「予測?」(マリナ・イスマイール)

 マリナさんが、割と普通にダメっ娘でビビッた(笑)。でも、上から見下ろすことで「何もかもわかった気でいる」天上人のカウンターとして、マリナさんは出陣してくると思うので、「まだ何もわかっていない」状態からスタートするのは妥当な感じ。とりあえず、アレだ。シーリン・バフティアールさん、マリナさんをそんなにいじめないでっ!(笑)


 今回は割とビターなお話のような気がしました。すごく“皮肉”が効いてますよね、最後に「世界は簡単じゃないの」とか絹江さんに言わせるのは。

 というのも、今回ヴェーダ(プトレマイオスのメインコンピュータ?)の「予測」から始まり、スメラギ・李・ノリエガさんの「予報」、そして、タリビアの独立宣言が(ソレスタルビーイングの介入によって)収束するまでの流れさえも「予測」されていたといじめっ娘眼鏡さんから指摘されるなど……、「予測」が渦巻いたお話でした。そして、そんなお話を締めたのは、

「そんなに簡単じゃないのよ世界は。世界は簡単じゃない」

 という絹江・クロスロードの台詞。当然直前の沙慈くんの疑問に対する解答というのが第一目的なんでしょうが、この台詞二度続けて言わせているんですよね。第一、世界の複雑さを指摘したいだけなら、その前のマリナさんとシーリンさんの会話で事足りているはずで、それを踏まえた上であえて最後にあのシーンを持ってくるというのはもう一歩踏み込む余地を感じました。

 そして、今回は「予測」や「予報」に彩られた「予定調和」の物語。

 そんな世界に対して「簡単じゃない」と言われても、視聴者は納得できません。だから、今回はどちらかというと世界の複雑さを描くというよりは、複雑に見えて(予測や予報されてしまうぐらいに)実は単純にできてしまっている世界の方を描きたかったんじゃないかなぁ、と思うわけです。そして、この「予報が的中する世界」という予定調和な物語がいつかはイレギュラーな要因によって脅かされ、予定調和を超えた展開に誘われる、そういう前振りのような一話だと感じました。マリナさんの「予測」に対する反応を見ても、「予測」に対して否定的に描かれていることは垣間見えるかと思います。あと、ヴェーダの「予測」とスメラギさんの「予報」もいつかはズレるんだろうなぁ(下で語っているようなことを経た後に)。



 とはいえ、これはあくまで視聴者視点のお話。劇中ではあくまで地上人と天上人の視点に分けて、現段階は描かれていると思います(天上人、地上人のそれぞれの視点については放送前の書いたこの記事か、あいばさんがもう一歩進んだことを書かれたこの記事をチェックしてもらえれば理解できるかと)。でも、今はやっぱり(今までのお話を絡めてみても)天上人のマクロな視点を重視して描いている感じで、マリナさんとか沙慈くんが持っている(であろう)ミクロな視点のついてはまだ描かれていないかな。それでも、ある程度は想像できる余地があって、多分ひとつは人の「死」――「命」に関することなんだろうなぁ、と。今回人革連が死傷者の話をしていたけれど、ソレスタルビーイングのクルーはどうも「人が死んでしまうこと」にぴんと来ていないようだった。それは、天上人らしい大きな視点故に「戦争」という大きな枠組みでしか物事が見えていないという部分もあると思うけれど、やっぱり「若い」というのもあるのかなぁ、と(こんなことをいっている僕はまだ十九だけど(苦笑))。そんなわけで、彼らの転機はやっぱり「知っている人の死」だと思います。沙慈くんも……やっぱりそうなのかなぁ(こっちはあまり考えたくない)。

 そういう、どことなく「人が死ぬこと」に無関心なキャラクター達の中、目の前の人(「知っている人」とまでは言えない?)が突然死んでしまう状況を想像できる刹那は、どうなんでしょうね。彼自身第一話冒頭で死にそうになっているし、多分仲間も紛争中に死んでますよね。そういう点を踏まえていくと、あのシーンは、ある程度「人が死ぬこと」を(実感として)知っている刹那とそれを知らないプトレマイオスクルーの対比みたいなシーンだったんでしょうかね。そういう背景を想像していると、一人ぽつんと平和な公園を眺めている刹那が切なく思えました。沙慈くん、あれだ。ルイスとイチャイチャしてないで、刹那にもうちょっとかまってやれよ(笑)。いや――(ちょっと嫌な予感あるいはやばい想像が頭をよぎる)――、やっぱり沙慈くんはルイスとイチャイチャで。



 ちょっとセンチメンタルな方向にメーターが揺れたので、最後はロジカルに。

「この一連の事件で一番得をしたのはどこかしら。もしわからないのであれば、あなたにこの国を救う資格はないわ。アザディスタン王国第一王女、マリナ・イスマイールさま」

 と、(母国を救うために)あくまでマクロな視点を要求するシーリンさんに対して、何も答えずただじっと見つめる(安易にマクロな視点に手を伸ばさず、ミクロな視点を守り抜いた)マリナさんで締めるのは絶妙ですよね。すごく良いシーンだと思いました。



■今週のグラハム・エーカーさんの名台詞。

「さて、このカスタムフラッグがどこまでガンダムに対抗できるか……。いや、そうする必要があるとみた!

■今週のマリナ・イスマイールさん

 な、なんか、眼鏡をかけた性根の悪そうなレディに徹底的にいじめられてました。

→DVD

機動戦士ガンダム00 (1)


→主題歌CD

DAYBREAK’S BELL







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