「そのストラップ、美味しそうだね」(鳴上悠)

 TVアニメ『ペルソナ4 THE ANIMATION』#09「No one sees the real me」のネタバレ感想です。原作ゲームの方でも、一度りせちーに拒絶されるんだったっけ? そうでないなら、鳴上くんも一つの人格として描かれつつあるのかな。


 いま『ペルソナ3ポータブル』をプレイしているから感じることなんですが、あの作品で全コミュMAXを狙おうものなら、主人公がどんどん支離滅裂な、一貫性のないキャラになっていくんですね(それはゲーム的に続編である『ペルソナ4』も同じ)。それこそ、戦闘中にペルソナを交換しつつシャドウと戦うように、日常生活の中でもペルソナを変えつついろんな人と接していくことになる。

 ある種の「全能感」をプレイヤーに与えてくれる作品だと思うんですが、その一方で一面の真実をついていて、ミもフタもない言い方をすれば、人は演じることから逃れられないということが描かれている。相手のことを想えば、自分を演出することは避けられない(今回の「りせちー」の葛藤にも通じますが、本来は相手のために演出をするものなんですね)。

 そんな無常なことを感じているところに、演じることに疲れたりせちーが登場してくる辺り、面白いタイミングだと思いました。実際彼女がどういう風に「演じる」ことに向き合っていくのか楽しみだな、と。原作ゲームをプレイしてはいるんですが、詳細を忘れているのでなおさら(ドラマCDの方を聞けば、うまく「りせちー」で在ることを使っている印象があるので、何かしらのブレイクスルーが出来たのだとは思いますが)。

 いや、まあ単純に今回の話を見ていれば、りせが嫌がっているのは、ようは「盛る」ことですよね(笑)。ある種の誇大広告。胸がそんなに大きくないはずなのに、水着の写真を見る限りそこそこあるように思われる。その心はなんなのか。

 ようは、十のことを百というのがいやなのであって、例えば、十をより良く見せるための努力はいくらでも出来る子なんじゃないかと、そんなところに落とすのではないかと思うんですが、はてさて。

 この「アイドル」としての自分しか周りは見てくれず、「本当の自分」を見てくれる人はいないというりせとセットになっているのは、当然着ぐるみしかなくて中身がないクマだと思われるので、彼が着ぐるみを脱ぎ捨て、人の皮を被る辺りがかなりのクライマックスになるんじゃないかと。いまの流れだとちょうど、ワンクール目終了ぐらいの時だろうし。

 そんな表面と内面のギャップに苦しんでいる仲間たちを尻目に、番長だけは一人演じずに素としか思えないような行動を続けている辺りが、面白すぎて、毎回彼の面白台詞をチョイスしてしまう(笑)。もしかしたら、そもそもあの稲羽市に来ると決まったときから、そういうペルソナを演じてるのかもしれませんが、それでもあれだけ一貫したペルソナをもって多くの人との関係を築き上げているというのは、なんか勇気が湧くよね。

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