NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「帰ってきたら、僕から尋ねる」(紫苑)

 アニメ『No.6』#2「光をまとう街」#3「生と死と」のネタバレ感想です(見返してみたら、三話の内容も入っていたので)。これは紛れもなく傑作。とりあえず火藍さん(紫苑ママ)が、いい女すぎる。


 いやぁ、もう本当に最高です。これはめちゃくちゃ面白い、しかも骨太な「物語」ですよ。それでいて、原作が児童文学ということもあっても、ものすごく「わかりやすい」。そして、大人がちゃんと生きているのに、感動。ああ、もうこんな物語が書きたいんだよ。

 一応関西で放送されている第四話まで視聴済みですが、第二話と、三話四話では微妙に話の論点が違うので、別個で感想を書かせていただきます。



 この『No.6』という物語を、聖都市という管理社会を否定するものだと考えると、第一話で「明日何をすれば良いのかわからない」と言っていた沙布のおばあちゃんが、あっさりとその疑問を投げ捨てて、「黄昏の家」で幸せな老後生活を送っているのに、疑問を抱いてしまうと思います。それも、聖都市というシステムから抵抗する形として――おばあちゃんがおばあちゃん以外の何ものではない証として――行っていた「編み物」を捨ててしまったとあれば、なおのこと。

 でも、これはたぶんそこまでネガティブな描写ではないんですよ、きっと。

 四話まで通じて眺めてみたらわかることですが、力河や火藍といった「大人」の存在が、それを後押ししていると思います。もっというと、紫苑やネズミが今通っている道(この世界の欺瞞を暴こうとすること)を、おそらく彼らはすでに通過してしまっているのです。彼らの経験というのは、ある意味でそこまで特別なものではない。

#第一話冒頭、沙布のプレゼンを聞きもしない学生の存在なんかも、さらっと体制に抵抗する様として描かれていると思います。それが「普通」の風景として描かれている。

 それは、沙布のおばあちゃんも同じなのではないかと、ぼくは思います。誰もが通るような道を通って、人を好きになって、子供を産んで、最終的に選んだのが(自分の実存をかけたのが)「編み物」だったという。そして、それをすべて捨ててしまったわけではなく、1本だけ沙布に渡すことで「継承」されていったのではないかな、と。その人がそこにいたという確かな証拠として。編み物棒を二つとも渡してしまわないところが、ほんとに絶技ですね。

 これは、ネズミが「(死んだ)大切な人のことを、時々思い出してやるのが良い」と言っていたことにも通じると思います。そして、それだからこそ、「人食い蜂」がこの都市において「悪」たり得るのだと思います。なにせ、そうした誰もが通る道を突然進ませ(老化現象)、「その人らしさ」を誰にも継承もさせずに死に至らしめてしまうわけだから(最初の被害者は、若い夫婦)。

 そういう意味では、誰もが通る道を描いて、その果てに紫苑やネズミが何をしようとするのかを選ぶ(自分の実存、内部に訴えかける)物語なのだろうな、と思ったり(ネズミはNo.6の中枢で、自分の実存を脅かされたのかな、とか想像してみたり)。そこは、ちゃんと二年後という未来に、「セックスしよう」と沙布に約束できる(これはそれまでに、自分の実存、核を見出すよという誓いだと思います)紫苑を信じたいところですね。

#この世界がそこまで悪くないといえるもう一つの理由として、火藍さんの存在がありますね。ネズミは一度この都市で落ちぶれてしまったら、もう二度と這い上がることはできないといってましたが、火藍さんは自らのパンの腕一つで、幸せに返り咲いている。その崩落のきっかけであるチェリーパイを作れるまでに、取り返してもいる。

NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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Spell(初回生産限定盤)(DVD付)
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