「アスナ、お前結婚したことある?」(キリト)

 アニメ版『SAO』第六話「幻の復讐者」のネタバレ感想です。




「ラッキーだったって思うかな。だ、だって、結婚するってことは、それまで見えていた面はもう好きになってるわけだろ。だから、そのあとに新しい面に気づいて、そこも好きになれたら、に、二倍じゃないですか」(キリト)

 引き続き、このSAO世界が真実(現実世界から地繋ぎ)であるかどうか、という対比が描かれるソードアート・オンライン。グリムロックがグリゼルダさんを殺そうとした動機などは、ストレートにこの世界が偽物であるという背景から出てきたものですね。

 一方、キリトはもちろんとして、今エピソードにおいてグリムロックと対比する存在として描かれたのがアスナでしょう。第五話冒頭では、NPCを殺してでも目標を達成したいというような攻略組らしい在り方であった彼女が、キリトとの関係を通じて、改めてこの世界で「生きていく」ことを選んでいく姿をさらりと描いているのが素敵です。キリトに「友達つくりなよ」という発言は、見る人が見れば、衝撃的(当然、友達などダンジョン攻略にはまったく意味がない)。

 今回は、そのようなこれまでの対比、連続性にプラスして、過去から現在への連続性も問われます。

 ミステリー風味だった「圏内事件」ですが、探偵役における「推理」という行為を紐解いていけば、それは「現在ある情報から、過去を参照していく」ものといえます。過去に本当にあったことを探る、いわば、「歴史を見る」行為なわけですね。その意味どおりに、今回キリトはグリゼルダさんが殺害された経緯を見抜くのですが、その後グリムロックに「愛するものが変わっていく姿を許容できるのか」と問われ、一瞬、言いよどんでしまう。

 人はどうあがいても、「いま、ここ」にしか生きられない。だからこそ、その「いま、ここ」にある姿と、過去に本当にあった姿の非連続性に耐えられるのか、という問い。

 一瞬言いよどんでしまったキリトですが、上のほうで引用しているとおり、最終的に彼は、それまで好きだった一面とは違う、新たな一面も好きになれたらいいという旨の発言をします。これは、過去から現在、そして未来へと変わっていく人やものの連続性を信じるという言葉。

 そして、何より、今回彼が「圏内事件」の謎を解き明かす一端となったのが、たった一つのパンというのがカッコいい。これ、第二話で、キリトがアスナにおいしいパンの食べ方をレクチャーすることで、彼女がこの世界の真実性に触れた。その過去が、現在に繋がっていたからこその、解決劇。確かにあった、あの瞬間が、アスナにとって何の意味もなく、過ぎ去ってしまっていたら(それはもちろん、過去から現在への連続性を断つということ)、この事件は決して解決することがなかったのです。

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