「バスケ部っていろんなものがいるんだな」(鳴上悠)

『ペルソナ4 THE ANIMATION』#5「Would you love me?」のネタバレ感想です。鳴上くんの着信音があの曲なのは、『キャサリン』繋がりっぽいですね。プレイ済みの人にとっては、これ以上にわかりやすく、電話が掛かってくる恐怖を感じさせるものはないな(笑)。


 引き続き、口数は少ないけれど、何か喋れば、ことごとく面白い、あるいはカッコイイ鳴上くんがズルイと思いました。そうした鳴上くんを描いたからこそ、そっちに靡きそうなのにちゃんと一線を引くことができた海老原あいさんの良い子さが際立った感じ。

 シリアス方面のエピソードに片がついたので、こちらが高校生の本分! と言わんばかりの日常エピソードが楽しかったですね。テーマ的に言えば、前回の感想でも書いていたような、「いま、ここ」にコミットしていく様が描かれたのもよかった。

#モロキン先生が「アベック」という、いまは使われない言葉を使っているのは、間接的に過去に生きている人として描いたからだろうな、と。実は生徒の進路相談などに真摯に付き合うみたいなところがあるんですが、そうしたところも含めて、いまの先生像ではなく、ちょっと昔の「教師像」なんかを投影しているのだと思います。

 おそらく一条くんと海老原さんをセットで描いているのにも意味があって。過去と未来、その両方からぐいぐいと「いま、ここ」に寄ってきたのが今回のエピソードだったのかなぁ、と。

 海老原さんは過去を払拭すべく化粧したりダイエットをしたりして頑張ったけれど、やっぱりその自分を愛してくれなかった「過去」が邪魔して、一条くんに接近することができなかった。根は真面目な子のようなので、その彼女がなかなかバスケ部のマネージャーの仕事に力を入れられなかったのは、自分を認めてくれなかった昔の経験が邪魔をしていたのだと思います。頑張っても認めてくれなかったらどうしよう? という不安が先行していた。

 逆に、一条くんの方は将来「でかい家」の後を継がなければ、大好きなバスケをやめようとしていた。「未来」のために、「いま、ここ」に全力になることを諦めようとしていたわけですね。

 それが、海老原さんの方は一条くんにバスケ部にいても良いといわれたことをきっかけに、一条くんはバスケの試合をやったことで、いまはひとまず「いま、ここ」を大切にすることを選んだ。最後にその二人が並んでいる(つまり、いま、ここに一緒にいる)ところで締めた辺りが素敵でした。過去と未来に生きていた人が、「いま、ここ」でちゃんと巡り会っているというのは、僕的にはツボにはまるシーンです。

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