「でも、俺達がいま生きているのは、このアインクラッドだ」(キリト)

 アニメ版『SAO』第五話「圏内事件」のネタバレ感想です。シリーズで最も好きなシーンだけに、満足です。


「あなたね、わかっているの? こうして一日無駄にした分、現実でのわたしたちの時間が失われていくのよ」(アスナ)

 第二話冒頭のアスナ再び。あの時、パンが美味しいなんて本気?と語っていた彼女は、それから一年以上経ったいまでも、変わらず、天候なんていつも変わらないと嘯いている。

「天気なんていつも同じじゃない」(キリト)

 いや、あの時よりもずっと、この世界から逃げたいという思いは強くなっている。NPC(ノンプレイヤーキャラクター=ゲーム内の住人)を殺してでも、目的が達成できればいい(フィールドボスを倒すことができればいい)と語るシーンを冒頭に入れたのが、わかりやすかった。

 キリトの発言(NPCだって、この世界で生きている)が、傍目から見れば、冷静に見れば、おかしいのはわかる。だけれど、アスナの発言を認めてしまえば、前回のピナに対するシリカの想いを否定することになるし、後の彼らにとって「とても大切な人」の存在を否定することになってしまうわけで、ここは是が非でも引けない。

#一応原作でも未公開(同人誌収録?)ですが、この問答の後、キリトとアスナがデュエルすることになり、その結果によって戦術を決めることになるようです。

 アニメは、SAO編完結後に描かれた短編の内容も含めて、時系列通りに描かれているわけですが、短編連作になりがちな作風でありながらも、ちゃんと「繋がっている」感が出ていて良いです。

 先述したように、NPC云々というとキリトの主張がわかりにくい。だけど、NPCよりも人間らしからぬピナのために戦ったシリカのエピソードが挟まれているので、地繋ぎで彼の主張の意味が、たとえ言語化できなかったとしても、よく伝わってくる。

 この世界で本当に“生きている”のなら、やはりNPCをモノのように扱うやり方をするわけにはいかない。

 パンの味や天気の微妙な違いなんていう、現実のぼくたちだってあれこれと気にしない(気にする余裕がない)ことから、NPCへの捉え方の違いまで、明確にキリトとアスナの対比が描かれたところで、「お昼寝」シーンへ突入です。

 個人的に、SAOシリーズにおいても最も実存ある、「真に迫る」シーンだと思ってますので、超大好き。

 このシーンはね、これまで語っていた対比がそのままであったなら、ありえなかったわけですよ。アスナはこの世界に生きていなかった。だから、何よりも攻略を優先して、現実世界に帰還することこそがすべてだった。

 そんな彼女にとって、ダンジョン攻略などせず昼寝している男などありえない。

 だけど、キリトという、この世界に本当に“生きている”人間と出会って、アインクラッドの日差しの暖かさを知った。ここ、アニメだと本当に日差しが暖かそうで、素晴らしかった。背景美術など、絵についてはまったく詳しくないし、違いなどよくわからないけれど、このシーンだけは本当に昼寝に適してそうな、暖かい一日だと感じられたよ。

 何気ないけれど、アスナという少女にとって、とても大切な一瞬を切り取っていると感じられたので、今回は最高でした。昼寝から目覚めたアスナも、とても可愛かった。

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