「何を根拠にそういうことを言うのよ!」(篠宮綾瀬)

『ギルティクラウン』第五話「訓練:a preparation」のネタバレ感想です。シュウは本当に空気読めるんだか読めないんだかわからないな(このタイミングで、そういうこと言うのは読めてないか)。一応二話あたりのディスプレイ越しのやり取りから、綾瀬がガイを想っているということを判断したんだよな……。


「ガイがそうしろ、って言ったから」(楪いのり)

 前回の感想で、シュウといのりは何かを「決める」前の「信じる」ことから始めたのかな、という風なことを書いたのですが……。喜びもつかの間、あっさりと袖にされる急展開っぷりに悶えました。このスピード感は、逆に癖になる。ありあり。

 前回の単独行動がガイの指示によるものだったかは若干微妙なところがあるとは思うんですが、それでもこれまでのシュウに対する言動はガイの差し金であったことを思うと、一際前回の「寒い」という言葉が重要になってくるよなぁ。ガイに言われたことではなく、いのり自身が感じたことだから。

 公式HPのキャラクター紹介を読むと、いのりは「歌うことで、感情を解放させる」とあるので、前回の「寒い」しかり、今回の拒絶しかり、いのりの本音が垣間見えている箇所なわけですよね(おそらく歌ったあとのシーンが、いのりが本音を吐露するところ)。

「寒い」と感じたのも紛れもない、彼女の真実。

 だけど、それを受け入れるということは、すなわち自分にとって名前を与え、世界をくれたガイを裏切る(そして、これまでの自分を否定する)ことでもあるから、シュウの手を取ることは出来ない。特別な人、ものは、やはり「一つ」しか存在し得ないという、ある意味正しく、歪んでいる価値観。

「近づかないで」という言葉は、近づかれたら自分がどうなるかわからない(いま現在シュウになんとなく惹かれているし、それが大きくなるのが不安)、ということなんだろうし。それはそれで、可愛いらしい反応だと思うのでした。

 改めて、ガイといのりの関係が、正しく「ガイがいのりを信じさせた」ものであることがわかってきたいま、いのりが自ら何かを信じる展開が待ち遠しいところ。



 そんないのりの「幼さ」を描きつつも、綾瀬の「個性」という言葉でもって、その先を示している辺りがお見事。「個性」というのは、結局他人にとっては特別かもしれないけれど、自分にとってはありふれたもの。その心は、たぶん誰かと違っているのは当たり前だということ。

#ここで、「あの女に似てきた」というガイの言葉が意味を持つ。

 あんまり好きな言葉ではないんですが、本作も「中二」作品と呼ばれてることが多いわけで。それは周りと違っている自分なんだから、何か特別なことが起こってもおかしくない、という世界観だということで。

ノイタミナ『ギルティクラウン』のハードコアでリアルな中ニ性 - ピアノ・ファイア

 そのことを踏まえると、綾瀬の「個性」という言葉が際立ってくるように思います。綾瀬も十七歳ではあるんですが、他の十七歳よりもだいぶ「大人びた女の子」として設定されているんですね。だから、ガイへの恋心もなんとなく自分の中で決着がついているように描かれているし、エンドレイヴという「兵器」にも乗っている。正しく「現実」を見ているように感じるんだよなぁ。

 少年視点から見れば、ロボットといえば、「ロマン」ですけれど、女の子が乗っているとやっぱり違った意味になるんじゃないかなぁ、と。綾瀬にとっては、自由に動かせる「身体」っぽいですよね(第二話でもふぃーねるもどきを大量に自在に操っていた)。それはひどく現実的なもの。

 いや、まあ結局、ただ単純に、綾瀬可愛いよ綾瀬っていうだけなんですけどね。思った以上に、ツボにはまる可愛い子だった。先のエントリーにもあった言葉ではありますが、鴨が葱を背負ってきたようないのりよりも、こーゆー女の子をどうにかしたいという願望の方が自分は強いと思う。正直この子の壁はめちゃくちゃ高い気がするよ。

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