「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】「未来を担保にさせていただくことになっております」(真坂木)

『[C] THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL』のBD/DVD第1巻に付属されている特典CD「monologues」の感想です。五話放送以降に毎週更新された内容なので、全編に渡るネタバレがあります。


■第一回 三國壮一郎

 完全に公麿へのラブコールになっている。それはまあ置いておくとして(笑)、この時点でいずれ自分の前に立ち塞がる男として、公麿を認識している節がありますね。

 後悔しないように、全力で「いま」にコミットしようとした三國さんらしいモノローグになってます。

■第二回 余賀公麿

 対して、公麿のモノローグからは「後悔」がダダ漏れてきます(笑)。三國さんの言葉を信じて、戦う。それが「正しい」ことだと思っていたのに、宣野座との戦いで、それにも疑問を、後悔を抱いてしまう。ほんとうにそれでよかったのかと。

 これを「鬱陶しい!」と思う向きもあるとは思いますが、そんな「後悔」を、ただの「後悔」に終わらせないために、未来を目指していったのが、彼なんですよね。それは後悔など絶対しないように、「いま、この瞬間」を全力で生きようとした三國さんの生き方は真逆のものだった。

■第三回 Q

 未来にあったものは未来に返すべきでは、と言った公麿とは違って、三國さんとQは「いま、ここ」にある瞬間を、もしかしたら遠い未来にありえたかもしれない時間を、とても大切に過ごしていた。

 時間を進めてしまったら、妹の貴子が死んでしまうかもしれない。そうした不安に取り憑かれていただろう、三國さんにとっては、それしかできなかっただろうし、結果的に三國さんをそういう人間にしてしまった貴子(Q)にとっても、それしかなかったんだろうな。切ない。

■第四回 生田羽奈日

「未来」が失われ、病み始めていた頃の羽奈日です。高校時代から付き合いのある彼女だけが、金融街のことを知らないまま、公麿の変化を知るというのが、なにやら悲しい気も。

 結局、取り戻した「未来」では、教員ではなく保育士になっていて、公麿が選んだ結果を後悔させない役回りを演じていたのは、すごくよかったなぁ。

■第五回 真朱

「今だって、未来だって、あの人を大事にしたいから、かな」(真朱)

 ある意味で、いちばん公麿が「後悔」していることに疑問を抱いていたのは、彼女だったのかも。Qと同じように、いまのアントレとアセットの関係が続けていたかった。だけど……と、第10話で、「目の前にいる真朱も、未来の真朱もどちらも守れなければ嘘だ」という言葉を聞いて、飛び出してきた(ミダスカードを動かしたのは、真朱っぽい描写が入る)。それは、たぶん見ているものが違ったと思っていた真朱が、公麿と同じものを見ていたことに気づいたシーン。

■第六話 ジェニファー・サトウ

 もし仮にサトウさんが見誤っていることがあるとしたら、三國壮一郎は公麿の肯定などまったく求めていなかったということかな。「いまこの瞬間」に全力を賭けると誓った彼にとって、他者の肯定など必要なかった(選択の評価を下されるのは、「未来」ですからね)。

 その点、サトウさんには後悔も迷いもあったと。それもおそらくなんですが、公麿とは違って、「同じ未来」が取り戻せるなんて思ってなかったんじゃないかなぁ。そういう意味では、公麿への謝罪の想いも伝わってくるモノローグでしたね。

■第七話 真坂木

『C』は、最終的には「世界のシステムを変える」物語ではなく、「世界のシステムを味方にする」物語だったと思っているんですが、それだからこそ、変わらず続くシステムの紹介がラストに入るのが決まってます。

「未来を担保に」資産運用。それで損をするも得をするもその人次第。言ってみれば、そのシステムに裏切られるのか(三國さん)、味方してもらえるのか(公麿)。そして、それでも、三國さんのように自分の選択を後悔せずにいられるのか。公麿のように、後悔したとしても、それをただの後悔で終わらせず、未来に繋げていけるのか。

 三國さんに「後悔しないな?」と言わせておいて、そっこーで公麿に「笑えばよかった」と後悔させる。そこがぼくは『C』の良い、というか、優しいところだ、と思いますね。

「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】
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「C」第2巻<Blu-ray>【初回限定生産版】
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