「ほんのすこし前まで 私は
 世界っていうのはケータイの
 電波が届く場所なんだって
 漠然と思っていた」(長峰ミカコ)


 メールが相手に届くまでの時間ってあまり意識することがないと思う。送ったらすぐに届くものだと思っているし、いつ届いたかなんて送る側にはわからないから。けれど、一度は隣にいる人にメールを送ったりしないだろうか。あれって間の抜けたことなんだけど、なんとなく楽しいメールだ。それに早い(笑)。
 メールを送って、すぐに返ってきた時も早いなぁって思う。もちろんそれは相手の返信が早いからで、全然見当違いなんだけど、メールって届くの早いなあって感じたりする。
 では、そんなメールが届くまで、八年かかるとしたらどうですか?


『ほしのこえ』は宇宙にいる長峰ミカコと地球にいる寺尾ノボルとの遠距離恋愛のお話です。
 二人を繋いでいるのはケータイのメールだけ。
 二人の距離が離れるほど、メールが届くまでの時間も長くなっていく。
 そして、二人に流れる時間さえも……。

 今作は色々な『時間差』がどんどん広がって、色々なものが広がって、そして、ラストシーンに辿り着きます。『時間差』はどうしようもないけれど、収束できるものが確かにありました。

 僕が紹介した『ほしのこえ』は漫画ですが、もとは自主制作の短篇アニメーションだったようです。原作を手掛けているのは新海誠さんという方で、今作はそのコミカライズということになるようです。


 ところで、ケータイのメールって、なかなか本心が書けないものじゃないですか? 妙に冷たく当たったり、無感情にコメントしたり、僕はなかなか苦手です(笑)。