久遠の絆 -THE ORIGIN- 初回限定通常版「吾こそは三国伝来北面金毛九尾の孤精」(九尾/玉葉)

『久遠の絆 THE ORIGIN』のネタバレ感想/プレイ日記です。オサキとの「合体」はさすがにもうちょっと何か別の言い回しがなかったのか、と思ってしまった。


 平安編、長かった。本当にその一言に尽きる。いや、神代編が追加される本作であっても、平安編の重要度を思ったら、あれぐらい仕方ないことではあるけれど。「長い」。ただ、冷静に考えると、平安編を小出しにせず、一気に進められるというのは贅沢ではある。前世絡めた物語なら、気になるところで切れて、一度現代に話を戻しそうじゃん。

 前評判から「変わってる変わってる」と言われてた平安編ですが、本当に別ものといっていい内容だった。崇徳天皇、最後まで良い人だったし。あんな顔だけど。しかし、雅仁お兄様は、安心のシスコンでした。彼のこの、ブレなさは良いな。鷹久と螢の千年の越える愛ばかりフューチャーされますが、彼のシスコンっぷりだって、千年揺るがない。意外とこの世界には、「変わらない」ものがあるのかもしれないですね。

 玉藻前こと玉葉は神様ということで、平安編では神と人が恋をしてしまう、そんな内容になっている。すでに武日照という兄にして恋人という存在がいる玉葉にとっては、重仁との恋は許されざるもの。でも、兄の面影を垣間見てしまって、徐々に惹かれていく様が原作以上に丁寧に描かれていて、良かったです(彼が武日照の現身だからというわけではなく、別の人と認識してるっぽい)。割と最初から「運命の人」だったっぽい原作よりも、最初は「土蜘蛛では?」と疑われ、反目し合った果てに、ああいう関係に堕ちるというのは、意外に好みなシチュエーション。

 そんな原作とも変わらぬ、「二人の愛」を描きながらも、根っこにあるのは「人はどう生き、神はどう在るべきなのか?」ということだと思います。武日照が今後黄泉返ってくるのかはどうかは、まだわかりませんが、重仁でありながらも重仁と同一人物ではないという点は、そこにかかってくるのではないかと。

 平安編で帝という、ある意味顕在化した「神」が腐敗していく様を見た玉葉は、自分がそれと取って代わろうとするんですけど、それはそれでいつか無理が来る(重仁に裏切られたと思っているように、彼女もまた「間違う」)、そして、何よりも玉葉にそんな孤高の人生を過ごしてほしくない、というのが武日照の考えっぽいです。神剣で玉葉を刺し殺して、神ではなく人間として転生をさせる、というのもその流れだろうな、と。

 なんにせよ、現代編では「新しい神」の存在が必要という話もやっているので、この時代どういう存在が神としてふさわしいのか。本作がそれをどう描くのか、今後の展開を楽しみにしたいです。

 そして、武日照の影響を受けつつも、確固たる「個」として生きている重仁に期待したい。貴族の責務として「生きとし生けるものすべてを幸せにする」と宣っているだけに、玉葉だけでなく、瞕子さんや寿子も幸せにしてくれるのだろうな。

 いや、しかし、まあ例の都条例で近親相姦がなんだとは言われてますが、古事記日本書紀を紐解くまでもなく、日本の歴史を語る上で欠かすことできないというのは、実に皮肉めいております。そろそろいい加減に、ちゃんと読まなきゃなー。

現代語訳 古事記 (河出文庫)
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現代語訳 日本書紀 (河出文庫)
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