「普通がいけないのかよ!?」(余賀公磨)
ノイタミナ枠アニメ『C』第一話「COMPLICATION(複雑)」&第二話「COINCIDENCE(暗合)」のネタバレ感想です。やっぱりビジネスに興味を持つものとしては、「お金」をテーマに扱うアニメを見逃せない。
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「今頃、慌てている頃だな」(三國壮一郎)
第一話を見た印象は、「エグい」というものだったんだけど、第二話で印象ががらっと変わりました。
#ちなみに、「エグい」と感じたのは、羽奈日の彼氏に公磨が嫉妬をするシーンです。あんまりああいう表現をアニメでは見かけなかったので、新鮮でした。やわらかそうな、感じが、また公磨の嫉妬を誘いますね。
事前情報なしの視聴だったので、どういうお話なのかなぁ、と思っていましたが、メッセージ部分はほぼアセットによるバトルに託してあるっぽいですね。アントレプレナーの「未来の可能性」だというアセット。公磨と壮一郎のアセットが、どちらもあまり「年端のいかない少女」なのは、きっと意味がある。
今回公磨の対戦相手が、巨大な人外だったのは、ストレートにそのアントレが「大量消費、富の最大化」を求めていたからだろうと思うんですが、それが行き着く先は歴史的にも明らかですね。もう三年ぐらい前になりますが、リーマンショックも「金融工学」というガジェットを使って、いかに効率的に富を「最大化」していくのかという理念の元破綻していった。じゃあ、どうすれば良いんだ? というのが、いま、いろんなところで議論されているんですが、そうした背景を頭に入れた上で、『C』を見ると、さらに面白く見られるのではないかな、と。
そして、その一つの答えとして、壮一郎の存在があるんですね。彼は自分は「使うもの」だと言っておりましたが、彼は使うべきところに使う男。人間は誰もが理屈ではわかっていても、感情や目先の利益に拘ってしまう。
#たとえば、ものすごく単純なモデルでいうと、不況期に消費せず貯め込んでしまえば、企業の商品は売れず、その結果給料も下がる。給料が下がれば、ますます消費を控えて、商品は売れず、また給料は下がる。こうした悪循環になるのは明らかなのに、お金を使うことができない。
だから、そうならないように、正しいお金の「使い方」をしようとするのが、ようは、経済をコントロールしようとするのが壮一郎サイド。では、公磨は? というのが、これからの物語。
ただ僕は今の段階でも、公磨は普通じゃねえ、と思ってます。あれほどの大金を得ても、何も変わらないなど信じられない。羽奈日に「一千万あったら、どうする?」という問いをしていましたが、あの時「貯金」と羽奈日が冷静に答えられるのは、「そんなことがありえない」と知っているから。普通一千万なんて突然出てこない。
実際に三千万という大金を得ても、それまでと変わらずアルバイトをして、壮一郎にコーヒーをごちそうできる。それは、とても「凄い」ことなんですよ。まったく外部環境に影響されずに、自分の生き方をしているから(特に、いま震災が起こって、いまの自分の生き方で良いんだろうか?と考えている人が多いと思うので、よりその凄さがわかるのではないかな、と)。そんな生き方ができる公磨が、これからどうなっていくのか、今後の展開が楽しみです。
「普通の人間が、普通に拘って何が悪い!?」(余賀公磨)
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