WS000448「おまえに、手なんかあげられない」(藤井蓮)

『ディエス・イレ アクタ・エスト・ファーブラ』のネタバレ感想/プレイ日記です。Chapter3 END OF NIGHTMARE終了で、蓮の日常もひとまず終わりを告げます。


「――さんが殺して、あなたが経験値(たましい)を蓄える。結果、強くなるのはあくまであなたで、彼女はそのための道具に過ぎない。――なるほど、吸血鬼と下僕の関係によく似ている」(櫻井螢)

 何度プレイしても(体験版を通して、たぶん5回目ぐらいになるけれど)、第三章の内容は胸を打つ。

 首狩り魔の正体は綾瀬香純。メルクリウスにコンプレックスを抱いている黒円卓の団員たちが、蓮(ツァラツゥストラ)が育ち終わる前に殺してしまわないための隠れ蓑。

 聖遺物に宿る魂の質と量が、この世界においての力量の差に繋がるから、メルクリウスはそのような策を打ったのだろうと螢は理解しているんだけど、前章での彼の言葉を鑑みれば、そういうわけでもないんだよな。

 ギロチンに宿るマリィの魂は至上、量が質に圧すると説いたつもりはないという、彼の言葉を額面通り捉えるなら、これはある種の茶番に過ぎない。事実、第二章で蓮はヴィルヘルムと同じ舞台に一足飛びで立とうとしていた(し、メルクリウスもそれが可能だという感があった)わけだし。言ってみれば、蓮が「非日常」へ踏み込みやすい舞台を作り上げたということ。

 しかし、そんな作為は問答無用に吹っ飛ばして、蓮と意識を取り戻しつつある香純のやり取りがたまらん。どちらも相手を大切に思ったが故の所業。蓮は香純のことをほんとうに心底大事に思っていたからこそ、今まで遠ざけていたんだけど、それが理由で香純の行動になっていたんですね(一応操られてはいたんだけど、その結果を生んだのは、本心を言ってくれない蓮のために何かしたかったから、頼ってほしかったというもの)。

 そんな二人のすれ違いが生んだ「非日常」を、二人の会話でもって「日常」へと返していくという、流れがもう最高。以後、力には力を、化け物には化け物を、非日常には非日常を、そんな「力のぶつかり合い」へと有無を言わせずに、突入していく蓮にとって、香純を暴力ではなく、言葉で治めたというのは、歪んでいるとしても彼の「日常」(それすらもメルクリウスが仕組んだものだという伏線はあるんですが)が紛れもなくそこにあったという証左。

 俺にとって大切な……つまらなくて退屈だけど、平凡で暖かい日常の象徴。

 だから、それを取り戻すために戦うという蓮の動機が、すこぶる格好良い。

「Dies irae」サウンドトラック  「ein jagen Nachtmusik」 初回版
「Dies irae」サウンドトラック 「ein jagen Nachtmusik」 初回版
Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版
Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版

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