『ギルティクラウン』第三話「顕出:void-sampling」のネタバレ感想です。心の形がわかるガイも、心を形にできるシュウも、本当の意味で「人の心がわからない」という回だったのかな、と。まさに「王」。
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「好きにさせるさ」(恙神涯)
ここでガイさんがそこはかとなく嬉しそうにしているのは、いのりがガイの命令に逆らったからだろうなぁ。シュガーをクリアするというミッションを与えていたと思われるので、いのりがそれを反故にした意味は大きい。
前回の感想でも触れたけれど、ここまで一貫して、いのりは自分で「選択できない」キャラとして描かれているので、ガイの命令ではなくシュウのお願いを「選んだ」と考えるなら、一歩前進したと考えられる。
一方で、結局「シュウがそういうなら」と選択権をシュウに譲っている感もあるので、ガイからシュウへ首から上がそげ変わっているだけとも捉えられる。僕はシュウとガイは同型のキャラだと思うので、谷尋の心がわからなかったシュウのように、ガイもやはりいのりの心がわかっていなかったと、後者の方の解釈がしっくり来るかなーと思います。
今回明確に「ヴォイドは心の形」と宣言されたことで、心の形がわかったところで、その人を真に理解したことにはならない、それだけでわかりあえない、と持って行く展開が上手かった。つまり、それはその型にぴたりと嵌る「解釈」が必要になるということ。シュウは谷尋のヴォイドが「はさみ」の形をしていた意味をもう少し考えてみる必要があった。
あれはきっと誰とでも仲良くなれる代わりに、特別な人がいない。いつでも必要とあれば、切ってしまえる、そして切られてしまう谷尋の姿を表していたものだと思うので。それは、切ない有り様だろうと。あそこで谷尋が裏切ったのは、自分と同類だと思っていたシュウにいのりという特別な存在(戦場を二人で駆け抜けたわけだから、傍目から見たら普通の関係ではない。それがまさかその日出会った人だとは思うまい(笑))がいたことに対する、「嫉妬」じゃないかなぁ、と感じる次第です。

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コメント
tiwitterより来ました。初めまして。
ハサミというと何かを切り取る物…なのでしょうか。
裏「切られて」しまいましたね。
成り行きはどうあれせっかく秘密を共有できる友達が出来たと思ったのに……。
友情の糸が絶たれてしまいました。
本記事にあった心の形を見ただけで本人を知った気になってはいけないの下り、とても納得できるご意見だと思います。
初対面で知っているのはあくまで一面だけなんですよね。悪い面も良い面も、多くの面を見ていけるようにならないと!と思いました。
>楓さん
>tiwitterより来ました。初めまして。
初めまして。コメントありがとうございます。
>ハサミというと何かを切り取る物…なのでしょうか。
>裏「切られて」しまいましたね。
>成り行きはどうあれせっかく秘密を共有できる友達が出来たと思ったのに……。
>友情の糸が絶たれてしまいました。
そうですね、何かを切り取る人として谷尋を捉えています。よく物語で描かれる、誰とでも仲良くなれる代わりに特別な人がいないし、自分にとって不利益と判断したら「切る」人ですね。
なので、今後もしシュウとの関係が変わるなら、ヴォイドの形が変わるのか「ハサミ」のまま別のニュアンスを込めるのか、どちらで来るのか楽しみにしていたりします。
>本記事にあった心の形を見ただけで本人を知った気になってはいけないの下り、とても納得できるご意見だと思います。
>初対面で知っているのはあくまで一面だけなんですよね。悪い面も良い面も、多くの面を見ていけるようにならないと!と思いました。
上手く心の形だけわかっていてもどうしようもないという展開に持って行ってるなー、と思ってます。谷尋の「俺のこと勝手に決めつけるな」というような言葉もすごくポイントですね。
いわゆる「セカイ系」の文脈だと、どうしても主人公の選択が世界の選択(つまり、主人公が形を決めてしまえる)となってしまうことが多いので、そういう意味でも本作では相手側の視点が必要、というのは注目して見ても良いんじゃないかと思います。
いのりが徹底して「選べない」人間として描かれているのは、相手側の変化も描くためだと思います。