デュラララ!! 4 【完全生産限定版】 [DVD]「寄生して、“生きている”んです」(園原杏里)

 アニメ『デュラララ!!』第十六話「相思相愛」のネタバレ感想です。さあて、リッパーナイトのはじまりだ。


 今回の見所ベスト3は以下。

■第三位 平和島静雄、愛される

 アニメ版では七話ぐらいで静雄回をやっているのでそれほど顕著ではないんだけど、この罪歌編では杏里さんと共に静雄が主役張っていたりします。原作第二巻のテーマってストレートに「愛」だと思うので、これまで愛されていなかった彼が愛されるという。だけど、静雄の方は大っ嫌いだと。まあ、「相思相愛」という言葉を引き合いに出さずとも、愛って双方向のものだよね、というお話になっているのかなー。

■第二位 刀少女VSナイフ少女

 原作を読んだ時も、このシーンが伝奇伝奇していて、すごく好きだったんだけど、やっぱり良いねぇ。個人的にはもう待ちに待ったという感じで、やべー。美少女プラスナイフというのも、王道過ぎるぐらいに王道ですが、やっぱり刀でしょ。

■第一位 形にしない「愛」

「愛」を形にすることを選んだ贄川春菜。一方それを形にしなかったのが杏里さんと言っても良いのかなぁ、と思ったりします。愛することが怖いから、人類皆すべてを愛し姉妹にしてしまう妖刀罪歌を受け入れたと彼女は言っているけれど、その「愛」っていうのは形にする方だよなぁと。

 その一方で、帝人、正臣、杏里の奇妙な三角関係は、形にしない「愛」の描写なんじゃないかと思うわけです。彼女の背景が明かされるにつれて、なぜ14話で好いているであろう帝人を「いい友達」と称したのか、彼女の心境が伝わってくるわけですが(ようは、愛することが怖いから、今の愛すべきぬるま湯のような関係を抜け出せない。彼女に取って愛とは文字通り「殺し愛」だから)、それはそれで良いんですよね。

 彼らの関係はそのままで良い

 これって、(アニメ版ではなくシリーズ通しての)最終的なオチだと僕は予測しているんですが、いろんなことが起きて知っていることや自分の立ち位置とか変わってしまうんだけど、けれど、それでも変わらないのが三人の関係性、「つながり」なんじゃないかなぁ、と。黄巾賊などからも『三国志』をモチーフにしていると思われるんですが、なぜ『三国志』が三国志たり得るかというと、(すごく乱暴にいうと)ようは魏、呉、蜀の三国がお互いに牽制し合って、現状保留をしているからですよね(二国間だと善悪を二元的に解釈できるので、なかなかそうはいかない)。杏里達の関係もそこに落ち着くんじゃないかなぁ、と思うわけです。

 紀田正臣は杏里のことが本気で好きだけど、帝人のことを想って杏里に伝えた。
 伝えられた園原杏里は、二人のことどちらも同じぐらい好きだから、答えは出さない。
 そんな会話を知らず、正臣を恋敵だと想っているけれど、三人で帰る「日常」を好いているであろう竜ヶ峰帝人。

 三人それぞれが同じように望んでいる、この関係性を「愛」と呼ばずになんと呼ぼうか!って感じですよ。形にしないと「愛」を認識できない春菜たちよりも、形にしない「愛」を好いている方が、強いに決まっているだろうと。

→原作小説

デュラララ!!×2 (電撃文庫)
デュラララ!!×2 (電撃文庫)

→DVD第4巻予約受付中

デュラララ!! 4 【完全生産限定版】 [DVD]
デュラララ!! 4 【完全生産限定版】 [DVD]

前回第14話「物情騒然」の感想へ
次回第17話「有為転変」の感想へ
『デュラララ!!』の感想インデックスへ