そんな二人の矛盾した二人の、リアルで嘘っぽい漫画(いや、アニメ)。それが『バクマン。』なんですよね。うーん、やっぱりものすごっく面白い!!



 これは本編とはあまり関係のない話題ですが、後々出てくる漫画家は「計算タイプ」と「天才タイプ」に分かれるというお話の延長で、亜豆の声優としての「格」(彼女は天才型)を表しているんだろうなぁ。もうひとつ彼女の実力がどれほどかっていうのは原作を読んでいてもわからないんですが、こういう形で描かれていたのか。亜豆さん、可愛い

→アニメ化直後は品薄になりがちなので、お早めにどうぞ。


バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)

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