「課長、新星です! 星が生まれました!」

 毎回脚本が変わるというのが一つの特徴らしい「Darker than black(これ以後ダーカー)」ですが、今回の脚本は野村祐一さん。ああ、このアニメの脚本をやっていた人かなぁ、と思い当たる節がありますが、ダーカーとは関係がないので、割愛。ただ恋愛っぽい話が多かったような……
 では、ダーカーでの作風はというと……、乙女チックに見えて、そこはかとなく男の願望が滲み出た内容になっていました。父親にかまってほしい女子中学生とか、深夜の遊園地で二人っきりとか。


 先に謎を提供して、徐々に解決してみせるらしい構成の本作。
 まずは「契約者とは何なのか」という疑問に答えるべく、柏木舞が契約者になる経緯が語られました。契約者の種を植え付けるような花の存在、その花が枯れることによって、新たな契約者の誕生(でも、これは逆かもしれない)。そして、偽物の空に新しい星が生まれる(そして、その契約者が死ぬことによって、その星が流れる)。
 また次回予告から、契約者には「対価が必要とされない期間がある」ことが判明(これはちょっと勘違いかもしれない)。この期間に契約を解消したりできないのかなぁ。悲劇しか待っていないと思うと、結構凹むんですが。



 黒<ヘイ>の対価が一体何なのか……、そういえば、自分の意見は言ってなかったなぁと思うのですが、残念ながら今の所思い当たる節はありません。巷では、「大食い」が人気らしいですが、それは……(苦笑)。
 でも、ルイの「骨折」から始まり、「ジャン」の「石並べ」、「タンポポを食べる」、そして、今回が「ページの端をすべて折る」だったことを考えると、どんどんくだらない対価になってきているので、あながち否定できないなぁ。
 今回も例の遊園地のあとに、ラーメンを大食いしているし(ラーメンの屋台に何故あれほど豪華なパフェがあるのかという疑問はこの際置いておこう)、対価は大食いだといわれて、そんな理不尽な!と言う人は少ないでしょう。でも、やっぱり……、あまり面白くないよね。
 というわけで、やっぱりひとつは考えておこうということで、ふと思いついたのは、「心があることを隠す」こと。でも、本命は星関係だと思うんだけどなぁ。



 今までの契約者と違い、舞の能力と彼女の状況とを絡めて形作っているのは、野村祐一さんの持ち味でしょうか。誰もいない暗い部屋を嫌ってるからこそ、周りを明るくする、ものを燃やす力を……と、言うまでもないですね。
 兄や妹がいるからうるさいという友達と対比して、周りに誰もいない舞を強調していますよね。普通なら、独りぼっちの舞がいかに父親との絆を回復するかを考えるのですが……、えっと、父親と一緒に自らの炎に巻き込まれるシーンしか思い浮かばないんですが(苦笑)。



 前回の「契約の星は流れた」は、もう少し進んでからやっても問題ないという内容だったと思うのですが、それをあえて最初に持ってきたのには理由があると一応前回の感想で述べています(あくまで私見ですが)。というわけで、今ひとつこの作品のカラーがわからなかったりします。こういうことがやりたいのかな、というのはわかったけれど、それをどのように描くのかわからないという感じです(限りなくブラックに描くのか、グレーあるいはホワイトなのかと)。
 だから、今回の結末には否応なく視線を奪われそうです。
 黒<ヘイ>の飄々とした態度がどこまで本気なのか、彼は何を考えているのか、今回舞に怒鳴られて驚いているのは何故なのかなど、疑問は絶えませんけれど、とりあえずは舞はどのような扱いを受けるのか。まずはそれからです。




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