「俺葵・トーリは、不可能の力とともにここにいるぜ!」(葵・トーリ)

 アニメ『境界線上のホライゾン』#11「武蔵の不可能男」のネタバレ感想です。今夜の12話放送前になんとか。残すところあと二話ですか、何気に最終話はクリスマスに放送なんですなぁ。


「俺がオマエらの不可能を受け止めてやる! だから、オマエらは可能の力を持っていけ!」(葵・トーリ)

 トーリ、本当にカッコイイよなぁ。仲間に可能の力を与えるのではなく、あくまで自分が「不可能」をすべて引き受けうることによって、結果的に仲間たちには可能の力しか残らないということ。彼自身は何も出来ない不可能男(インポッシブル)。だから、彼が出来るのは、その不可能を集めることと信じること、ただそれだけ。

 ここにも一つの境界線が見えてくるところですね。決して、トーリと他の仲間たちとの在り様は同じものにはならない。ただ二つの平行線が重なっているだけ。

 そして、今回はもう一つ。彼の全能力を伝播するという能力と引き替えに、彼は悲しみの感情を得ると死んでしまうわけですが、カットされた台詞の中にこういうものがあります。

「Judgement! ――ああ、我ら聖罰を受ける者なり!」
「王の可能性を喰らいて行く被罰者なり!!」
「されど我ら、――王に悲しみを与えぬ者達なり!!」


 彼らは不可能を持たないがゆえに、悲しみをも「与えない」(そもそも与えられない)と持って行く辺り、もうホントに格好良すぎ。原作にはこのほかにも本当に多くの格好イイ台詞や面白い会話などがあるので、アニメを見て気に入った人は読んでみてくださいね。

 で、悲しみの感情を喪失するというのは、当然すべての感情を失ったホライゾンに通じるわけですが、それはこれからの展開に繋がるところなのでひとまず置いといて。今回はトーリという存在にフォーカスを当てましょう。

 彼という存在を考えるにあたってヒントとなるのは、彼の抱いた夢。

 曰く、皆が夢を叶えられる国を作る王様になる、ホライゾンが自分の夢を持つことができる国を作る王様になる(ちなみに、そのときのホライゾンの答えは「みんなの夢が叶うと良いと思います」です)。

 トーリの抱いた夢は言ってしまえば、ホライゾンの夢を形にしただけで、もし本当にそれが彼の夢なら、その願いが叶ったとき彼は一人置いてけぼりになるわけですね。そうした国が出来て、初めて皆は夢を叶えることを考えられるのに、彼だけはそれから先がない。未来がないということは当然末世を越えられなかったと同義なので、個人的にはどうなんだろうかと気になっていたんですが、これは続巻でちゃんとフォローされます。

 それでも、彼は不可能男のわけだから、彼自らが何かになることはない。だから、「王様になる」というのは、あくまで皆が彼を「王様にする」ということなんですよね(アニメの方では描かれてませんが、正純の父達暫定議員も、トーリを王――正確には総長兼生徒会長ですが――にするために動いていたりします)。

 そして、もう一つ。彼の夢がそういう形であったように、失われた感情をすべて取り戻したあと、ホライゾンと共にいることになるのは、悲しみを喪失したトーリの姿なんですよね。この辺も、ちゃんと押さえつつ見てみると今後の展開も腑に落ちてくるんじゃないかと。

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