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『Angel Beats!』第十三話「Graduation」のネタバレ感想です。何だかんだ言って、毎週欠かさず見ておりました。この三ヶ月間、楽しかったー。
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「だって、私は「ありがとう」をあなたに言いに来たんだから」(立華奏)
これは驚いたと同時に、なるほどなと納得。悔いを残していないはずの音無がこの世界にやってきた理由は何か?という疑問に、答えているですねこれ。前半の「この世界」の謎(=神はいるのか、いないのか)を追うというテーマから一転して、後半は自分の人生を受け入れるというテーマに移行するんですが、そうであるならば、未練がない音無がこの世界にいるのはおかしい。それを聞いた日向は「おまえやっぱ特別だったんだな、すげー」とマブダチっぽい反応を見せてくれますが、真実はもっと残酷で。
音無に未練を残した人がいたから。
心臓を移植してもらった奏さんが決して言うことができなかった「ありがとう」という言葉を伝えるために、音無はあの世界に呼ばれたわけですね。本来先に死んでいるはずの音無の方があとからやってくるのも、それが理由なんじゃないかなと思います。後半は世界観自体がどうでもよくなっていくので、それほど重要なことでもないんですが、時々いる「記憶喪失」の人はそれが理由でやってくるんじゃないかな、と妄想できますね。記憶失ってもらわないと、未練を残している人が解消できないから、と(未練がないので、すぐに消えてしまう)。すげーマッチョな世界ですね(笑)。
それほどまでに「優しい世界」を描いておいて、何が皮肉かといえば(というか、作っている人たちが残酷かといえば)、そんな世界のおかげで未練を残すことになっちゃった男がいるということで。本来なら満足して音無は死ねていたのに、蘇って、その結果新たな願いも生まれてしまった。しかも、それは叶わなかったという。ここに来て、「優しい世界」であったその場所が、普通に生きている現実世界の「延長」のように描かれるわけです。そりゃあ、まあ普通に考えたら、この世界では当たり前の自分の人生に満足して消える(死ぬ)ということがどれほど難しいか、尊いのかは明らかです。
だけど、だからといって、こういう世界観を作り上げたところで、それが叶うわけではないという、凄く当たり前のことを描いた。その製作者側の人たちのド直球ぶりに惚れ惚れしましたよ。しかも、ちゃんと「希望」をも残している。制作陣の方は割と冷酷だなぁというか、世の中の見方がクールだなと感じたんですが、それでも普通に「優しい」。
EDから見ても、結局最後には音無も消えている。あの世界から去ることができたわけですね。この世界に来ないで良いほど自分の人生に満足して死んだ最初の時とは違うけれど、それでも自分の人生を受け入れることはできるのだと。どんなに悪い人生でも、心残りがあったとしても自分の人生を受け入れる(=肯定する)ことはできるという、普通でありふれたメッセージ。それでもなんかグッと来るんだよなぁ。面白かったですよ。
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岸誠二監督や脚本の麻枝准さんをはじめ、スタッフの皆様、三ヶ月間楽しい時間をありがとうございました。毎週毎週本当に楽しんでおりました。そして、あんまり感想書いていないですが、僕の感想を読んでくれた方もどうもありがとうございます。
元々所謂麻枝准さんの名前があることから興味を持ったんですが、これはそろそろちゃんと『Air』や『Clannad』などをやらないといけないなー、と思ってます(『リトルバスターズ!』だけはプレイ済み)。とりあえず手元にあるXbox360版『Clannad』からやってみようかなぁ。
→前回第02話「Guild」の感想へ
→『Angel Beats!』の感想インデックスへ
コメント
音無は未練ないのに呼ばれるってつらいな。天使ならいいものをこのシステムを使うとブスの片思いで召喚されたら地獄だろうな。まさに死ぬに死ねない状況だし
>天使さん
初めまして。どうもです。お返事遅くなって申し訳ないです。
天使さんの仰ったようなことがあるのかどうかはわかりませんが、基本あの世界は現実世界の延長線上に存在するように描かれてます。なので、現実で望まぬ人から告白を受けたところで簡単には死のうと思わないように、あの世界でも結局は現実世界と大差がないのではないかとという印象を受けます。ちょっとだけ現実よりも優しい世界だというだけで。