「明日も7番のバス、乗りますか?」(一日に十機、飛行機をつかまえようとした少女)

 確かに、停留所というのは、何かが起こりそうな……そんな予感を人に与えるものかもしれないですね。バスに乗る、バスから降りるということで、「始まり」と「終わり」が同居した場所でもありますし。まあ、寝坊でもしない限り、本当の意味で「始まり」と「終わり」を経験できるというわけではありませんが。

 この「バス走る。」は、バス周りを舞台にした普通のお話、ちょっとだけ寓話っぽいバスのお話、そして、一週間の物語で構成されています。「バス走る。」といいますが、そういえば、バスが走っているカットは少ないかも(笑)。


 個々に感想を書いていこうかと思います。

・空曲がり停留所

 冒頭の、飛行機を捉える少女のカットが、本作で一番スキ。「マイガール」の予告を見た時から、この絵は好いなぁ、と思っていましたが、それは本作を通じても変わらず。素敵。

 一日十機、飛行機をつかまえると願いが叶うというお話は、初めて聞いたので、ちょっと検索してみたら……、百機って出てきた。……ムリだ!

 ところで、バスって、「止めてください!」で止まるんですね(笑)。

・さくら町停留所

「嫁になってね」

 という言葉の破壊力を知った。専業主夫というのも、生き方としては十分アリだと思います。いや、まあ、槇原センセーは教師だけど。

・忘れ名ヶ岡停留所

 確かに、バス停にいるのにバスに乗らない人がいたら、思わず見てしまう。作者の視点の鋭さが、垣間見えたお話。

・天気読み

 男の子のプライドの上を、女の子の想いがあっさり飛び越えていくお話。

・ダドレアの路

 異色のお話(寓話的?)。オールカラーの作品ですが、こういう色は、コンピュータではなく手塗りなんだろうか。
 谷の底に、みんなの想いが詰まっていて、それがまた新しい想いを紡いでいくと考えれば、もしかしたら一番好きなお話かもしれない。

・めがね泥棒

 めがねがないとお互いに会話できないというのが、二人にぴったりはまっていて、面白い。
 お互いに好きあっているんだけど、言えないから、こじれて……、でも、二人を繋いでいた眼鏡が壊れたことによって、一気に接近して、格好悪い告白をする羽目に。

 めがねをかけている時は、二人がちょっと離れているカットが多いように思うんだけど、男の子が寝ている女の子にキスをした(と思われる)カット――つまり、二人が接近した――では、めがねが外れている。

 めがねが二人を繋いでいたけれど、その反面、めがねが二人を遠ざけていたと言えるかも。

・オトナの制服

 ちょっと背伸びしたい年ごろの、中学生のお話。

 周りが恋だ何だと背伸びしているけれど、自分は背伸びしていないから、よくわからないという雛焚にシンパシーを感じた。僕も、未だに恋だ何だと言われても、はあ、と首を傾げる。
 雛焚の生理の遅さというのも、暗に彼女の成長の遅さを示しているんでしょうね。

 千夜の方は背伸びしてるから、雛焚のことが歯痒くて……、というのもなんだかわかるけれど、自分から歩み寄らなきゃ、な。

 ちなみに、まだよく知らない女の子に突然告白するのは、背伸び少年の典型例だと思います。

ほしのこえ


マイガール 1 (1)