「いいんだ」(黒<ヘイ>)
『Darker Than Black−黒の契約者外伝−』第二話のネタバレ感想です。最後に登場した人、一瞬誰だかわからなかったよ。
◇
「ずっと、このまま、黒<ヘイ>と一緒にいたい」(銀<イン>)
イザナミに意識を奪われ、黒<ヘイ>との会話を覚えていない銀<イン>。ここ、黒<ヘイ>視点でのやり取りになっているので、銀<イン>のことを思ったら、切なすぎるなぁ。この言葉は、黒<ヘイ>の思っている以上に、重いんですよね。
黒<ヘイ>も黒<ヘイ>で、銀<イン>に何かが起こっているということは察していると思うんですが、どこか踏み込めないでいる。それが徒になっているのは確かで。何でも話してくれ、と言っている黒<ヘイ>自身が、銀<イン>に隠し事をしている(イザナミに意識を奪われていた時のことを話さないでいる)。
そういう、お互いに心中をさらけ出せない時に限って、黒<ヘイ>の相手が、対価として服を脱いじゃう女性、文字通り色々とさらけ出しちゃう人っていうのが、皮肉だなぁ、と。いや、見えそうで見えないというのが、それはそれで今の二人に当てはまるような気もして、深いなぁ、と思ったりもするんですが(笑)。
◇
「あなたからも言っておいて。どうせもう人間じゃないんだから、早く私のそばに来なさいって」(イザナミ)
徹底して描かれる、銀<イン>と「あの子」の乖離なんですが、これはどうなんだろうなぁ。『流星の双子』最終話の二人がかなり通じ合っていることを思うと、二人がまったく別の存在っぽく描かれているのはミスリードのような気もするんだよなぁ。
僕は、今でもかなり二人が通じ合っていると思っているんですね(黒<ヘイ>と一緒にいるとドールであるということがわからなくなる、みたいな件からもそれが伺える)。ただ単純にコインの表と裏というだけで、どちらも同じ存在だと。というか、あの子の方がかなり銀<イン>の「本音」に近いのではないかと。
結果として見れば、いつも離れて戦って、傷ついている黒<ヘイ>を今回「あの子」が助けたわけで。そして、あの銀<イン>(イザナミ)は黒<ヘイ>の手を握ってる。第一話で手を伸ばしたけれど、空を切ってしまった手があっさりと。
ここを見ていると、銀<イン>の願いが叶っているんですよ。見ていることしかできなかった(というか、それすらも許してもらえなかった)彼女が、黒<ヘイ>を守り、手を繋いでいる。そして、傷も癒している。
そして、何よりも極めつけなのが、上記の引用文。
確かに、黒<ヘイ>は第一期ラストで契約者と人の共存を願ったかもしれない。だけど、銀<イン>は? 一足先に『流星の双子』では紫苑やマダム・オレイユがその願いは叶わぬと、コピーした地球(契約者のいない世界)に夢を託した。
言うまでもなく、黒<ヘイ>と銀<イン>も人と契約者の組み合わせ。それ自体が遠い昔に上手くいかなかった黒<ヘイ>と白<パイ>のifでもあると思うんですが、果たして二人はずっと一緒にいる(=共存)ことができるのかと。それに対して、銀<イン>は「できない」と感じ始めているのでは、と思うんですね。
自分と一緒にいることで、黒<ヘイ>が傷ついている。
でも、何もできない。それがいつの間にイザナミの力を生んで、なんとかできるようになったけれど、今度はそれがきっかけで黒<ヘイ>が傷ついている(すでに、追われているのが黒<ヘイ>から銀<イン>へと移りつつあり、黒<ヘイ>は彼女を守るために戦っている)。
だから、イザナミは言うんですね。
私のそばに来なさいと。黒<ヘイ>のそばにいると、彼を傷つけるから。
ダーカーの一つのテーマ「人と契約者の共存」の中で、今二人は揺れ動いている。やっぱり、人と契約者は一緒にいられないのか?と。であれば、離れなければいけない。だから、イザナミがぽろっと口を出したあの言葉は、銀<イン>の本音の部分をかなり突いているんじゃないかと思うんですね。
だけど……
それでも……
「ずっと、このまま、黒<ヘイ>と一緒にいたい」(銀<イン>)
んですよ。
◇
で、もうひとつ。シュレイダー博士と耀子さんの会話が何気にすごく重要なんじゃないかと思うんですが。これ、さりげなく銀<イン>(の観測霊)がイザナミ化した理由に答えているんじゃないかと。
半ゲート粒子の代わりにゲート粒子を契約者に当てれば、より契約者らしくなる……。
トーキョーエクスプロージョンの夜、なんかそれらしいことを言われた現象があり、銀<イン>はその近くにいたのでは? 人型の観測霊を出せるようになったのも、あれ以降。あの夜目覚めたのが、漫画版『漆黒の花』のハーヴェストだけではなかったかもしれない。
銀<イン>がイザナミになった原因、そのもとを辿る黒<ヘイ>なのではないかと。
それを思うと、あの『流星の双子』第三話の、
「おれは銀<イン>を、あの女を殺す」(黒<ヘイ>)
という言葉が、重い、本当に重い。
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コメント
今日やっと2話が見れたので来ました!
銀だとあと一歩のところで届かないのに
イザナミだとそれが簡単に出来る。
その2人の差がみてて辛いです…。
あと黒と銀も、もう少しで本当に
触れ合えるのに、どこか遠慮したり
曝け出して相手に言えなかったり。
黒が本当に不甲斐ないですよね。
銀はちゃんと思いを言っているのに。
お前こそ言えよーって
思っちゃいました…!その黒の不器用
な所が今は凄く歯痒いです。
黒と銀を見てるといつもはらはらして
しまって、思わず幸せになって欲しい
と願ってしまいます。
少し別件ですが、2期ラストの銀は
生きていると思いますか?
私は生きていると思ってます。
監督さんが、その人が思ったこと、
それが答えだと言っていました。
元々イザナミが銀にくっついたような
ものだと思っているのでそれが離れた
のかなぁとか勝手に思ってます←
死んだ発言は遊んでるのバレバレ(笑
また長くなりました…!
簡潔に書くのは難しいです…orz
それではここら辺で。また来ます!
>奈々さん
どうもです。おー、ついに見られましたか。
イザナミと銀<イン>の行動が対照的でありながらも、根っこでは繋がっているんだと思える描写が多くて、切なくなりますね。
銀<イン>の方もイザナミを介さずとも言えばいいのに、それが言えない切なさ。どちらも相手のことを想っているからこそ、言えない二人を見ていると胸が打たれます。
本当に、幸せになって欲しいですね。『流星の双子』の頃からずっとそう思っておりました。
二期ラストについてですが、僕は生きているかなぁ、と思っています。未咲さんの台詞、黒<ヘイ>の一人にはしない発言などなど、根拠は多々ありますが、そうでなければ第一期での結論と違うことになってしまうので。人と契約者のカップルである黒<ヘイ>と銀<イン>はちゃんと一緒に生きてほしいです。
こんばんわ、かもめさん。先日はチャット会お疲れ様でした。いささか調子に乗りすぎて黒<ヘイ>をいじりすぎてしまい、猛省しております(汗)。『漆黒の花』も未読のせいか、やはり考察のパズルのピースがいくつか欠けているような違和感を感じたりもしていました。
まるで二重人格者のようになってしまった銀<イン>ですが、むしろ黒から離れられない銀が感情で、合理的な思考回路のイザナミのほうが理性を司っているかのようですね。受動的な銀と能動的なイザナミの、表面的な性質に少々混乱してしまったようです。
二期終盤で、黒が銀を取り込んだとしたら、確かに銀の望みは叶い、大切なものを失くすというゲートでの法則通りになりますが、白<パイ>の時と違い、銀は体が存在している事が引っかかってもいました。
「まだ間に合う、私を殺して」という言葉に、そこにいるイザナミは、まさしく銀であることを認識して黒は微笑んだのでしょうか。もしかしたら黒は全てを受け入れることを選び、その物質変換能力で、銀とイザナミを統合したのかもしれませんね。
黒は望まずして事象の変革の核となる、ブラックホールのような存在なのでしょうか。いつも彼は重大な選択を迫られますが、どちらかを切り捨てるという選択はせず、困難ではあっても可能性があるなら双方を生かすという、第三の道を選んでいるような気がします。
そしてそんな黒は、決して「最悪の事態」を引き起こすような選択はしない、と思ってもいます。外伝はあとに二話で終わりますが、やはり二期以降の物語も制作して欲しいですね。
>れおぽんさん
どうもです、お返事が遅くなって申し訳ないです。ちょっと部の行事などでごたごたしておりました。
黒<ヘイ>いじりは半端なく楽しかったので、反省などせずもっとやってくれ、という感じです(笑)。
『漆黒の花』は今クライマックスという感じなので、可能でしたら立ち読みを試みてはどうかな、と思います。色々と思わせずぶりかつ、四課の面々があれからどのような未来に進んだのかもわかってくるので。
銀<イン>が感性、イザナミが理性というのは、僕も近いことを考えております。より契約者然としている、合理的なのは間違いなくイザナミの方なので。
逆に言えば、れおぽんさんの仰る、銀<イン>とイザナミを統合したのでは?という予測は、結構真実に近いものがあるんじゃないかなぁと思ったりします。外伝二話や漆黒の花から、イザナミ化を進めたのは黒<ヘイ>の力っぽいという伏線なんかもありますし。第三の道を選ぶ(銀<イン>かイザナミではなく、二人とも生かす)というのは、ホントにもっともだと思います。
というか、そうあってほしい!
ラスト二話しか残っていませんが、刮目していきたいと思います。そして、あわよくば第三期へと!