「安心したまえ!乙女達!!私がその警察だ!それも警部!」(鳴海清隆)
『スパイラル〜推理の絆〜(以下スパイラル)』という漫画がありました。
本当に好きで好きでたまらなく、連載も――二年程度でしたが――追いかけていました。そんなスパイラルが終わって、早十ヶ月。待ち続けましたよ、今か今かと。そして、やってきましたっ。待望の新連載開始。
というわけで、『スパイラル・アライブ(以下アライブ)』の感想です。若干スパイラルのネタバレも混じります。アライブは言わずもがな。
スパイラルが捉えようによってはなんともやりきれない、もどかしい感じで終わっているのに対して、アライブはそんな気配が微塵もありません(笑)。だって、高町亮子のバックに薔薇が咲いているんですよ。鳴海清隆は相変わらずワケがわからないノリを続けていますし。もう大笑い。今の所、普通に楽しいラブコメディです。
とはいっても、やっぱりスパイラル。コミカルな展開ながらも、鳴海清隆の不穏な言動で幕を引き、今月は待ち受ける不穏な展開への序章という所でしょうか。僕としましては、このまま楽しいラブコメを続けて欲しいんですが、ええ、そんな期待は早めに捨てるべきですね。……ポイッと(潔いな)。
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アライブがラブコメ云々というのは、原作者である城平京さんも仰っていたと思うので、浅月香介と高町亮子が登場するのは至極当然。かつ二人はコメディ要員として必要不可欠な存在なのです。我々はスパイラルで収まるところに収まったという感じの二人の、うら若き青春時代を楽しむことにいたしましょう(笑)。
アライブでの二人の関係の帰結がそのままスパイラルでの再会に繋がると思うと、特別な関係になることだけがすべてではないよなぁと思います。まあ、なれるならそれに超したことはないんですが。
香介や亮子には恋敵はおらず、敵は己という感じですが、顔見せ程度だった伊万里の恋は本当に前途多難って感じです。鳴海清隆は「この事件を本当に終わらせられるのは恋を知る者だけだよ」と嘯きますが、今の所どんな風に絡んでいくのか全然想像できません。できた方、ご一報ください。
それにしても、表紙の伊万里は格好良いです。
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「想いは言えない
言えば
失ってしまいそうだから
言うにはまだ弱いから」
上記は冒頭の詩ですが、香介や亮子、もしかしたら雨苗雪音にもかかってくるのかなあと思います。香介や亮子がお互いに踏み込めないのは、スパイラル既読者にとっては承知のことですが、雨苗に限ってはさっぱりです。城平さんの作品には謎自体の解明の他に、事態の収容をはかるものも多いので、謎の解明と共に事態をどう収めるのか楽しみにしたいと思います。
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来月号のガンガンが発売されるまでには、アライブ一巻の感想を書きたいと思います。忙しいけれど、スパイラル再読したいです。