
『Darker Than Black−漆黒の花−』第十二話「黒い花を狙う者」のネタバレ感想です。タイトルが何とも切ない。
◇
「観察は終わった “黒い花”を回収しろ」(西島総帥)
黒い花に完全に意識を奪われて、梓復讐完了。そして、エリック西島の父ミスター西島も登場し、覚醒した黒い花を回収すべく動き出す。
あくまで必要なのは花の力。
梓個人のことなどもはやどうでもいい。花だ花だ。梓の「女」を見ていただけの実岡と重なるところがあるので、わかりやすいぐらいに作中悪の存在ですね>ミスター西島。そして、命令に従うだけのアビゲイルも。
そういう意味では、その真逆、前回「個」として梓を見ていた黒<ヘイ>が生きてくるよなぁ。わかりやすいぐらいに対比されているところでもあるし、それが彼女の願いだった。
「個」として見られることを梓は何よりも望んでいたんだよな。
尊敬する実岡先生に「自分」を見てもらうことが。しかし、それは叶わず、花に「自分」すら奪われてしまった。これめちゃくちゃすごいところで。実岡先生に「個」として見られるというのが彼女の願いだったんですが、その「自分」がいなくなったことで、相手もいなくなる(殺してしまう)というのがうまい構成だよな。構成にうまさにしびれ、そして、切なくなる。
黒<ヘイ>によって救われた部分はあると思うけれど、彼女本来の願いはやっぱり叶わなかった。そして、この「個」として見られることが、現在銀<イン>という「個」を剥奪され、「イザナミ」と呼ばれている彼女へ繋がっていく、辺りがまたすごすぎる。彼女は「自分」を取り戻せるだろうか。
◇
『黒の契約者外伝』(PVの感想書きました)に続くことを考えれば、黒<ヘイ>が独り傷つき、銀<イン>はそれを「見る」ことしかできない形で終わるとは思うんですが、どこかで救いがあってほしいな。それこそ、ずっと放置されている梓のバッグに何か残っているとかで。
→オフィシャルファンブックは楽天ブックスに残っているっぽいです。

→前回第11話「仮面の下」の感想へ
→次回第13話「」の感想へ
→岩原裕二『Darker Than Black−漆黒の花−』の感想インデックスへ
→『Darker Than Black−黒の契約者−』の感想インデックスへ
→『Darker Than Black−流星の双子(ジェミニ)−』の感想インデックスへ