「一人じゃないだろ。俺達は共犯者だ。お前が魔女なら、俺が魔王になればいいだけだ」(ルルーシュ)

 ルルーシュの「願い」とゼロの「願い」があまりにかけ離れていたが故に、周りに理解されず、そして、唯一の「理解者」が……というストーリーラインが凄まじかった。
 ここに来て、ようやくルルーシュの物語が始まったな、という印象を受けました。今までは結局ゼロの物語に過ぎなかったんだなぁ、と。


 とりあえず、ルルーシュとC.C.の関係の変化を中心にさらっと感想を。第24話「崩落のステージ」、第25話「ゼロ」は、あまりに色々なことが起きて、かつ面白かったので、全体的な感想はまた書くかも。



 これまでの放送を通じて描かれたC.C.とルルーシュとの関係は(ドラマCDを聴いている人は「女の斗い」なんかが参考になると思いますが)、あくまで「共犯関係」でした。それもC.C.とルルーシュとの関係というよりは、C.C.とゼロとの関係。

 それが第23話「せめて哀しみとともに」でC.C.がルルーシュを抱きしめる辺りで、変化の兆しを見せ、そして、今回。

 ルルーシュの最も大切なものであるナナリーの誘拐を機に、まずはC.C.からの歩み寄りが!

「お前が生きる目的なのだろう!」

 と、共犯関係とはいえ、ルルーシュを、ゼロを、傍でずっと見ていたが故に、ルルーシュの本当に大切なものがC.C.にはわかっていた。だから、ナナリーの誘拐を、真っ先にルルーシュに知らせる。ルルーシュの願いは、ナナリーが幸せに暮らせるような世界を作ることだから。ナナリーがいなくなってしまっては、ルルーシュの願いは、ゼロの「願い」=「世界を手に入れる」に書き換えられてしまうから(事実、ルルーシュとC.C.以外の人にとっては、ゼロの「願い」が彼の願いとして映っている)。

 ここで、C.C.はゼロの「共犯者」ではなく、ルルーシュの「理解者」とも言える存在へと昇華されます。しかし、ルルーシュから見れば、C.C.との関係はあくまでも「共犯関係」に過ぎないから、すぐには納得しません。

「ルルーシュ、私はお前の共犯者だ。お前の味方だ」

 と説得するしかないC.C.が切ないし、

「一方的な都合ばかり!」

 と毒づくしかないC.C.が切ないし、

 そして、

「信じよう……。少なくとも、我々の共犯関係は続いているのだから」

 と言われた時の、C.C.の表情が切ない。



 この辺りまで、ルルーシュ、ダメダメな男街道をまっしぐらですが、幸か不幸か、誰かが仕掛けたトラップにより、ルルーシュはC.C.の過去を垣間見、

「一人じゃないだろ。俺達は共犯者だ。お前が魔女なら、俺が魔王になればいいだけだ」

 と、「共犯者」という言葉こそ使っていますが、明らかに今までの関係とは違っています。今までの関係からは、この言葉は生まれないはず。ルル様、格好良いぞ!

 ここで、ルルーシュはC.C.の「理解者」となりますが、それが(お互い唯一の「理解者」であるという点が)、後の悲劇の切なさを倍増させます。



 C.C.の「理解者」となったルルーシュが、

「C.C.、無事か」

 と、C.C.を気遣う言葉を言うのが、良いですね。それに応えるC.C.の、

「誰に向かって言っている?」

 という言葉も素敵。



 そして、オレンジが執念の追跡を見せ、その結果……ということになるんですが、このオレンジの執念の追跡も、実はルルーシュの「行動の結果」だというのが、なんとも皮肉ですね。

 スザクと和解できなかったのも、カレンに理解されなかったのも、ルルーシュの思惑、彼が何を求めて行動したのかということに原因があるわけでなく、すべて「行動の結果」にあった。

「勝てよ、ルルーシュ。自らの過去に。そして、行動の結果に

 とまで言ってもらったのに、全力で、過去に、行動の結果に、負けたルルーシュ。そして、彼を唯一理解してくれた「理解者」の退場は、彼の今後にどのような影響を与えるのか……。



 スザクには理解されず、カレンにも理解されず、黒の騎士団となれば理解されるはずもなく、今のルルーシュはまさにどん底状態。

 でも、

「一縷の望みは、ほのかなる願いは、絶望からこそ生まれいづる」

 と、最後にC.C.が語るように、そんなどん底状態の中、ルルーシュの「理解者」となりえる人物が、ちゃんと「いる」のが、ひたすら熱いです。

 最も有力な人物は、もちろんシャーリーですね。

「ゼロを呼んで! ゼロは絶対私たちを守るから! でなきゃ、ヘンだもの。今までのことだって!」

 と、すでに言ってのけてるわけですから、おそらくは続編で最初にルルーシュの「理解者」となるのは彼女。というか、すでに「理解者」という状態で始まるという可能性も十分あると思います。

 そして、シャーリーに続いて、ルルーシュの「理解者」となるのは、(個人的に)カレンだと思います。

「あなたは、私たち日本人を利用していたの? 私のことも?」

 と、完全に裏切られた感があって、なかなか根が深そうですが、カレンはルルーシュがギアスを使って、日本人を助けるのを見ています。この出来事をちゃんと思い出すというのが、カレンがルルーシュを「理解」する最初の一歩。そして、そのキーは扇要さんじゃないかなぁ。彼は、

「ゼロを追え……。彼の行動には意味があるはず。助けるんだ、ゼロを」

 と、黒の騎士団の誰もが理解できなかったルルーシュの「行動」に「意味」があるといい、いつかの回で(ヴィレッッタを見つけた辺りだったかと)「君らしくなかった」みたいなことを言っているんですよね。扇さんにも、ルルーシュを「理解」する伏線が敷かれたいたんだなぁ、と今回改めて気がつきましたよ。やっぱり、「コードギアス 反逆のルルーシュ」、深いです、面白いです。

※追記
 ナオトもまたルルーシュと同じ願いを持っていたんじゃないかなぁ、と思うんですよ。あのレジスタンスを作った表向きの理由は、もちろん日本を解放させることだった思うんですが、その目的の裏に、本当の願い――カレンが幸せに暮らせる世界を作るという願い――があったんじゃないかと。
 そういう願いが仮にあったのなら、第一期でナオトの話があまり出なかったのも頷けます。一度は理解できなかったルルーシュを、彼と同じ目的を持って行動したナオトさんと重ねて、ようやくカレンがルルーシュを理解するという流れを作るためだとしたら……、ひたすら熱いです。そういう流れを作るためにも、ナオトさんをよく知る扇さんには生きてもらわなきゃいけません! がんばれ、扇さん。生きろ!

 そして、最後に合流するのは、やっぱりスザクですよね(いや、最後はスザクじゃなくて……って線も十分あると思いますが。というか、そちらが本命)。

 ユフィの一件で、完全に分かたれてしまったルルーシュとスザクですが、ルルーシュはちゃんとユフィと手を取り合うつもりだったし、ギアスを使って故意にあのようなことをさせたのではないことは、僕ら視聴者には痛いほどわかっている。そういう意味では、なんとも歯痒い状況ですが、まずは、その誤解を解くことが先決。

 それはもう第23話の感想でも書きましたが、ユフィとの会話によって成されるんだろうなぁ、と(笑)。(笑)なんか付けていますが、それらしい伏線も引いているし、ルルーシュがそんなことを言っても、スザクが信じるわけがないので、それぐらいしか手はないだろうなぁ、と。

 ただ、カレンのキーパーソンが扇さんだとしたら、スザクのキーパーソンはコーネリア様なんじゃないかなぁ、と思っていますよ。ゼロがルルーシュだと知って、一瞬でそれが「ナナリーのため」だと看破しましたから(カレンとスザクにはそれがわからなかった。ルルーシュが語らなかったことも原因ですが)。
 正直、今回のトーキョー租界侵攻で、ギルフォードが死んだら、スザクとコーネリア様が良い関係になるんじゃないかなぁ、と思ってましたし(大切な人を亡くしたもの同士、傷を舐め合うように、と言ってしまうと言葉は悪いですが、イメージとしてはそんな感じ)。

 ルルーシュを理解する素地があり、それぞれに強い影響を与える可能性があるといえば、やはりこの二人になるかなぁ、と思うんですけどね。スザクの場合は、さらにだめ押しで、死者との会話。
 
 えっ、「ゼロのことは俺が一番よく知っている」らしい玉城さんはどうなのか、ですか? ……彼の出番はもうありません(笑)。



「ゼロ…、バカな男だ。
 逆らっても、抗っても、どうせ世界は変わらないのに」

「教えてやろう。大人の世界ではな、正しいことに価値はないんだよ」

「何かある…
 俺の知らないところで何かが起こっている」

「力のない人間は我慢しなきゃいけないの? たとえ正義がこちらにあっても」

「やめろ。生きてる!」

「無力が悪だというのなら、力は正義なのか?!」

「間違っていたのは俺じゃない。世界の方だ」


 続編予告の文字情報を書き取ってみました。「教えてやろう〜」というのが、いかにもルルーシュっぽい台詞なので、続編は、数年後、ルルーシュが大人になってからの物語なのかなぁ。
 ルルーシュに似た人物を登場させて、そいつをルルーシュが割と近くで見ている、で、自分のことを顧みる、という構成が面白いかなぁ、と少し思いましたが。



※別記考察

最後の銃声は一体誰のものか。

コードギアス 反逆のルルーシュ volume09 (最終巻)

コードギアス 反逆のルルーシュ Sound Episode 4

コードギアス 反逆のルルーシュ Sound Episode 5