イノセント・ヴィーナス 1 [DVD]「もう捕まっちゃあ、だめだよ?」(登戸沙那)

『INNOCENT VENUS』第一話「奈落」のネタバレ感想です。バンダイチャンネルにて視聴開始。少女と男2人の逃亡劇というところにフェチズムを感じる。


「本当に怖いやつはわからないんだよ、表からはね」(鶴沢仁)

 わかりやすい形での「残虐性」を見せつけたファントムや丈と対比されていそうな部分。こういう描き方をするということは、本当に恐ろしいのはファントムでも丈でもなく、仁ということなんだろうなぁ。

 ごらが捕まえたカエルの姿なんかは、沙那の運命を暗示してそうな感じ。逃がしてもらえたはずなのにまだ捕まっていたというところに、ロゴスから逃げ出してきても実はまだ囚われているという、彼女の在りようを重ねているんじゃないかな。ハイパーハリケーンに覆われた地球といい、周りが柵に囲まれたピアノといい、閉塞感を感じさせる箇所が多い。

 そんな閉塞感を打ち破ろうとして、それまで周りに気づかれるから弾けなかった鍵盤を叩いたけれど、

「変な音」(登戸沙那)

 と、自分の望んだ音は鳴らない。だから、自分も逃げられないと涙が流れるという。僕はあの涙をそういう風に解釈してみましたが、普通に見ていたら間違いなくさっぱりな箇所なので、追々繰り返しの描写なんかであのときの沙那の真意がわかるようになってるのかな。

 変な音しか鳴らないピアノや、カエルをあの状況下から逃がしたところで、戦場から無事脱出できるのかどうかわからないという点も含めて、徹底的にこの閉塞感が逃れられないという演出が続いてるんだけど、それならなおのこと、どうやっても囚われているのに、それでも逃げるという彼女たち三人の「旅」がどういう意味を持っているのか、今後が気になります。