「だから、おまえの答えを言え!」(葵・トーリ)

 アニメ『境界線上のホライゾン』#8「全域の支持者」ネタバレ感想です。未来のために、争い、平和を願う。正純が示した武蔵の在り様こそ、まさに「Horizon on the Middle of Nowhere」(『境界線上のホライゾン』の英語タイトル)。トーリもせーじゅんも格好良すぎ。


「武蔵アリアダスト教導院代表、本多・正純はここに宣言する。武蔵は各国との戦闘行為を望まず、末世解決の協力を求めるものであると。しかし、末世解決を障害し、大罪武装を巡る抗争を激化し、さらには一人の少女の感情を奪い取ったままであるならば、武蔵は校則法に基づき、学生間の相対をもって、その対処に臨む」(本多・正純)

 あーもう最高だった。
 もちろん原作の長い討論の果てに「ここ」に辿り着くのが一番だとは思いますが、それでもここまでわかりやすく切り取っていったのはすごすぎる。むしろここまでこのメッセージに固執したという意味では、原作よりもお気に入りかもしれない。アニメ化におけるありとあらゆるシーンが、この正純の宣言、そして、ラストの「彼ら」のやり取りに繋がるように再構成されている様は、本当にスタッフの方々が愛をもってこの作品が作っているからこそ、できることだよなぁ。いやぁ、もう最高!

 前回の感想でちらっと触れたのが、オリオトライ先生と三要先生の教えていたのは、つまり平行線のどちらかだけではダメだということ。理不尽な力に抗う力と理不尽な力から逃れる術は、どちらかだけでは足りない。

 平行線の先は、どこかで行き詰まってしまう。

 それは今回別の形で描かれていて。平行線の先、その行き詰まった先にこそ、まさにインノケンティウスの「聖連は争いを望まず、平和を求める」という言葉に応えられない、正純の姿があったわけです(そもそもこの平和と争いという平行線は、オリオトライ先生と三要先生の平行線でもある)。教皇の言葉の平行線は争いしかなく、教皇の言葉を認めるということは支配を受け入れることに他ならない。

 二者択一。

 ここで正純が男になろうとしてなりきれず、男装していることをバラす辺りが、本当に展開的に極まっていますね。正純の男装姿が「嘘」だと教皇は言うわけですが、これも一つの二者択一、二元論。女なのに男の姿をしているから「嘘」だと、巧みに正純のコンプレックスをつくわけですが、その教皇に対して、トーリはそのまま全部正純を「信じる」んですよね。原作だと貧乳なのは趣味だなんだとギャグ描写が入るんでよりわかりやすくなっているんですが、ようは個性(多様性)の問題であって、性別(二元論)の問題ではない、という描き。

 男になろうとしてなりきれず、女のまま境界線上にいた未熟者(すなわち、半端者)を、それでも絶対の信頼をもって「信じる」ことが出来るトーリが格好良すぎ。彼は一貫して正純のことを信じてるし、彼女自身の言葉を聞こうとしているんだよな。

 で、その期待に応えるせーじゅんが、さらに良い。その答えが本当に彼女らしくて、彼女だからこそできるものなのが、なお素敵。インノケンティウスの求めた平行線の答えではなく、境界線の答え。末世を解決し、未来を切り開くために争い、平和を願う、その在り方。それは、まさにタイトルにある「Horizon on the Middle of Nowhere」にふさわしいものではないかと思います。

境界線上のホライゾン 〔Horizon on the Middle of Nowhere〕 1 (初回限定版) [Blu-ray]
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境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)
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境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)
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