「世界に色がある。緑の草、青い家の屋根、赤い船。全部色づいている。それはとても素晴らしいこと。夜には見ることができない――美しい世界」(森宮蒼乃)

 今回はちょっと時間もないので、軽めに。
 徐々に今まで当たり前のように存在した「日常」が壊れていく様を見せながら、ラストにピークを持っていくのはひたすら上手いと思いました。いやまあ、依人はいつガラスの破片を拾ったんだ? という疑問はあるけれど(苦笑)。


 着物依人もまた、茉莉に空を見せたいという願いを持っていたことが今回明かされたわけですが、依人は本当に昔から変わっていないんですね。

 だから、でしょうか。
 茉莉が去ったことも許容できない。
 真名の茉莉さんはもうこの町にいないと指摘も受け入れられない。

 空の変化はわかるけれど、人の変化がわからないというのは、依人自身が昔から変わっていない人間だったから……ということかな。



 蒼乃さんの精神的な変化が、ダイレクトに今の依人に影響していることから考えても、今の依人は蒼乃さんが作り出した存在っぽいんですが、それなら、なぜ依人に空を忘れさせなかったんだろう? 依人が空に特別関心を持っている人間でなければ、茉莉に出会ったとしても、それだけの出会いで終わっていたはず(それじゃあ、物語になりませんが(苦笑))。

 この辺りに、蒼乃さんの茉莉に対する想いが見え隠れしているような気がするんだけどなぁ。表面的には疎んじている、恨んでいるけれど、心底では慕っているような……複雑な感情が、ちょこっと覗いているような……、そう、今回のこよりのように(笑)。



 茉莉が空に憧れを抱くように、蒼乃が憧れていたのは色――色のある世界。折り紙にもまたたくさん色があることを考えると、病室で折り紙を折っていたのも、こういう主張に繋がらせるためだったんだ、となんだか感慨深いですね。こういうさりげない伏線、本当にキレイだなぁ。

sola Vol.II
sola オリジナルサウンドトラック