セイクリッドセブン <豪華版> Vol.01 (初回限定生産) [Blu-ray]「おまえはここにいろ」(輝島ナイト)

『セイクリッドセブン』第03話「クレイジーナイト」のネタバレ感想です。鏡さんがまたロボットに乗った! それだけで、もう感動。


「あんな木偶の坊に、13億円なんて信じられないオニ」(鬼瓦)

 アシであるアルマが、セイクリッドセブン(たぶんヨシ)として変身するには、ヨシのルリが必要という話らしい。そして、変身する度に高価な宝石を消耗する。

 そんな設定を説明しつつも、描かれているのは、ルリの「対価」の法則が狂っているということ(CLAMPの『xxxHOLiC』ではないけれど、やはりあげすぎももらいすぎもおかしい)。鬼瓦に指摘されるまでもなく、それまで290万ポンド程度だった宝石を一気に990万ポンドに引き上げて落札(市場価格以上の高値)というのは、わかりやすい描写だったと思います。

 これは最初に「母親の形見」という市場価格以上に「大切なもの」であるはずの宝石を、アルマにあげてしまっていたり、アルマと共にいるためだけに学園ごと買い上げてしまったりと、藍羽ルリという少女は何か危ういという形で描かれてきました。それが今回グッと、明示的に描かれていたのかな、と思います。。

#ちなみに、おそらくこれまたアルマにとって重要人物だと追われる若菜の方は、「等身大」のアルマ(≠セイクリッドセブンとしてのアルマ)にとってちょうど良い「贈り物」(小石)や「居場所」(イシ部)を贈っているという意味で、ルリと対比したキャラクターとして描かれています。

 そんな目的(アシの殲滅)のために全てを投げ捨ててしまえるような「危うさ」を秘めたルリが、宝石(石)ではなく「意思」を託すシーンが今から楽しみです。今はまだ宝石を託しているにすぎないわけですが、これ多分ラストバトルは意思のこもった「小石」での変身になるんじゃないかなぁ、とフライングで燃えてます(笑)。

 前回の宝石も川辺の小石も実は変わらないという話、そして、等身大のアルマとセイクリッドセブンとしてのアルマの統合(いまは分断されている)を考えると、もうラストはこれっきゃないでしょ。



「俺たちは自由な存在だ。このパワーは誰のものでもない。貴様も自由な翼を失うと身を滅ぼすぞ」(輝島ナイト)

 そして、輝島ナイトサイドの物語も、「居場所」がキーになっていますね。こちらはどちらかというと、アルマとは違って特定の居場所を持たず「自由でありたい」(=居場所に縛られたくない)という形ですが。

 そういう意味では、ラスボスというか作中で打倒しなければならないのは、自分が存在したい場所を選ぶにしろ自由であるにしろ、有無を言わせずその選択権を奪っているという研美悠士ということになるのかな。奪っているというか、そうですね、今回のエピソードを考えると、おまえの居場所はここなんだ、と強制しているといえば、良いのかな(当然ですが、ナイト襲撃に当たっての配置を決めたのは彼)。

#アルマ登場以降、ルリの隣という居場所を失った鏡さんが、今後返り咲くことができるのかというのは、ちょっと注目しています。今回も、当たり前のように、屋上へ飛ばされてましたしね(笑)。

 面白いというか、よくできてるなぁ、と思うところは、実は輝島ナイトも研美と同じことをやっていることですね。自由を求めて、研究所を去ったはずなのに、ラウ・フェイゾォイ(劉 翡翠)を隠れ家に縛っているという。フェイがあの場所から飛び出して、ナイトのところに駆けつける(自分の居場所はナイトのそばなんだ!と選ぶ)ところが、たぶん一つクライマックスになると思います。

 いや、もうなんか、メイド隊とかSPちゃんとか、視聴していく上での「映像的楽しさ」を押さえつつも、ド直球に練られた脚本で素晴らしいです。セイクリッドセブン。いろんな作品で何度描かれてますが、やっぱり「対価もの」(ようは「契約もの」ですね)と「居場所もの」は、ツボにはまります。もう最高だよ。

セイクリッドセブン <豪華版> Vol.01 (初回限定生産) [Blu-ray]
セイクリッドセブン <豪華版> Vol.01 (初回限定生産) [Blu-ray]
TVアニメーション「セイクリッドセブン」オープニングテーマ「stone cold」
TVアニメーション「セイクリッドセブン」オープニングテーマ「stone cold」

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