「マヒロ あなたは私とどうなりたいんですか?」(不破愛花)

 城平京原作『絶園のテンペスト』第六話「どうなりたいかは、わからない」のネタバレ感想です。


「兄弟っていっても 血はつながってなかったしさ」(エヴァンジェリン・山本)

 割とこの辺りから「抗えぬもの」が出始めてきたような気がします。城平さんの作品にはよく運命だとか抗えないものを出てきて、それに抗うことが結論であったり(スパイラル)、それを受け入れることで物語を終わらせたりしますが(ヴァンパイア十字界)、『絶園のテンペスト』もやっぱりそういう流れなのだな、と。

 というか、それの集大成っぽい。

 前々から「はじまりの樹」の「理」がそれに当たるのかなぁ、と思っていたのですが、今回もうひとつ出てきました。それが真広にとって抗えぬこと、妹との関係であるということですね。血の繋がっていない妹に、「恋」してしまったこと。それを受け入れられず、何の行動も起こせなかったことを彼は悔いてもいるのかな、と。

 結局のところ、彼は愛花の死を受け入れていないわけです。蘇らせて欲しいとは一言も言わなかったかもしれないけれど、それでも彼女の死を受け止めたわけではなく、だからこそ、不合理を不合理で打ち消して正してやろうなんて思ってしまうわけで。「抗えぬもの」(=妹の死)に抗い続けているのが、真広なのかな、と。

 その一方で、不合理は不合理なままと、抗えぬものを受け入れてしまっているのが、吉野の方で。その辺りの「揺れ」が今後楽しみですな。

 で、多分これ、「理」と「愛花の死」が、マクロとミクロの両面から「抗えぬもの」としてのしかかってくるんだろうなぁ。そういう意味で、はじまりの樹の「理」と「愛花の死」は密接に関わっているんじゃないかな。これらに抗うのか、受け入れるのかというのが、多分本作のクライマックスで、僕は「抗う」と思ってます。

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