「俺はおまえだ。」(カラス)
『ノエイン もうひとりの君へ』第一話「アオイユキ」のネタバレ感想です。
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「おまえには無理だ。おまえにその少女を救うことはできはしない」(カラス)
この導入部は、もう最高。
一概に子供でもなく、また大人とも言えない微妙な年齢のユウ。だからこそ、「いま、ここ」にどこか閉塞感を感じて、どこかへ行ってしまいたい。
だけど、家出をしても捕まって、母の言うことを否定することもできずどこへ行くこともできない。それでも、大人になれば、大人になってしまえばどこへだって行けるのでは? そんな淡い期待が、未来からやってきた自分(=カラス)を目撃することで(量子論的世界なので、「観測」という行為が重要のはず)、砕け散っていくと。
この逃げ道のなさ、もう最高。
ここからどうやって、「すでに決まってしまった未来」からまだ見ぬ「不確定の未来」へと進んでいくのか楽しみです。第一話だけでも、カラスの存在や塾をエスケープしての肝試し(これもユウは、母が呼び戻しに来るとわかった上で出てきたはず)が描かれ、既に未来は決まっていて、予測不可能なものではなくなっている。ある意味、歪んでしまっている。
そんな中唯一、ハルカのために飛び出してきたときだけは、この先どうなるのかわからない。そんな「不確定の未来」のはずだったのに、未来の自分から、明確に「ハルカを救うことはできない」と拒絶されてしまう。この妄執的なまでの逃げ道のふさぎ方が素晴らしいです。こんなの、ユウが「不確定な未来」を見出してしまったら、感動せざるを得ないだろう……。
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