「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】「だけど、いま君はここにいる」(ジェニファー・サトウ)

『[C] THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL』第九話「collapse(破綻)」のネタバレ感想です。今回も大西信介さん脚本ですが、やはり「キャラを立てる」のが非常に上手い方ですね。サトウさんの立ち位置がばっちり描かれている。


「君とお父さんが、求めるものが一緒だったから」(ジェニファー・サトウ)

 おそらく国債(未来に借金して、いまを支える)辺りをモチーフに作られた物語だと思うんですが、結局この物語で問われているのは「いまを取るのか? 未来を取るのか?」ということなのだと思います。

 今回三國は自分の二十年分の未来を手数料に、ミダス銀行の輪転機を回した。そうして得た大量のミダスマネーを使って、C現象の脅威から日本を支えたわけだったんですが、そのための対価が日本中の人々の未来であった。自分の未来だけではなく、他の人の未来すらも明確に賭けてしまったんですね。

 それがサトウさんの言う、

「三國、おまえは越えてはいけない一線を越えてしまった」(ジェニファー・サトウ)

 の意味。そして、それは昔、三國の父が貴子(手術することによって得られたかもしれない彼女の「未来」)を犠牲にしてまでも、自分の会社を守ったことと同義で、三國父と壮一郎はやはり似ている。

 それと同時に今回描かれていたのは、公麿父と公麿の目指した未来も同じだったということ。父のアセット、ムア(夢亜?)と真朱が同じ姿ということから、それが描かれるのが実に美しいです。アセットの設定、めちゃくちゃ綺麗ですね。

 現在志向の三國と未来志向の公麿。構図的に、父親世代から続いている(もっといえば、おそらくミダス銀行の有史以来ずっと続いている)対立項なんですが、僕はその間に立っているサトウさんが好きですね。

#ちなみに、「今日よりもっと良い明日を」というのは、高度経済成長期的な上昇志向を感じさせるので、それを体現しているであろう公麿に感情移入ができなくて(まあ他にも理由はあると思いますが。考えているのではなく、悩んで流されているように見える、とか)。「不確かな未来よりもいまを大事にしたい」という感覚の方が、いまの人には近いと思えるので、壮一郎の方に共感してしまうんですよね。

 現在志向の三國を心底嫌っていることから(笑)、未来志向であることが窺えるサトウさんですが、それでも彼女は「いま」を見捨てたりしない。過去における、公麿父が目指した未来を肯定した上で、

「だけど、いま君はここにいる。ここにいるじゃないか」(ジェニファー・サトウ)

 というんですね。公麿父が「未来」を守ったことで、公麿の「いま」が守られたと。だから、僕はサトウさんを未来もいまも大事にできる人なのだろうな、と思うわけです。もちろん、公式HPで聴けるMonologuesでも独白しているとおり、自分の行為を公麿に認めてほしかった、だから、公麿が喜ぶようなことを言ったという意味もあるとは思いますが、それでも気高く美しく思います。

 ただ……、
 惜しむらくは、その力が圧倒的に足りてなかったということ。
 サトウさんには、いまも未来も守りきる力はなかった。

 すでに次回の十話も視聴済みですので、三國にサトウさんが負けることは決まっているわけですが、そこで公麿に託すのはジェルジュのみ。未来を買い戻すために必要なのはアセットでは? と予測している自分にとっては、おおっこれは!!という感じなんですが、それでも託したのは未来のみ。サトウさんの「いま」に該当するものが何も残されていないことから、最終話の公麿と三國のディールはストレートに、未来か? いまか? という二項対立になるのでしょうね。

 この辺り、少し邪推ですが、シリーズ構成の高木登さんと大西信介さんで、解釈のズレがあるところなのではないかと思ったりします。第六話(大西信介さん脚本)の感想でも書きましたが、宣野座の在り方も三國の在り方も否定していた公麿が、最終的には宣野座の立ち位置に立つというのは、若干の違和感を感じるからです。まあ、ダーカー好きとしては、やはりAorBではない、「第三の道」を見つけてほしいと思ってしまうんですね(笑)。

 現実には困難かもしれないけれど、それでもそうした理想を追い求める。そのモチベーション(動機)の根源を探る。それが僕にとって物語を「読む」意味でもあるので、やはりそうした物語を希求してしまうんだよなー。

→八月発売。予約受付中。

「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】
「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】
「C」第1巻【初回限定生産版】 [DVD]


前回第08話「confidence(信用)」の感想へ
次回第10話「collusiton(衝突)」の感想へ
アニメ『C』の感想インデックスへ