――届かない恋を、していても。
『WHITE ALBUM2 closing chapter』のネタバレ感想/プレイ日記です。ICの特典小説「雪が解け、そして雪が降るまで」と対称をなすのが、こちらの一冊。間違いなく、CCプレイ前に必読。
◇
ICの特典小説が過去に遡る形で、かずさの春希への想いを綴ったものだとしたら、こちらはICではカットされた過去を描きつつも、雪菜の春希への想いを綴った一冊。これにて、明確に雪菜がかずさと同じ位置に立ち、本当の意味での「三人の物語」、「三角関係」が始まったことを予感させてくれます。
というのも、ICは全体を通して(IC1週目→IC特典小説→IC2週目を通して)、春希と真に結ばれるべき運命は誰なのか? その二人に横槍を入れてしまったのは誰だったのかというのが、明確に描かれていて。何よりも、雪菜の(春希のことは)「好きだけど、かずさほど真剣ではなかった」という台詞が象徴するように、雪菜は二人と一人の「一人」でしかなかった。一瞬だけ「三人」になった瞬間があったというのが以前の感想だったんですが、ICからドラマCDや小説『夢想』を経て、雪菜の方の想いもかずさに負けず劣らずのものだったと、丁寧に塗り替えてきてます。かずさにとって、春希と結ばれなかったら救われない運命の存在であったように、雪菜にとっても春希がそういう存在なんだと。
そして、その集大成がこの特典小説。
もはや三年前のあの時のように、春希と結ばれなくてもどうとでもなるサブヒロインの立ち位置から、どうあっても雪菜もまた春希と結ばれない限りは救われないメインヒロインへの格上げ(また春希にとっても他のやつに譲れない女になっている)。ICの小説で、かずさが行っていた春希観察に通じるような、春希の嫌いなところ探しでもって、春希への想いを積んでいく。かずさの半年間に該当する、雪菜の三年間。
どうあっても、二人と一人の物語でしかなかった「三人組」が、本当の意味で「三人」の物語として再起していく様は、見事としかいいようがない。やはり、これはあくまで「三人」の物語なんだなぁ。
届かない恋
WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)【予約キャンペーン特典「書き下ろしドラマCDセット」付き】
→前回ホワイトアルバム2ICの感想/プレイ日記へ
→次回ホワイトアルバム2CC本編の感想/プレイ日記へ
→『ホワイトアルバム2IC/CC』の感想インデックスへ