「ここには“契約者の未来”があると聞いて、来た」(クロード)
DTB黒の契約者外伝第三話のネタバレ感想です。雨霧がもう最高に格好良いポジションになってるなぁ。このために、再登場させたのか!!
◇
「貴様にとって、あのドールは何だ?」(雨霧)
うーん、この問いをする役目を雨霧に持ってくる辺り、深いなぁ。前回彼の復活に腑に落ちないものを感じていたのですが、これは納得。というか、この問いかけができるのは、確かに彼しかいない。かつて、アンバーと共に戦い、「契約者の未来」を勝ち取ろうした男。そして、“いま”は彼女の理想とは違った第三の道――未来――をちゃんと生き抜いて、迎えた最期の姿があれとかもうね! 本当に強い生き様だ!!
自分の子を守ろうとした母、その前で仁王立ちして事切れていた雨霧。彼らが守ろうとしたのは、何だったのか? それを思うと、先の問いに答えられない黒<ヘイ>に、怒りを隠さず、自身の対価を投げ捨てるという非合理的な行動を取る、彼の心境がわかるというもの。
当然ながら、彼はただ単純に「あの女はお前にとって何なんだ?」と問いたいのではない。本当に言いたかったのは、きっと――
アンバーを殺してまでも勝ち取った“未来”をお前は何だと思ってるんだ? それ(=ドールである彼女と共に生きる)こそが、お前の願いではなかったのか!?
と、そんなことじゃないかと。ふざけるな、と。何をやっているんだ、と。アンバーを犠牲にしてまで掴み取った「未来」――契約者と人の共存、すなわちミクロな視点でいうところの、黒<ヘイ>(人間)と銀<イン>(契約者)の共存――を、おまえは生き抜く必要がある。それが自分の理想(すなわちアンバーの願い)と違えた道で出会った“未来”――契約者同士の「こども」――を命懸けで守り抜いた男の真意だったんじゃないかなぁ、と思うわけですが(もちろん、イザナミにただの人は殺せませんけれど)。
これ、何が感動的って、雨霧は前期では「契約者」そのものを救おうとしていた男だということ。マクロな世界を守ろうとした男だったわけですね。だけど、そんな彼が巡り巡って、守ったのは――ミクロな、ほんの小さな、一つの「命」。ここが多分『流星の双子』ともリンクしているところで(あれは大好きな姉を生かすため、世界を一つでっち上げた少年のお話だと読める)、『黒の契約者』とは対照的な部分ですよね。世界的な動向よりも、ミクロな、身近なところに焦点が当てられている。少女の恋心とか。
で、その話を聞いた黒<ヘイ>さんは、銀<イン>に「別れよう」とか言い出すので、黒<ヘイ>さんヘタレ!とか思ってしまうわけですが(笑)。逆に、この段階で自覚的にこの問題を持ってくるということは、ちゃんと制作陣は答えを考えていて、黒<ヘイ>に答えさせるつもりなんじゃないかと……思うんですが、はてさてどうなることやら。予告の「伸ばした手がすり抜けてしまう」云々の件がニヤニヤしてしまうなぁ。果たして、黒<ヘイ>はもう一度銀<イン>の手を握れるのか!? ラスト一話心待ちにしてます!
→いよいよラスト2。もちろん最後までついていく!
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→岩原裕二『Darker Than Black−漆黒の花−』の感想インデックスへ
→第一期『Darker Than Black−黒の契約者−』の感想インデックスへ
→『Darker Than Black−流星の双子(ジェミニ)−』の感想インデックスへ
コメント
この24分間を見るために2カ月待ち続けなければならないという対価を払ってきましたが、
いやはや月日がたつのは早いものでBK201を見ることができるのも残すところあと1話です。まぁあ、「漆黒の花」もまだ続きそうなので、これっきりということはないでしょうが、それにしても時間がたつのは本当に速い!
>雨霧
いえ、本当に良かったですよね。
第3話で一番共感したのは彼でしょうか。彼も黒達が選んだ道のことを考えていたんですね。
それに引き換え今回の黒はもどかしく感じてしまいましたが
それでも陳さんと赤ん坊にレインコートを譲ったのには感心しましたが(笑
>流星の双子
ところで流星の双子について改めて考え直してみると双子に限っては「人と契約者」というテーマは存在しなかったんじゃないかなーと思っています。
それらしい言葉や設定でまどわせてくれますが、メインは「蘇芳の恋」と「黒の再生」でしょうし
コピー地球についても改めて考察してみましたが、長くなるので今度のチャット会にでもw
>チャット会
いつになるかはわかりませんが、行くことができたら行くつもりです。話したいことがたくさんあるので(笑
楽しみにしています
外伝最終話が待ち遠しいなぁ! それでは
>労馬さん
どうもですー。お返事遅くなって申し訳ないです。部内誌の締め切りなど立て込んでおりました(汗)。
毎回この時期になるとそわそわしますね(笑)。隔月なら、完結まで時間がかかるなぁ、と思っていた頃が懐かしい。残すところあと一話。本当に早いですねー。
最近忙しくて『漆黒の花』の連載が追えていないので、単行本発売が楽しみです。早く三巻出てほしいっす。
>第3話で一番共感したのは彼でしょうか。彼も黒達が選んだ道のことを考えていたんですね。
そうなんですよね、自分の理想は違えても、その現実でちゃんと生きている。そして、守るべきは守る、凄まじい生き様でした。最初出てきた時はどうなの?と思ってしまったのですが、こんな描かれ方をしては納得せざるをえません。
>それでも陳さんと赤ん坊にレインコートを譲ったのには感心しましたが(笑
あの子どもは何か意味があるんでしょうかね。非常に象徴的な存在にも見えるんですが。
>ところで流星の双子について改めて考え直してみると双子に限っては「人と契約者」というテーマは存在しなかったんじゃないかなーと思っています。
となると、マダムたちの方舟計画とは本当は何だったのか?みたいなところに話が行きますか。個人的には、人々がそれらの境界を無くすことができたとは思えなかったんですが、興味深いですねー。チャット会の時にでもじっくり聞きたいです!ご参加お待ちしておりますー。
ではでは。