
高河ゆん『機動戦士ガンダム00【ダブルオー】 in those days』のネタバレ感想です。本編後の刹那とマリナの邂逅を描く「空と大地のまじわるところ」が素晴らしく刹マリですねっ。
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全編、物語の空白を埋めるエピソードになっている。本編は何だかんだ言って、刹那を軸に動いていたので、他のキャラが補完されるのは嬉しいな。以下、一編ずつの感想をば(と思ったんですが、最初の感想で満足してしまったので、また気が向いた時に続き書きます)。
■空と大地のまじわるところ
んー、やっぱり刹那とマリナの関係好きだなぁ。本編ではほとんど触れあっていないのに、何もかもわかりあっている(何よりも通じ合っている)のがこの二人なんだよなー。これはやっぱり、どちらも永遠に「独り」だからなのかな。刹那とマリナは平行線を辿って永遠に解り合えないということは、製作サイドからも明示されている。それがゆえに、お互いのことを一番とよく分かり合っているのだ。
平和を求める気持ちは、私もあなたも同じなのに、わかりあっているのに、どうして私とあなたの道は交わらないのでしょうか。
上はマリナから刹那への「届かなかった」手紙での一節ですね。これにプラスして、刹那は人類唯一のイノベイターであり、マリナさまはマリナさまで、今回生涯「独り身」を貫く(笑)と宣言している。(笑)とか入れてますが、この辺りの「結婚」っていうのも本編では大切に扱われておりましたね。
そうです、コーラサワーとマネキン大佐のことです!
最初いがみ合っていた二人が最後には結婚するという、本編では数少ない「解り合えた」エンドなわけですが、マリナ様も結婚するの?というヤエルの言葉に「No」と答える。永遠にアザディスタンに仕え、大地に眠るというのだ。
ここで同じ志を持っているような人(例えば、シーリン)がマリナのそばにいることを描いていれば、彼女は「独り」ではないと言えるかもしれないが、一貫してそのような描写は見られない(もちろんいるはずではあるんだけど、描かないということはそういうことなのだろうと)。そういう意味では彼女もまた誰かとわかりあうことができない人であるのだ(結婚しないというのはそういう描写でもある)。
そして、刹那もまた「解り合えなかった」男。トランザムバーストを介して、ダブルオー空間を持ってしてでも分かり合えなかったロックオンとサーシェスのように、刹那もまた同じイノベイターであるリボンズとは解り合うことができなかった。人類が解り合うために革新を遂げた彼だけど、その存在は一人飛び抜けてしまっているがゆえに孤独なのだ(劇場版予告でスメラギさんがフェルトに「彼を想ってあげて。強い想いが人と人と繋げていく」というのは、その辺りを背景にしてるんでしょうね)。
ダブルオーという作品は、結局「解り合えない」エンドを描いているわけだけど、それでも「解り合えない」ということを描いてきた五十話の中にひっそりと「希望」が眠っているという描かれ方をしている。その一つが刹那とマリナさんの関係。
本編の重要なテーマとして「対話」があるけれど、実はこの二人はそれを為してはいないんですよね。それが、セカンドシーズンラストのマリナさんからの手紙で表現されていた。あの手紙は刹那に届いてはいないわけです。だからこそ、今回改めて刹那に対してマリナさんは同じ言葉をかけている(今回でようやく「対話」が成立している)。それでも刹那の武力主義も、マリナさんの平和主義も解り合えず、刹那は宇宙で、マリナはアザディスタンでそれぞれに生きていく。
決して、共には生きていかないけれど、
オレが世界を守ろう
ただ一輪の花を守り抜ける男になろう(刹那・F・セイエイ)
わたしはここに根をはって花を咲かせて待っている
空のあなたからも見えるように
わたしはあなたの 永遠の目印(マリナ・イスマイール)
と。この二人の「誓い」がたまらない。
■The second birthday
■wanderer.
■I'm home.
■主をほめたたよ-アレルヤ-
■The bigining man.