NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]「うああああああああああ」(ネズミ/月の雫/紫苑)

 アニメ『No.6』#1「びしょぬれネズミ」のネタバレ感想です。引用する台詞に悩みましたが、この「叫び声」以外にない。


「俺は元々矯正施設にいたが、治安局の連中にNO.6に連れ込まれたんだ」(ネズミ)

 原作の方も四巻ぐらいまで読んでいたはずですが(何か惹かれるものがあったので)、内容があまり入っていないので、新鮮な気持ちで楽しめそうです。

 いわゆる、「管理社会」からの「脱出もの」と思って読んでいたはずですが、ボンズによって再構成されたアニメを見てみると、あるいは違う読み方があったのかもしれません(感覚的にですが、ぼくは森博嗣の『笑わない数学者』を彷彿しています)。そんな「発見」にも満ちていたアニメ第一話です。

 というのも、冒頭で地下水路の鉄格子越しに叫び声をあげるネズミや、同じく家の窓から出て、叫び声をあげる紫苑と、二人の共通項――もとい作品のテーマとして――容易に外側(システムの外)へ脱出するという渇望が見えてしまいます。

#そもそも、すぐに紫苑はNO.6の外側へ出て行ってしまいますけどね。

 が、実際にはネズミは外側(矯正施設)からNo.6内部に来て、この都市の真実に気づいたわけだし、紫苑の家(これも当然内側の描写)で人間の「あったかさ」という大事なものに気づいていたりする。実はこの都市の内部にこそ、何か大切な――ようは、「あったかい」――ものがある、そういう描き。

「生きてる人間って、あったかいんだ」(ネズミ)

#紫苑も紫苑で、あの叫び声の相手は、月の雫という聖都市の中心だったりするし、そもそもああやって叫ぶことで、自分の心を整理しているのであれば、これもやはり内側への衝動なんですよね。

 外側へ外側へ向かっているようでいて、都市の中枢という内側(システム)に収斂するように、物語が編まれているような気がします(もっといえば、外側と内側がほぼ同義で描かれている。このNo.6から抜け出すには中枢に関わるしかないという描き)。これは原作小説を読んでいる時に、腑に落ちなかった部分の解答にもなっているのですが、今になって納得していたり(笑)。

 物語の焦点が内側にあるのなら、みんなが泣いていると表現する「月の雫」が叫ぶ意味なんかに、テーマを凝縮していきそうな気がします。今回叫び声をあげているのが、ネズミ、紫苑、月の雫という符号を考えれば、ある程度予想できそうな気もしますし、もっと端的に語っていたのが、沙布のおばあちゃんだと思います。

「だってね、何をしていいかわからないの。NO.6でそれもクロノスで、何不自由なく暮らせて、ガーデニングや編み物をするほかね、明日も明後日も何をして良いのかわからないの」(沙布の祖母)

 ぼくは内側か外側という話を聞くと、ついつい森博嗣の『笑わない数学者』の「君が決めるんだ」という台詞を使いたくなりますが、ようは、システムの中にいるような気がするから、沙布のおばあちゃんのように何をして良いのかわからなくなるわけです。

 でも、冒頭で沙布が「人の心」について発表していましたが、その化学反応の内(システム内)に心が生まれるのではなく、やっぱり外側なんですよね。だからというか、沙布の紫苑に対する恋心というのは、知識(これもシステム内のもの)の中では表現し得ない。これは、どうやっても外側にしかいられない人が、内を目指す物語なのではないかな、と。

「違うわ、わたしのは、生殖に関する情動の発露とその行動的表現であって――」(沙布)

NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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NO.6♯1 (講談社文庫)
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