DARKER THAN BLACK -流星の双子- 8 [Blu-ray]「その時は、黒<ヘイ>が教えてくれる」(銀<イン>)

 DTB黒の契約者外伝第四話のネタバレ感想です。流星の双子と同じく、ラストに希望が残る展開は良かったー。


 外伝最終話を見て、思い浮かべたのは、流星の双子最終話での、この会話。

「終わったな――」(小林悟郎)
「いえ、ここからが“はじまり”です」(霧原未咲)


 三鷹文書の予言阻止を狙って組織された三号機関にとって、災厄が放たれてしまっては、組織としての存在意義に関わる。ゆえに、実質の敗北宣言であるゴルゴ課長の言葉に対して、未咲さんが言ったのは「ここがスタートライン」であるという言葉。これは何にとってのスタートかというと、もちろん前期ラストで黒<ヘイ>と未咲さんが選んだ第三の道――契約者と人の共存。未咲さんは貫いたのだ。第一期で思い描いた、夢を。星に願いを掛け続けることを。

 結局のところ、この『黒の契約者外伝』と『流星の双子』は、改めて黒<ヘイ>に問い直すということが主眼になっている物語なのだ。第一期で彼は選択した、いや、文字通りゲートと「契約」した未来を本当に生き抜く覚悟はあるのか?と。

 やっぱり、それを今回明確に描いてくれたのが嬉しい。

 イザナミ化することによって、黒<ヘイ>を傷つけてしまう。だから、自分を「殺して」と黒<ヘイ>に言い続ける銀<イン>なんだけど、そこに黒<ヘイ>の意志は当然ながら、ない。そして、もう一つないのは「どうしても生きていたい」(=黒<ヘイ>と一緒にいたい)という銀<イン>の気持ち。一緒にいたいのにいられないという二律背反の想いのようでいて、黒<ヘイ>に殺される覚悟をしてしまっている(だからこそ、「殺して」と言えてしまう)。

 だけど、ラストで謎の光と会話している時の、彼女にそういう「覚悟」は見られない。彼女は、こう言うのだ。

「その時は、黒<ヘイ>が教えてくれる」(銀<イン>)

 これは、きっと黒<ヘイ>が選んだままに、「生きる」覚悟も「死ぬ」覚悟もできているということ。先ほど黒<ヘイ>に再度問い直していると言ったけれど、もう少し正確に言うなら、きっと銀<イン>にも問い直しているのだ。それでもなお、黒<ヘイ>と共に在りたいのか?と。黒<ヘイ>と銀<イン>が一緒に生きるというのも、何度も言ってますが、人と契約者の共存。前期ラストで「一人にしないで」(=一緒にいて)と叫んだ彼女にもまた、問うている。

 そんな二人が改めて出会って、何を願ったのか?

 第一期で、選んだ未来の結果として(というか、実際その「未来」を生きてみて)、銀<イン>はイザナミ化し、より一層契約者と人の共存は困難となった。
『流星の双子』では黒<ヘイ>の望んだ未来とはまったく違った、紫苑の夢(契約者のいない世界を作ること)が肯定されもした。

 こんなにも二人にとっては生きにくい世界で。

 それでもアンバーは災厄が生まれることを願っていたし(彼女は予言書通りになることを望んでいた)、未咲さんもまた災厄を決して終わりだとは認識していない。

 そして、

「まだ間に合う」(銀<イン>)

 と言った彼女。だけど、なぜだか「災厄」は表れている(=間に合っていない?)。今までずっと隠れていた、BK201の能力が復活したことといい(それは第一期の人間と契約者の狭間を生きる男の復活でもある)、やっぱり願わずにはいられない。

 こんなにも生きづらい世界で、生き難い世界でも二人は生きようとしたのだと。



 岡村天斎監督をはじめ、スタッフの方々、素晴らしい作品をありがとうございました。この外伝を待ちに待っていた八ヶ月間は、ともすれば放送していた三ヶ月よりも幸せの日々だったかもしれません。

 これまでずっと僕の感想を読んでくださった皆さんも、今までどうもありがとうございました。製作者の方の言葉を信じるなら、これにてダーカーの世界での物語はおしまいですが、また何か縁がありましたらお会いしましょう。ではでは。

「ずっと一緒にいる」という言葉から考える、契約(未来)と再契約(いま)/あと理想的なプロポーズの話とか。

→前期のファンブック発売の際、発売当初は入手困難な状況だったので、予約しておいた方が良いと思います。

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