「今日という日を、今という瞬間をひたむきに生きるしかないと思う」(ロイド・バニングス)

『碧の軌跡』のネタバレ感想/プレイ日記です。第四章「運命のクロスベル」の初日行動まで。まさに「王道」の物語。これほどまでに、安心して「物語」が読めるゲームって、他にないと思います。


 ここまでに見所がありすぎて困るんですが、一応ベスト5ぐらいに絞って、感想をば。

五位:隠し球多すぎ。

 前作でも、ツァオやランディが本気を出していない(ランディは得手のライフルが使えないから、出せない)という風に描かれてたわけですが、今作ではワジを始めいろんな人が「隠し球持ってますよ」感を出して、困ったことになってます。みんな、色々事情を持ちすぎだ!

 そして、あろうことか、銀<イン>ことリーシャさんも、内功や気で体型を変えている(肉体まで男装している)ため、今の状態が本気ではないと言い出し、前作での仲間になった途端に弱体化というテンプレを外しに来てます。これは、次に仲間になるのが楽しみ。

 逆にいえば、これだけいろんな事情で自分の力を隠している者たちの中で、ロイド達は全力で立ち向かっている。それでも尚、クロスベルやオニキスタワーの襲撃を食い止められないわけで。それほどまでに彼らの目の前にある壁が「高い」という描き方が、めちゃくちゃ上手いです。そして、そんな途方もない「壁」を、彼らならば、必ず越えてくれると心底信じられるから、続きを読むのがやめられないのです。

四位:銀<イン>、正体バレ。

 第三章「胎動〜獣たちの謝肉祭」終盤にて、<使徒>第七柱アリアンロードの攻撃を防ぐも(支援課五名は吹っ飛ばされますが)、仮面が割れ、正体バレ。驚きの反応の中、「(アルカンシェルの)稽古があるので」と言って退却するのがシュールながらも、イイ。

 銀<イン>が仕事を断るには法則があるとツァオが語っていたときから、ああ、きっと公演の時は断っていたのだろうな、と、ぼくらプレイヤーに予測させていたのだと思うんですが、それほどまでに大切に思っていた「居場所」だからこそ(彼女が「いま、ここ」に在りたいと願った場所だから)、ロイド達に正体がバレたときも即座にそこに帰った。

 だけど、それほどまでに大切に思っていた「居場所」だからこそ、シャーリーによってそれを壊された瞬間に、いろんな覚悟が決め、素の状態のまま突撃するというのが切ない。ここで、怪我したイリアさんからは、「次の公演を任せる」みたいなことを言われるんですが(つまり、それはリーシャがアルカンシェルにいても良いんだよ、という宣言)、イリアさんの心は届かず。二重で切ない。

 結局、リーシャの背負っている物語も、「いま、ここ」にある日常に帰るというものですね。我らが攻略王ロイドさんの足止めに期待します(連れ戻すのは、やっぱりイリアさんの手を期待したい)。

三位:クロスベル襲撃。

 猟兵団《赤い星座》、契約のため一度は守ったクロスベルを、今度は襲撃。軌跡シリーズは、割とエグい部分もちゃんと描いてくれるし、伊達や酔狂だけでそれをやらないというのが、イイ。こういう展開をしたら、こうなるという王道(それ以前に、物語の基本的な進め方)を決して外さない。良い物語を書こうという執着を、至るところで感じさせてくれるから、幸せな気持ちになるなぁ。

#「でも、住民をほとんど殺していないのはヌルいんじゃないか」という意見がありそうですが、あえて殺さず、重傷人を出すことで、その治療に人出を割かせるという意図があるのだと思います。今回の襲撃が最終目標ではないっぽいので。

 ゲーマガの近藤社長のインタビューにありますが、前作ではまだ余裕があったため、ダドリーさんやアリオスさんといった大人が頼もしい存在として在りましたが、今作では彼らですらもギリギリの戦いを迫られているという状況と、インフレ感がたまりません(前作でIBCなどが襲われたときは、迎撃してるんですね)。結構軌跡シリーズは大人がちゃんと強者として描かれる(特に今作では、帝国の鉄血宰相や共和国のロックスミス大統領が、その力を発揮している)だけあって、どうやってこの劣勢を盛り返していくのか……、と期待に胸が高鳴ります。

二位:市長の独立宣言。

 政治的なやり取りを、エンタメ作品として損なわれない程度に盛り込まれているという風に感じる軌跡シリーズですが、第二章「西ゼムリア通商会議」の展開は、これ以上ないほどに悶えました。このタイミング以外にないだろうというほどに、市長の独立宣言(厳密にはクロスベル自治州は独立を目指すという宣言)が決まっていて、素晴らしかったです。「おおっ! ここで来るのか!!」と素で叫んじゃうぐらい。

一位;ランディ、ついにオチる。

 零の軌跡の感想でちらっと書いたのですが、RPGは主人公達が「いま、ここ」を生きようとする物語が描かれるものだと思っています。そういうテーマの総決算として、支援課を抜け、一人古巣「赤い星座」に一人特攻を仕掛けたランディに対して、ロイドの言葉がどれも素晴らしかった。ここで、そんなことを言われたら、ランディもコロッといってしまうのがわかるよ。という以上に、やはり、死に急ぐ仲間に言える言葉って、「いま、ここ」に一緒にいられることが良いというほかにないだろうな(この辺は、やはり『空の軌跡』のヨシュアとエステルの会話なんかを思い浮かべてしまうところ)。

 そして、あえて中盤のこのタイミングで、そのテーマを掘り下げる意味が透けて見えて、フライングで感動中。

 途中で、前作「零の軌跡」冒頭の夢の続きと思われる、支援課四人でヨアヒムに挑み、敗れたっぽい悪夢を見ることになるんだけど、やはり「今の日常」は何らかの理由で「ループ構造」の上に成り立っているものなのだと思います(ちなみに、キーアからは「いちばんマシ」なる言葉も)。つまり、ロイド達がここで肯定した「いま、ここ」はありえなかった状況なのかもしれないという描きなわけです。そんなもん、いつ壊れてもおかしくないと。

 そして、そのループ構造を作ったであろうキーアの物語が、ここから本格的にスタートするものだと思われます。で、ループものの常として、観測者自身が自分を否定する展開が来るんだろうな、「叶わぬならば、全てを零に――」というキャッチコピー通りに。そもそもヨアヒムに挑むことになったのも、今クロスベルが危機にあるのも、(後者は予測の域を出ませんが)キーアが原因なんですね。だから、自分がいなければ、良かったとそんな風に自分を否定する展開が待っているのでは、と。

 苦しいことはあった、悲しいことはあった、許せないことはあった。

 それでも、キーアと共に過ごした「いま、ここ」にある日常が尊い。だからこそ、その「日常」を取り戻して、帰る。今度こそ、負けない、というのが、後半のストーリーになるのではないかなぁ、と。で、このような物語構造なら、たぶんロイドの兄ガイ・バニングスが死んだのもキーアに原因があるんじゃないかな、と。それでもなお、キーアと共にある「いま、ここ」にある現実を求められるのかと、そんな物語を期待してみたり。

英雄伝説 碧の軌跡(完全予約限定版:ねんどろいどぷち「ティオ」「エリィ」、オリジナルドラマCD同梱)
英雄伝説 碧の軌跡(完全予約限定版:ねんどろいどぷち「ティオ」「エリィ」、オリジナルドラマCD同梱)
碧の軌跡アクセサリーセット リーシャセット (PSP-2000、PSP-3000用ポーチ、イヤホン)
碧の軌跡アクセサリーセット リーシャセット (PSP-2000、PSP-3000用ポーチ、イヤホン)


前回プレイ日記01へ
→次回プレイ日記03へ
PSP『碧の軌跡』の感想インデックスへ