魔法少女まどか☆マギカ 2 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「わけがわからないよ」(キュゥべえ)

『魔法少女まどか☆マギカ』第四話「奇跡も、魔法もあるんだよ」から第六話「こんなの絶対おかしいよ」までのネタバレ感想です。


 魔法少女の魂こそ、ソウルジェム。身体はすでに死んでいるという、キュゥべえとの契約内容(魔法少女となるために、何を得て、何を失ったのかという「交換条件」)が、ようやく明かされる第六話がよかったです。微塵も「等価交換」となっていないのが、アツイ。ミダス銀行よりも、質悪いですよ、こいつ。

 これだけ不条理な結果を押しつけておいて、さやかさんが得たものは何もなかった(上條くんは、手が治ったら、それまで見舞いに来てくれたさやかに「退院する」ことすら伝えず、一人バイオリンの世界に行ってしまった)というのは、虚淵さんらしくて、良い。とてもわかりやすい「悲劇」となっているので、これをどう覆すのか。それで、ああなるわけかー(←昨日盛大に後輩たちからネタバレを喰らった人)。

 ちらほらと最近勉強しているだけあって、神話的な想像力を感じられるようになったのですが(佐倉杏子がひたすら「食べている」ところとか)、まどかとまどかママの会話で「正しくあろうとする人の分まで間違える」というのは、面白い反転だと感じました。実際、今回さやかのソウルジェムを捨てるという、まどかの「間違った」行動が、杏子やほむらさんとの一時休戦という結果を生んでいるので。

 で、たぶんこれはほむらさんにもかかっている部分なんですよね。昔「正しくあろうとした」(決して魔法少女にならなかった)まどかの分まで間違おうとして、「いま」を繰り返しているのがほむらさんなんだと思います。んんっ、実に『C』の三國さんっぽくて、ぼくは好きですね>ほむらさん。

 マミさんを「忘れる」「忘れない」という問答の際も、「忘れられてしまった」ほむらさんをフォーカスする形になっていましたが、まどかに忘れられたとしても、たとえ感謝されなかったとしても、「ワップルギスの夜」が来るまでの「いま」をプレゼントすると覚悟しているっぽいほむらさん。でも、寂しい、というのが、画面の至る所で感じられるのが、切ない。

 贈り主が誰なのかも、ましてや贈り物をされていることにすら、気づかぬ「寂しさ」です。

 そして、そんなほむらさんの「願い」の有り様を、間接的に否定しているのが、さやかの願いの末路ですよね。過程をねじ曲げてでも強引に目標達成してしまったけれど、さやかさんがその「願い」に込めた「想い」に上條君が気づくことはなく、そして、彼自身にも今後「交通事故から奇跡の復活を遂げた」天才バイオリニストなどといわれ、純粋に彼の「実力」を見てもらえない(色眼鏡で高評価されてしまう)という事態になってしまうだろうし。それが彼にとって、ほんとうによいことだったのか、というのは難しい。徹頭徹尾、他人のために願い事を叶える難しさが描かれてます。

 かといって、杏子がいっているように、魔法少女は自分のためだけに願いを叶えるものというのも、すでにマミさんでもって否定的に描かれている。

 願いを叶えるって、ほんと難しい。

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