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「I still love you.」(小木曽雪菜)

『WHITE ALBUM2 CC』のネタバレ感想/プレイ日記です。エンド自体はあと二つ残しているものの、本筋部分はこれで終了。結局小春以降は完全に持って行かれてしまったのですが、だいぶ落ち着いてきたのでかずさルートのラストについて考えてみる。あと好みは分かれるのだろうけれど、製作者側の意図としては雪菜エンドの後、かずさエンドのような気がしてますよ。


 ずっと感想で言ってきた、春希たち「三人」だけではない物語や雪菜の立ち位置(もうひとりの「一人」)の変化は、雪菜ルートの方で楽しむことが出来たのだけれど、そのあとがやはり凄かった。

 ありとあらゆる伏線が回収され、綺麗に「三人」の関係に決着をつけた、実に丸戸作品らしいエンディングが雪菜ルート。誰がどう見たって、それこそサルが見ても明らかなまでに、この物語が辿り着くべき理想の着地点。にもかかわらず、この作品にはその先がある。

 薄氷の上に奇跡のようなバランスで成立していた最巧のハッピーエンドは、決して誰も救われない報われない、最幸のバッドエンドへと姿を変える。

 それがかずさルート。
 それこそがきっと、本当の意味で「幸せの向こう側」。

 母親も、仕事も、軽音同好会も、友達も、雪菜も、かずさも、雪菜エンドではすべてを手に入れることが出来たのに対して、こちらのルートではかずさのために、ありとあらゆるものを捨てていく。千晶ルートで語られたように、すべてを諦めようとしない雪菜とすべてを諦めるしかないかずさの対比が、切ないまでに鮮明に描かれて、。

 ICでは春希と結ばれなければ救われないヒロインとしてかずさが、CCでは春希と結ばれない限り決して救われないヒロインとして雪菜が。そして、最終章codaでは、これまた誰が見ても明らかなまでに、かずさとは結ばれること以外で救うべきヒロインとして描かれる。「幸せの向こう側」でちゃんと生きていくことが出来るのを、これでもかと言うほどに綿密に描かれていく。

 だけど、一転してかずさを選んでしまったら……という落差にゾッとした。そっちを選んでしまった春希たちは、雪菜ルートでの幸せのことをあくまで「三人の平均」というのだけど、それでも幸せだったんだよ、あんなに幸せそうだったんだ。その落差は、雪菜の方から進めない限り味わえない。

 そして、すべてを捨て去ってしまった春希たちはウィーンへと旅立つ。そこに二年後雪菜からのビデオレターが送られてくるわけですが、これの意味が何なのかというのが、この記事の焦点です。

 で、僕は「許してくれなかった」という風に解釈しています。あれほどまでに冷たくあしらい、捨ててきたにもかかわらず、雪菜は彼ら「三人」のことを諦めてくれなかった。曜子さんが覚悟して見ることと言ったのは、春希たちが逃げることは叶わないと意味だったのではないかと。

#曜子さんが「子供への責任は負うべき」という話は、かずさたちがしでかしてしまったことに対する責任についての話でもあるんじゃないかと。そもそも彼女がウィーンに行くというのは、母親を日本に置いてきてでも春希との二人の世界を作ったかずさにとって、その世界に亀裂を与える行為でしかない。でも、それが必要なほど、子のそばに母親が必要なほどの、状況になっているということ。

 ぼくらがCC、Codaで見てきたのは、雪菜の諦めの悪さでもある。とりわけ三人のことに関しては、彼女は諦めなかった(小春や千晶、麻理さんの時は、自分が春希にとっての一番ではないばかりか、二番ですらなかったから、諦めざるを得ない)。だからこそ、辿り着くことが出来たのが、雪菜ルートのような誰もが幸せになれた世界だった。そんな諦めが悪い彼女が、あの程度のことで諦めてしまえるのか、と。

「元気ですか? わたしは今でも歌ってます」(小木曽雪菜)

 という台詞は、また「三人」に戻れる日を「待っている」ということだと思いたいですね。その直前の「I still love you」(わたしはあなた“たち”を愛しています)という台詞も彼女の本心だと信じたい。というか、五年間の雪菜を見ていたら、ここからでも雪菜TrueEndの大団円に限りない形までは、関係を修復できること、いえ「してみせる」ということを予感させるには、十分だと感じます。

 春希とかずさで二人だけの世界を作っていた高校生の時、「WHITE ALBUM」を歌うことで、彼らを外の世界に連れていったのは、雪菜(逆にいえば、ここで二人の世界は壊されているわけなので、本当にかずさが二人っきりの世界を作るには雪菜と出会わないという選択肢しかない)。それがゆえに、かずさルートでの、他は何もかも捨てるしかないという結末に戻ってしまったわけですが、その二人をまた外に連れ出すのは、やっぱり雪菜なのだろう、と。

 ICの感想で、僕は春希がかずさと真に結ばれるには、三人に拘る雪菜をどうにかするしかないという風なことを書いたのですが、結局二人には雪菜をどうすることも出来なかった。だから、とても辛い道のりではあるけれど、ほのかに希望だけは残っている。

 雪菜ルートは確かに完全無欠のハッピーエンドでしたが、かずさはかずさの方で、破壊と再生がしっかりと描かれていて、なかなか甲乙つけがたいエンディングだと思うのでした。僕個人としては、何もかも破壊尽くしてしまった彼らが、再び世界に向かい合わざるを得ない「覚悟」を持つ、清濁併せのんだかずさの方が好きですが。

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)
WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)
届かない恋
届かない恋


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