「そうかなぁ……、李さんの背中、寂しそうじゃないですか」(桜井健児)

 今回のテーマはおそらく「居場所」あるいは「帰る所」。自分の「居場所」となっている一橋誠志の命令を無視して、桜井健児がドールを誘拐したり、海月荘には李くんの居場所がないように(一見)見えるところから、そんな風に感じました。桜井の居場所、ドールの居場所、そして、李くんの居場所が掲示される回かなぁ、と。
 それと並行して、公安サイドでは「BK201」の謎を追っていたりと、なかなか目が離せない展開になってきました! ホント「Darker Than Black−黒の契約者−」は、面白い。


 アバンタイトルで、えっ、と思う新情報が掲示されて、ちょっと思考にエンジンがかかりましたよ。
 僕の感想ではあまり言及していなかったんですが、「黒<ヘイ>は本当にBK201なのか」というのは、感想サイトやブログを巡っていると、割とよく見かける疑問でした。

 そして、今回のアバンタイトルで、少なくとも南米消失時の「BK201」が黒<ヘイ>ではないことが判明。
 霧原未咲のボス、宝来善充がもたらした情報、

「あの場で最初に観測された星の輝きは彼女のものだ。それに呼応するように多数の星が輝きだした。その中には、BK201もいる

 の太い文字の所がキーですね。第6話でのハヴォックの証言によると、南米消失時の黒<ヘイ>は契約者ではないから、その場にいた「BK201」は黒<ヘイ>以外の誰かということになります。――今の所、やっぱり妹の白<パイ>が有力でしょうか。

 今回のアバンは色々と含みがあって、他にも考えられそうだけど、とりあえずこの辺りで保留して、未咲さんはどういう風に「BK201」に迫っていくのか、というのが、公安サイドの今後の見所となるはず! とまとめておきましょう。



 で、今回のエピソードのテーマは、上で述べたように「居場所」だと思うんですよ。海月荘の面々と楽しい会食をして、桜井が、

「いやぁ、面白そうッスね、ここ。俺も住んじゃおうかなぁ」

 とか言ったり(でも、李くんにとってはただ帰って寝るだけの場所)。帰る国がある海月荘の人たちを登場させたりとか(でも、李くんに帰るところはない)。海月荘のみんなで、家族っぽく食事を取ったりするシーンとか(でも、そんな中誰と談笑するわけでもなく、一人黙々とご飯を食べ続ける李くん)。
「家族」とか「仲間」とかそんな言葉が浮かびそうな中、なんとなく海月荘に居場所のない李さん。
 そんな李さんが、海月荘で「居場所」を得るのが今回のエピソードじゃないかなぁ。得るというか、自覚すると言った方が正しいかもしれませんが。

 まあ、「居場所」を得るというのは、桜井にも共通していて、エピソードが始まった時点での彼の「居場所」は一橋の所なわけですよ。でも、今回ドールの世話をするという命令を受けて、岐路に立たされる。こんな可愛い女の子を、誰とも知らない人に売りつける、そんなことをする人の元にいて良いのかと。
 で、一橋の命令に背いて、飛び出してしまうわけです。これで、彼の「居場所」はなくなってしまった。でも、とりあえずは……、「居場所」になってくれそうな兄貴(笑)、李さんの所へ。

 今の所、桜井はまあ男気は買うけれど、ダメダメなわけですよ。強い人の元にいるだけで、自分の「居場所」を作ったような気でいる――ただのロクデナシ。
 でも、そんなロクデナシが、自分の「居場所」を見つける、そんなお話になるんじゃないかなぁ、と思ったり。ドールに「居場所」を作ることで、自分の「居場所」になるのかもしれませんね。



 独りで生きられないはずの契約者が、周りに「独りで生きていける人もいるってことで」と言われしまうのは、なんとも皮肉だなぁ、と思いつつ、後編に期待。大家さん、期待してますよ。



DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 劇伴

↑ウェイ戦で流れたボーカル曲「Deadly Work」、数多の名シーンで流れた「クロ」、そして「インのピアノ」辺りが聞き所。

【完全生産限定版】DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 1

DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 1 (通常版)





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